TOPエンタメ映画・本ショートストーリーの朗読七枚目の海06:36 10月5日 2再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次父のアニメ制作に隠された真実「一人」の裏に潜む娘ユイの貢献上映直前、父が秘めたる決断の時舞台上で明かされた父娘の共同作業残された「白い海」が示す関係性AI文字起こし(β版) # 七枚目の海 七枚目の海 引きどころ 湿ったノートの七枚目に小さな船が張り付いています。 初上映を控えた父と手伝ってきた娘の言葉がすれ違います。 三分の待ち時間に父は何を差し出すのでしょうか。 五分物語 七枚目だけ指先にひんやりと吸いついた。 精一はノートから上着をはがした。 乾いたと思った袖がまだ湿っていた。 画面では船が夕日の海を済んでいる。 退職後初めて作った三分間のアニメ。 今日の上映会の紹介にはすべて一人で作ったと書いた。 まだ自分で何かを生み出せると娘に見せたかった。 けれど精一には船の男が何をしに行くのかが説明できなかった。 娘のユイが旅行カバンを置いた。 新居へ向かう前に上映を見に来てくれたのだ。 最後だけ直してくれないか。 どう直すの? 精一は理解したつもりの丸と矢印を探した。 機械の出す案を書き写した七ページ。 これだけ書いた努力まで嘘になる気がして分からないと言えなかった。 一旦最初から全部。 ユイが直すと映像は滑らかになった。 その指が机の紹介文を見て止まった。 全部一人で? 操作を教えてもらっただけだからな。 波の音も光の色も書いたのは娘だった。 ユイはノートを開いた。 太い自分での下に娘の字で一緒に散歩とある。 分かったって言うから次へ進んだんだよ。 後から全部って言われてもどこから一緒に考えればいいの? ユイは鉛筆を置いた。 上映にはいく。でももう全部直してとは言わないで。 玄関でカバンの車輪が鳴った。 精一は呼び止めかけてまた何を頼むつもりなのか考え口を閉じた。 一人になった精一はノートの丸を見た。 娘を長く引き止めないために付けた丸。 その先の分からない作業まで結局は娘に頼んでいた。 七枚目を開いた。 娘が最初に描いた船の破片。 その隅には自分の字で帰ってきたところをまだ決めていない。 思い出した。 フェリーから岸が見えなくなった時の怖さを娘に話したのだった。 海を渡る人は誰と帰ってくるのか。 そこから二人で船を描き始めた。 午後のホールでは係の人が完全映像を再生し音を確かめた。 隣には紙を写す触覚カメラがある。 長編も含めて三分間です。延長はできません。 生一は客席のユイにノートを渡した。 名前を出していなかった。悪かった。 映像は直せなかった。 でもここまでなら話せる。 三分で終わらないと思う。 うん。 完全映像なら最後まで見せられた。 そのために何週間も朝の時間を使った。 生一は係の人のところへ戻った。 映像は流さないでください。 呼ばれて舞台に立つと声が遠くへ届いた。 一人で作ったと書きましたが違います。 娘に絵も音も編集も手伝ってもらいました。 客席で紙をめくる音がした。 自分の言葉をもう取り消すことはできない。 ノートをカメラの下へ置く。 書き間違いまで大きく映った。 ユイが立ち舞台へ来た。 船、私が動かしてもいい? 頼む、海は僕がやる。 生一が線を引き、ユイが船を動かす。 次のページを探して生一の指が止まった。 次、どこだっけ? まだ描いていないところ。 時間の札が上がった。 生一は見えてない岸を急いで足すのをやめた。 今日はここまでにします。 船は帰らなかった。 まばらな拍手に二人で頭を下げた。 駅でユイは自分の名前を足したプログラムを父へ返した。 生一は直し方を聞く代わりに行った。 着いたら部屋を見せてくれ。 まだ段ボールしかないよ。 それでいい。 夜、七枚目は乾いていた。 娘の小さな船と父の太い線の間に指一本の白い海が残っていた。 もっと見る #家族ドラマ #創作成長譚 ショートストーリーの朗読ソフトウェアテストTACT 「そふてた」と呼んでください06:361.七枚目の海コメント感想・質問・応援メッセージを書こう