TOPエンタメ映画・本ショートストーリーの朗読オールの空くほう07:00 10月9日 2再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次半世紀越しの写真に隠された友情の形完璧な一枚を阻む小さなすれ違いの真相写真より鮮明、心に残る弁当の思い出ミノルの行動が示す意外な未来への配慮シャッターを切らない選択、その先に見えるものAI文字起こし(β版) # オールの空くほう オールの悪報 聞きどころ 50年前の写真を同じ池で撮り直そうとする午後。 引っ越す友人と段取りを崩せない男の小さなすれ違い。 折りたたんだ紙と弁当を支える手が最後の一枚を揺らす。 5分物語 ギーッとオール受けが鳴った。 周一がスマホを構えると、 友人のミノルの後ろから橋が滑り出した。 もう少しそっち向いて。 俺が動くのか、船が動くのか。 ミノルは笑い傾いた弁当の包みを下から支えた。 その持ち方が妙に慣れていた。 明日の朝ミノルは遠くへ引っ越す。 二人でこの池に来るのは50年ぶりだった。 周一のカバンには古い写真がある。 橋を背に船で笑うミノル。 同じ構図でもう一枚撮り、並べて送るつもりだった。 台紙の右側はまだ白い。 昨夜の電話でもミノルが新しい部屋の窓の話を始めると、 周一は写真の話へ変えてしまった。 同じ写真が撮れれば離れても何も変わらない。 そんな気がしていた。 二枚並べた台紙をミノルの新しい部屋へ送るつもりだった。 ミノルが折りたたんだ紙を出して何かを確かめた。 帰り何時なんだ? 急がなくていいよ。 そう言われると周一は急いだ。 写真、弁当、昔話、この順番なら全部できる。 ところがオールを上げると船が回る。 橋を入れれば顔が暗くなる。 熱くなったミノルの手を画面から切ろうとすると船まで切れた。 俺が豪華? そこに座ってて前と同じだから。 ミノルの手が膝へ戻った。 周一は明日。 昨日一人で下見までした。 けれど船が揺れるのが気になり弁当の味もわからなかった。 今日は二人ならうまくいくはずだった。 そろそろ食べないか? すぐだから。 屋台の紙コップにもられた唐揚げを見て周一は作りたくなった。 小さい一つだけ味見をしたら思ったよりもうまかった。 残りはミノルのために取っておいた。 食べて欲しくて揚げた唐揚げは蓋の下で冷めていく。 船が傾き包みが落ちかけた。 スマホを握った周一より先にミノルはそこに手を入れた。 昔もこうやって押さえたな。 お前が卵焼きを落とすって騒いで。 あれ船で食ったんだっけ? 結局死へ戻った。写真の日はあの弁当の方を覚えてる。 冷たい死の淵、つぐれた卵焼き、笑って飛ばしたご飯粒。 写真の外にあった一日が戻ってきた。 ミノルがまた紙を開いた。 悪かった。何の電車だ? 帰りのじゃない、向こうからこっちへ来る時だ。 引っ越し先の駅から線が引かれ、この町へ着く時刻に丸があった。 お前、向こうに来るにもまず下見だろ。 三回はな。 じゃあ、俺が一回迎えに来る。 週一はようやく声を出して笑った。 橋の下が広く光った。 古い写真と同じ光景。 あと少しなら待てる。 もう一度構えれば撮れるかもしれない。 親指を押せれば撮影の丸いボタンに届く。 台紙の右側の白さが浮かんだ。 ここで帰れば今日の一枚を入れることはできない。 ミノルは弁当を抱え直していた。 週一はスマホをカバンへ入れ、ファスナーを閉めた。 戻ろう、腹減った。 両手でオールを握る。 橋と光が背中へ去っていった。 岸のベンチで唐揚げは片側に折っていた。 ミノルが大きい一つを週一へ渡す。 冷めた衣を噛むと醤油の匂いが鼻へ抜けた。 新しい部屋の窓どっち向きなんだ? ミノルは朝の光が台所まで入るらしいと話した。 週一は今度は最後まで聞いた。 写真は一枚のままだ。 明日の朝ミノルは行く。 今度の昼もここでいいか? 船から始める。 弁当からにしよう。 池の方でキーッとオール受けが鳴った。 週一はそちらを見ず口の中に残った唐揚げをもう少し噛んでいた。 もっと見る #旅立ち #人間ドラマ ショートストーリーの朗読ソフトウェアテストTACT 「そふてた」と呼んでください07:001.オールの空くほうコメント感想・質問・応援メッセージを書こう
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