TOPハウツー・学習歴史十二単着付け師の【にちにち気づきだより】第643話 【空薫物】どこで焚いているとも知れぬように…09:02 9月24日 71再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次平安時代の香り「炊き物」の製法香りが語る季節と秘伝の調合最高の美を生む「空薫物」の心髄見えない美意識:プロの「仕立て」の極意「最後の一手」が明かす究極の美AI文字起こし(β版) # 今日はどんな日? 日々気づきだより佐藤美奈子です。 今日もお聞きいただきありがとうございます。 このチャンネルでは、毎朝、平安の行事、季節の移ろい、 当時の人の暮らし、そして生息のこと、その日の暦を一つお話ししています。 千年前の営みが、今の暮らしや仕事にどう繋がっているのか、 毎朝一つお届けをしています。 昨日は、終分と彼岸の中日のお話をしました。 今日は香りの話です。 平安の香りはどういうものだったのか、紐解いていきます。 # ほのかに香らせる 灰塩の香りは、炊き物とよく言います。作り方を追ってみます。何種類もの香木や香料を粉にします。それを蜜や梅の果肉で練り合わせる。そして丸めます。 これをどうするか。灰に埋めた炭火でゆっくり温める。炊くというより温めて香らせるという方法です。 代表的な6種を、 無草の炊き物と言います。無草というのは6種と書きます。 黒棒、梅花、花葉、菊花、落葉、地獣、この6種です。 このうち、秋の香りとされるのが、菊花、地獣、そして落葉です。 さて、ここが面白いところです。地獣という香りは、秋の物寂しさを表す香とされました。 香りに季節があるだけではなくて、その季節の感情まで割り当てられているわけです。 そしてもう一つ、配合は各家々の秘伝でした。 つまり、その人だけの香りになります。 誰が通ったか、香りでわかる。 その前に、ここに誰がいらっしゃったのかが、残りがねわかるという感じです。 物語の中で、貴重の陰にいる人が、香りで知れてしまう場面があるのは、そのためです。 今日の一語は、そらだきもの。 どこで焚いているとも知れぬように、部屋にほのかに香らせることです。 香りの一番上品な使い方とされていました。 着付けをしていると、手をかければかけるほど、それを見せたくなるという瞬間があります。 ここを直しました。ここを工夫しました。ここまで整えました。そんな風にです。 けれども、長く続けているとむしろ、それが見えない方が美しいんだよな、という風に思うようになってきています。 紐がどこにあるのかわからない。補正をしたことも感じさせない。けれども、立った姿はすっと美しく整っている。 その方が最初から、そういう佇まいだったように見えるわけです。 あまりにも、このやった仕事があからさまに見えるというのは、ちょっと野暮だなと思う私の性分なので、 あまり、こうやっていることが見えない。けれども、意外としっかりと仕事はしているけれども、仕事した風に見えないという方が意外と好きです。 そういう風になって仕上がりが好きなんですね。 次行性の方にも、やりすぎないことというのを、なるべくお伝えをしています。 例えば、足したくなったら、まず一度確認をする。見ること。直したくなったら、本当に必要かを考える。 これはよくあることで、例えば着物というのは、昨日のお話とちょっとつながりますが、左右対称にできているんですよね。 話題の方がしっかり整えてくださっていますけれども、それを曲線のある女性の体に着付けていくという時には、やはりやや寸胴気味に補正をするということが必要になります。 補正いらずの体型の人は、そのままでいいですけれども、スタイルのいい方であれば、ウエストの部分がキュッとなりすぎてしまうと、 シワや着崩れになってしまうこともあるので、程よい補正というものが必要なんです。 けれども、自分はこれでいいと思っても、お隣のお客様に対して、他の着付け師さんが徹底的に補正をしていると、 私は足りないのではないかと思って、どんどんどんどん日頃の仕事を忘れてしまって、どんどん足したくなってくるということもよくあります。 最後の仕上げでは何かを加えるというよりも、余分なものを消していくという方が多いんですけれども、 手をかけることと、手の跡を残すこと、やった仕事を残してしまうことというのは同じではないはずなんですね。 気づかれないところまで整っていて初めてその人自身の美しさが前に出てくると思います。 いかにもこの仕事ぶりは誰々、よく美しい仕上がり、素晴らしい完璧な仕上がりをなさる先生だと、 ああ、もしかしてこの着付けはあの先生かなって思わせるぐらいの着付けの方っていらっしゃるし、 かつらの言い方もそうですね。例えば文琴高島田のかつらの言い上げ、言い上がりというものを見ても、 ああ、あれは多分あの先生の言い方だとか、この先生の言い方だというのがわかるんですよね。 だからといって、やりすぎだから美しくないということではないです。美しいけれども、 そのお客様につけるときにそのアピールはあまりいらないのではないかな、特に着付けの場合はいらないのではないかなと思います。 あとを濁さずにというか、爪痕を残さずにというか、それでもよく見ればきちんとした仕事をしていて、 でも見た感じはすごくさらりと仕上がっているというのを私は目指していますし、 受講生さんにもそうなってほしいなと日々考えています。 どこでお香も炊いているのかというものを知れぬように、その空炊き物という言葉がとてもいいなと思います。 炊き物をしているんだけれども、空炊き物、どこで、うつつな感じですよね。 どこで炊いているのかわかんないけど、いい香りがするよねという感じ。 香りはそこにあるんだけれども、どこからその香りが来ているのかわからないという、そのなんとなく微妙な感じが美しいなと思います。 もし香炉が見えていたら、ああ、あそこで炊いているんだなということで終わります。 見えないから部屋そのものは通っているように感じます。 これは私の仕事の目指すところでもありまして、着付けをしてよく手をかけたなとわかってしまうのは多分まだ足りていない。 一番いいのは、その方がもともとそういう姿だったんじゃないかって見えることまで私が仕上げる。 こちらの手が見えないけれども、きちんと整っている。 手をかけないのではないけれども、手をかけたことを見せない、そういう感覚。 そしてその差は大抵最後の一手まで決まっていきます。 最後の一手というのを気をつけてくださいねってよく言います。 見せるための手ではなくて消すための手が最後にいるということです。 千年前の人は香りでそれをやっていたわけですね。 はい、今日は9月24日。明日は中秋の明月の話をします。 平安時代は月を見るのにも、ちょっとした決まりとか、しきたりとか、感覚というものがあったわけです。 月を直接見上げない、それをヒントにして今日は終わりにします。 それではまたごきげんよう。 もっと見る #香り #お香 #秘伝 #香道 #残り香 十二単着付け師の【にちにち気づきだより】さとうみなこ00:421.今日はどんな日?08:202.ほのかに香らせるコメント感想・質問・応援メッセージを書こう yo u9月24日美しいお話でした。空薫物。初めて耳にした言葉でした。私もこの空薫物のような生き方をしたいです。1返信 さとうみなこ9月24日気づけば美しい香りに包まれている…そんな人が浮かびました!1
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空薫物。初めて耳にした言葉でした。私もこの空薫物のような生き方をしたいです。