TOPエンタメ映画・本ショートストーリーの朗読底の甘さ05:52 9月5日 4再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次「感情が消える」特別な一杯の秘密別れた恋人Kとの再会、複雑な心境カップの底に隠された「甘さ」の正体「僕のためには飲まないで」Kの真意感情が消えた後、心に残ったものはAI文字起こし(β版) # 底の甘さ 底の甘さ 私は最後の一口を残して、三度もストローを加え直した。 今日は、別れた恋人と向かい合う喫茶店での話です。 聞きどころは、一言に答えようとして、飲む理由まで変わるところです。 それでは、今日の五分物語。 底の甘さ 先に席へ着いた私は、特別な一杯を頼んでいた。 底は濃い茶色、上は白いホイップ。 この店の一杯には変な決まりがある。 混ぜて飲み干すと、指定した一人への感情が消える。 嫌な気持ちも、好きだった気持ちも、出来事は覚えている。 でも、消えた感情は戻らない。 私は、Kの名前を書いた。 怒りだけでもなくなれば、明日から少し楽になれる。 いい思い出なんて、もう残っていないはずだった。 ホイップを多めにしたら、混ぜる余地がない。 そのせいで、飲み終える前にKが来た。 待った? ううん、上だけ食べてた。 また多めにしたんだ。 少し笑った。 自分の声なのに、聞き覚えのある二人の声に聞こえた。 鍵、ここに置くね。返すものはこれで全部。 私は話を終わらせるつもりでそう言った。 Kがカップを挟んで言った。 最後くらい、笑って終わろう。 そうだ、泣いて困らせるのはみっともない。 私は口元を上げた。 私、あの日ずっと待ってて。 うん、ううん、楽しかったよ。 聞いて欲しかった言葉をホイップと一緒に飲み込んだ。 上だけならまだ何も消えない。 Kの胸が少し下がった。 うまく笑えたらしい。 私はもう一度ストローを握った。 私も別れられてよかった。 もう何とも思ってないから。 Kの指が止まった。 本当に? うん、すっきりしている。 そうか。 彼は返された鍵をしまった。 少し前までは聞きたいことがあった。 でも今聞いたら、すっきりした人ではなくなってしまう。 私はカップを混ぜた。 茶色い筋が白いところへ上がってくる。 これで彼が安心して帰れる。 二回三回混ぜる手が早くなった。 ナツキ、こぼれるよ。 Kが紙ナプキンを寄せた。 昔から私が急ぐと同じ言い方をした。 笑った夜のことを一つ思い出した。 その前に胸の奥が動いた。 まだあった。 ストローを止めた。 鍵はもう返した。 帰ることはできる。 なのに私はKが安心した顔になるのを待っている。 何のためにこの一杯を頼んだんだっけ? Kが言った。 喧嘩したまま別れるのが嫌で、笑って言った。 うん。無理して言わなくていいよ。スッキリした。とか。 彼も笑っていなかった。 ナプキンの角を意味もなく掘っていた。 楽しいこともあった。 うん。それまでなかったことにはしたくなかった。 戻りたいっていう話じゃないよ。 わかってる。 でも楽しかったところまで嘘にはしたくない。 Kはうなずいた。 もう一度カップの底を混ぜた。 色が同じになった。 まだ怒ってる? でもさっき笑ったのも本当。 うん。これ飲めば両方無くなる。 元には戻せない。 Kはそれでいい? Kは折ったナプキンを開いた。 僕のためには飲まないで。 自分のためか、もうわからない。 私は飲んだ。 残りが一口になったところで何度もストローを加え直した。 Kの顔を見た。 顔を見ないようにしてまた見た。 忘れたいことだけ選べたらよかった。 Kは答えなかった。 明日、もう怒らずに起きたい。 それだけは私が決めたこと。 最後の一口を飲んだ。 Kの顔は同じだった。 声も覚えている。 待った夜も、笑った夜も順番に思い出せた。 胸だけが動かなかった。 じゃあ行くね。 私はうなずいた。 彼が椅子を引く。 笑って終わろう。 あの言葉を覚えていたので口元を上げた。 今度はうまくできた。 甘いね。 返事を待たず空のカップを取った。 もっと見る #消える感情 #特別な一杯 ショートストーリーの朗読ソフトウェアテストTACT 「そふてた」と呼んでください05:521.底の甘さコメント感想・質問・応援メッセージを書こう
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