TOPエンタメ映画・本ショートストーリーの朗読夕日の映らないアルバム07:02 10月13日 2再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次屋上で夕日を待つ息子と母の思惑父の夕日アルバム最後のページは父の手帳に刻まれた家族の日常「映らない日」にあった親子の真実新しい部屋で綴られる親子の時間AI文字起こし(β版) # 夕日の映らないアルバム 夕日の映らないアルバム 聞きどころ 最後の屋上で夕日がビルの向こうへ隠れてしまう 写真を残したい息子と出発を待つ母の時間がずれている 父のアルバムに挟まれた手帳は何を残していたのか 5分物語 オレンジ色の椅子を開くと乾いた砂が落ちた ゆうすけは父のカメラを構えた 夕空があるはずの場所を隣に立ったホテルの壁が塞いでいた もうそこには見えないのよ 母の沢が水筒を抱えてきた 右の手袋だけ赤い毛糸がほつれている 明日からこの家は取り壊しの準備に入る 母は今日5時に鍵を返して新しい部屋へ移る ゆうすけは父の夕日アルバムを持ってきた 最後の空欄に今日の写真を貼れば家族の暮らしを綺麗に閉じられると思った 日没は5時10分だよ 車少し遅くできない? 私は5時でいいよ ゆうすけには遠慮に聞こえた 屋上の隅には母の青い椅子が紐で縛ってあった 彼が施こうとすると母が手を添えた それはもう荷物にしたの 10分ぐらいだからさ 母に椅子を開かせ帽子の角度を直してもらう 髪が風に乱れた 少し待ってシャッターを切った その時まだ白い太陽がホテルの壁へ隠れていた ゆうすけは屋上の隅を行き来した どこへ立っても夕日は戻らない 母は膝の手袋を重ね青い椅子をたたんだ 寒くなったから下で待つね 最後なんだからちゃんと残したいよ ちゃんとってどこから? 母が降りると屋上は急に広くなった ゆうすけは父の撮影位置を調べようとアルバムを開いた 赤い空は17枚しかない 父は10年以上晴れるところここへ来ていたはずだった 写真の隅に母の赤い手袋が写っていた アルバムを作る時ゆうすけは端を切ろうとした そのままでいいと母が言ったのでやめた レンズを向けなかった隣に母の椅子があった 表紙に挟まれた手帳を開く 夕日 見えず 次の日も その次の日も 同じ言葉だった けれどその下に続きがあった 風が冷たい 沢 手袋を片方貸す 湯を忘れる 二人で空のコップを持って笑う 最後の記入にはこうあった 夕日 見えず 沢が先に降りる 追いかけたら 夕飯はとんかつだった ゆうすけはオレンジ色の椅子を見た 成功した写真に映らない日も父と母はここにいた 階段を降りると母が靴を揃えていた 新しい台所の棚が低いこと 二人のコップを出しておいたこと 母が話すたびゆうすけは屋上へ話を戻していた 母は父の書類の箱へゆうすけと名前を書いていた 彼はそれを父との時間を簡単に手放すように感じていた けれど母が自分へ託そうとしていたのかもしれない 彼は箱のこともまだ聞いていなかった 今日夕日見たかった? 見られたらよかった でももう行きたい 車が来た あと15分待てば雲が赤くなるかもしれない 鍵を返したらこの屋上へはもう戻れない 残るなら私は先に行けるから 椅子取ってくる 屋上の空に薄い桃色が射していた ゆうすけはカメラに蓋をした 父に教わった金具を押し椅子を畳む 玄関で鍵を封筒へ落とした 小さな音がして封が閉じられた 映せた? 夕日は映らなかった 車の中で手帳を開き 今日の日付の下に 夕日見えずと書いた 次の行はまだ開けておいた 新しい部屋の窓際に2脚の椅子を並べた もう空は暗かった 母がコップへ注ぐ途中で水筒の湯が切れた 足りなかったね ゆうすけは大い方のコップから少しだけ母へ注いだ 湯気がオレンジ色の座面をかすめて消えた もっと見る #家族ドラマ #現代ドラマ #オレンジ色の空 ショートストーリーの朗読ソフトウェアテストTACT 「そふてた」と呼んでください07:021.夕日の映らないアルバムコメント感想・質問・応援メッセージを書こう