TOPエンタメ映画・本ショートストーリーの朗読記録にない一球06:37 10月11日 1再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次50年前の「自慢の一球」の真偽旧友の記録と写真が示す意外な真実試合後、ベンチの少年と「七つの丸」配布済み冊子、大勢の前で語る告白「あと1球」に込められた友情の温もりAI文字起こし(β版) # 記録にない一球 記録にない一休 聞きどころ 50年前の打球の音だけが手のひらに残っています。 たった一度の暗打を誇る週一に、旧友が古い帳面を開きます。 ページの端に並んだ七つの丸は何を数えていたのでしょう。 五分物語 バットの芯に当たった音だけは今も右手の中にあった。 66歳の週一は球場の閉鎖式典で話す原稿に赤い線を引いた。 生涯で一度の公式試合、66年を3分で話すために選んだ一場面だった。 向かいで旧友の国彦が昔のスコア帳を開いた。 週一の名前の横には三芯、三芯、三芯、その下に小さな丸が七つ並んでいる。 俺の打ったところは? ここにはないな。 あんなに遠くへ飛んだんだぞ。 当たったよ。点にはならなかったけど。 そのケドが刺さった。 昨日の食事は思い出せなくても、あの一休の感触は残っている。 それまで間違いだと言われたら、自分は何を話せばいい? 机には写真と元のネガの封筒があった。 週一はバットを振る自分の写真を選び、周りを指で隠した。 ここだけ大きくすればいいよ。 外も見な。 覚えてないことにしたいのか? 俺にはこれしかないんだ。 国彦の指が止まった。足元には引っ越しの箱がある。 国彦は明日娘の住む町へ移る。 それなのに週一は引き止める言葉を見つけられなかった。 国彦は連続して撮られた写真と帳面を渡した。 週一は会場の機械で一枚ずつ大きくした。 少年たちが礼をする。 ベースを外す。 道具を片付ける。 試合が終わっている。 自分が撃つ写真はその後だった。 ベンチに残った背番号9の少年へ国彦がもう一度ボールを出していた。 週一は写真を何度も戻した。 ベンチの自分は怒ったように口を結んでいる。 下手だからもうやらない。そう言いそうな顔だった。 その少年の前で国彦はまたボールを拾っていた。 帳面を開く。 試合の記録は太い線で閉じられている。 七つの丸はその下にあった。 週一は国彦を探し道具小屋へ走った。 この丸、試合の後の七球か? うん。 なんで投げた? あと一球ってお前が言った。 七球も? 一球の後にまた一球って言うから。 覚えていなかった。 そうやって頼んだことも国彦が残ったことも。 週一は自分の打った音だけを何十年も持ち歩いていた。 チキテンの冊子には公式暗打と印刷されていた。 もう配られている。 壇上のカメラは赤いランプを灯していた。 遠くの仲間も見る。映像も残る。 このまま読めば誰も間違いに気が付かない。 客席の同級生が週一のページを開いた。 たった一つの地盤話をしに来た男が、それを自分から取り消そうとしている。 週一は乾いた唇を湿らせた。 国彦は客席の隅で黙って待っていた。 週一は原稿を裏返した。 冊子に間違いがあります。私の暗打は試合の後でした。 風がマイクを鳴らした。 週一は両足に力を入れた。 今朝、頂面が間違っていると国彦を責めました。 間違っていたのは私の話でした。すまなかった。 でも、当たった音は覚えています。 7球付き合ってくれたから。野球を嫌いにならずに済みました。 客席の端の国彦を見た。 遅くなった。ありがとう。 拍手は大きくなかった。 冊子の文字も自分が訂正する映像も残る。 週一は段を折り、国彦と椅子を片付けた。 夕方、道具の箱からグローブを借りた。 硬い皮へ指を押し込む。 あと1球。 1球だけか。 週一は答えず少し下がった。 下手投げの球を両手で受けた。 乾いた音がした。 顔を上げると国彦はまだ手を開いていた。 握り直した球に、さっきまで無かった温もりがあった。 もっと見る #日常ミステリー #友情ドラマ ショートストーリーの朗読ソフトウェアテストTACT 「そふてた」と呼んでください06:371.記録にない一球コメント感想・質問・応援メッセージを書こう
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