TOPエンタメ映画・本ショートストーリーの朗読雨音の空欄06:53 10月27日 1再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次絵描きの律を悩ませる空白の一日遠くへ旅立つ娘と空白の昨日娘ユイが語る「書かないで」の真意全ページ公開の条件と父の苦悩空白のページが示す父の決断AI文字起こし(β版) # 雨音の空欄 雨音の空欄 聞きどころ 10年分のノートに昨日だけが白く残っています。 天地を控えた父は遠くへ引っ越す娘と会います。 書けなかった一日の理由を雨上がりの道でたどります。 5分物語 濡れたサドルを拭いた布から細い水が垂れた。 絵描きの律は 午後に天地へ渡す10冊のノートを紙袋に詰めた。 最後の1冊を開くと昨日だけが白かった。 右下にカップの輪っかのシミとペン先を押した小さい凹みがある。 机の案内には1日も書けない10冊10年とあった。 全ページの公開が条件だった。 準備金は受領済みで、辞退すれば返す契約だった。 仕事が減ってから、律は空いた時間を細かく書いた。 文字で埋まった日は自分がまだ必要とされている気がした。 昨日は何をしたんだっけなぁ。 財布にコーヒー2つのレシートがあった。 台所の鍋をすった感触は残っている。 その前だけ思い出せない。 携帯には娘のユイから連絡が来ていた。 昨日はありがとう。傘乾かしておいてね。 ユイは今日遠い町へ引っ越す。 律は昨日のことを尋ねた。 返事は昨日の続きなら同じ店でだった。 出発時刻の横には前から二重線を引いてあった。 覚えておこうと書いていた数字は残り、その前に 一緒にいた時間だけが抜けている。 律は電話をかけ直そうとしてやめた。 律は自転車の鍵を置き、娘の紺色の傘を持って歩いた。 水たまりの前で足が止まる。 昨日ここで傘を傾けた。 白い靴を濡らさないように。 枝に分かれた黄色い糸を指で触り、 律は喫茶店のドアを押した。 受け皿の輪が白いページの染みと同じ大きさだった。 ユイとコーヒー、それだけ書けば昨日の乱は埋まる。 律はペンを抜いた。 紙の凹みに先が収まった時、 待って、 とこちらへ向けられた娘の手のひらが浮かんだ。 扉が開き、ユイが迎えに座った。 そのページまだ広いね。 昨日のことを思い出せなくて、 私が書かないでって頼んだんだよ。 ペンの蓋をした音が戻ってきた。 昨日ユイは後で読む人のない話がしたいと言った。 律は聞いた。 役に立つ答えを探して口を挟みかけ、それもやめた。 僕、ちゃんと聞いていた? 途中で一回だけ口を挟んだ。でも途中でやめた。 律は笑い、それからノートを閉じた。 何もなかったのではなかった。 自分で書かなかったのだ。 展示担当から午後2時の引き取りを確認する連絡が来た。 律は一部を非公開にできるか尋ねた。 返信は全ページ公開が条件なので、変更なら今日の枠を別の展示に切り替える、だった。 白いまま出せば娘の話は読まれない。 でも会場でこの空欄はなぜかと聞かれたら、自分はきっと娘の話を上手に説明し始めるだろう。 展示があるんでしょう? 駅までは一人で行けるよ。 うん、今、僕が決めるところ。 展示用に整えた机も、送るはずの10冊も家で待っている。 謝礼を見込んだ買い物もあった。 だが、やめてほしいと娘に言わせれば決めるのは楽になる。 律はその言葉を待たず送信団を開いた。 娘に決めてもらうのはやめた。 律は原本公開を取りやめると送り、受け取った準備金を返金した。 残高は確かに減った。 今日の展示枠は変更します。 と、すぐ返事が来た。 家の10冊は家に残る。 律は手放したものを薄めに数えて聞かせず、隣の椅子を指した。 「そっちへ行ってもいい?」 由依はカバンを床へ下した。 二人で同じ窓を見ると、向かい合っていた時には見えなかった細い道があった。 傘の先からスティックが落ちた。 律はポケットのペンに触れ、手を戻してカップを取った。 その底から白いテーブルにもう一つ小さな輪が残った。 もっと見る #家族ドラマ #現代文学 ショートストーリーの朗読ソフトウェアテストTACT 「そふてた」と呼んでください06:531.雨音の空欄コメント感想・質問・応援メッセージを書こう