TOPエンタメ映画・本ショートストーリーの朗読床に届く音06:56 9月21日 1再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次最後の舞台にかける先輩の思惑本番で球を落とした後輩の問いソウの胸に去来する過去の記憶残り90秒 ソウが下した決断赤いランプが示す二人の未来AI文字起こし(β版) # 床に届く音 床に届く音 聞きどころ ボールが床に落ちる音から、最後の文化祭が始まります。 集大成を見せたい先輩に、最後の小さな問いが届きます。 進み続けるタイマーの前で、二人の距離はどう変わるのでしょうか。 5分物語 青いボールが落ちると、リツは右足で止め、頭を下げた。 まだ客席には誰もいない、ショーホールでの練習だった。 落としたらそれで終わり、次の人もいるから。 高校二年のソウは、中学一年の後輩リツにそう教えた。 失敗を短く済ませれば、本人も傷つかないと思った。 リツは三つ球を投げる練習よりも、落ちた球を止める練習を繰り返した。 ソウは安心して進行表へ目を戻した。 ソウの進行表には最後の90秒が赤く囲まれている。 四つのボールを操る自分の演目。 部員として立つ最後の文化祭に何年もの練習を形にしたかった。 会場係がタイマーを示した。 客席の後ろでは記録用のカメラがあった。 赤いランプが点いたら終了です。次の団体が入ります。 本番。 リツの三つ目の球が床を叩いた。 リツは靴で止め礼をした。 ソウが次の曲の合図を出した時、リツの口が動いた。 続きを音楽が消した。 舞台袖に戻ったリツは乾いた球をタオルで拭いていた。 三つともソウから借りた道具だった。 これお返しします。 まだ使えばいい練習するだろう? 先輩も最初に落とした時ああやって帰ったんですか? ソウは返事をしかけた。 自分の初舞台では二つも落とした。 けれど自分の先輩は次の曲を流さなかった。 拾い終わるまで待ってくれた。 何回かやったと思う。 僕も行ってよかったですか?もう一回行って。 ソウは進行表を見た。 自分には失敗してもやり直せる九十秒を取ってあった。 後で練習室なら何でもできるよ。 うまくできなくてもよかったんです。もう少しあそこにいたかっただけで。 ソウの出番が来た。 慣れた技が決まり、拍手が届く。 楽しかった。このために練習してきたのかと手のひらが思い出した。 袖の低い机に四つ目のボールが待っていた。 何度も拾い投げ直してきた手にその一つを加えればいい。 客席の後ろでカメラがこちらを見き直った。 このまま続けても誰も責めない。 リツには来年がある。 自分がこの舞台で四つをあげられるのは今日だけだった。 残り九十秒、ソウは四つ目を手に乗せた。 いつもの重さだった。 だがそれを机へ戻しマイクへ歩いた。 マイクへ歩いた。 リツ、さっきの続きやるか? 先輩のは? 今日はやらない。 リツはすぐには動かなかった。 ソウは急がさなかった。 その間も数字は減った。 やがてリツが三つの球を抱えて出てきた。 一つ、二つ、三つ、今度は続いた。 けれど青い球が横へ逃れた。 床に短い音がした。 リツの右足が球を止める。 肩が下がりかける。 ソウは礼をせず次の合図も出さなかった。 リツは靴をどけた。 しゃがんで球を拾った。 もう一回! 最後まできれいには決まらなかった。 赤いランプがついた。 二人は並んで頭を下げた。 片付けの途中、記録係がカメラをしまった。 四つのやつ取れなかったな。 うん。 進行表の赤い囲みは朝のままだった。 ソウは紙を折りかけ手を止めた。 別の日に取ることはできる。 けれど今日の客席も最後の演者として呼ばれた時間もそこには映らない。 道具を置く教室へ戻ると、リツが後ろについてきた。 これ、もう少し借りてもいいですか? ソウはうなずき、自分の四つを取り出した。 片付けてしまうにはまだ指が熱かった。 俺の見る? リツがうなずいた。 ソウは投げ始め、四つ目を消そこねた。 床に短い音がした。 青い玉を抱えたリツはそこに立ってソウが拾うのを待っていた。 もっと見る #青春小説 #舞台ドラマ ショートストーリーの朗読ソフトウェアテストTACT 「そふてた」と呼んでください06:561.床に届く音コメント感想・質問・応援メッセージを書こう
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