TOPハウツー・学習歴史十二単着付け師の【にちにち気づきだより】第650話 衣を整え、季節を迎える10:52 10月1日 71再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次平安貴族の衣替え:住まいも変える五感で楽しむ平安の季節の移ろい「更衣」に込められた二つの意味とは?衣が導く心と体の季節への準備衣替えで心と暮らしを整える秘訣AI文字起こし(β版) # 今日はどんな日? 日々気付きだより佐藤美奈子です。今日もお聞きいただきありがとうございます。 このチャンネルでは、毎朝、平安の行事、季節の移ろい、当時の人の暮らし、そして、消息のこと、その日の暦を一つお話ししています。 千年前の営みが、今の暮らしや仕事にどう繋がっているのか、毎朝一つお届けしています。 はい、10月になりました。今日は10月1日。衣替えを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。 制服が冬服に変わったり、タンスから合わせの着物を出したり、着るものの変化によって新しい季節を感じる日ですね。 平安時代の宮中にも、季節に合わせて、装いを改める、衣替えという行事がありました。 漢字は、あらためる衣と書きます。こういとも読みますね。衣を改める、その字の通りです。 行われたのは、旧暦の4月1日と10月1日。夏の消息へ、そして冬の消息へと変える節目です。 ただ、当時の10月1日は旧暦ですから、現在の10月1日とは季節の位置が変わります。旧暦では、10月から冬に入ったということですね。 時代とともに日付や形は変わっていますけれども、衣を変えて季節を迎える習慣は、今の暮らしにとても受け継がれていると思います。 そして平安時代の衣替えには、もう一つ心を惹かれるところがあります。身に着ける衣とともに、暮らす場所の出来もあらためていたのです。 # 身体と気持ちを、次の季節へ 平安時代のスマイというと、ミスや貴重のある景色を思い浮かべる方が多いかと思います。 ミスは、簡単に言うとすだれのことです。 貴重というのは、台に立てた柱に横棒を渡したような台を作って、布を垂らした調度品です。 神殿造りのスマイは、今の住宅のように固定した壁で細かく部屋を分けるという造りではありません。 ミスや貴重、屏風などを用いて空間を仕切り、人の居場所を整えていたわけです。 そのため、そこに掛ける布や置く調度というものは、日々の暮らしに深く関わっていました。 衣替えの時期には、こうした室内の室内にも季節に応じた変更を加えています。 例えば、貴重や寝るところを囲うように、御帳というものが、御帳台とも言ったりしますが、 この御帳に掛ける布、これを肩びらと言います。 夏には木布、いわゆるすずしという薄く透ける木布の布を用いていますし、 冬には練り布を用いているなど、季節に合わせて変えていたわけです。 そこで少しその景色を思い浮かべてほしいのですが、 いつも目に映える布が変わる、光の透け方が変わる、 身につけるこの物の感触もこれまでとはちょっと違ってきます。 身の周りの変化を目でも肌でも感じながら、次の季節を迎えているわけです。 衣替えにはそのような暮らしの節目としての意味がその当時もあったわけですね。 衣を整えることに、住まいを整えることが一続きになっている。 私はとてもそこに惹かれます。 さて衣替えという二文字にはもう一つおなじみの読み方があります。 そうです。先ほども言いましたが、行為という呼び方です。 源氏物語に登場する桐坪の行為、光源氏のお母さんですね。 こちらの行為は、皇居における孝後に次ぐ地位の呼び名です。 元は天皇のお召し会に奉仕する役目に由来すると言われています。 季節の行事としての行為と、皇居の故障としての行為、 意味は異なりますが、同じ文字の中に衣を改めるという行いが見えます。 衣に関わる仕事をしている私には、気に留めておきたい言葉です。 衣を手に取って着る方のために整える、その行いが人の暮らしや宮中の営みの中にあったことを感じます。 そして今も衣に触れていると季節が映っていることを、手の感覚から教えられることがあります。 10月に入ると、稽古場でも衣の手触りが変わってきます。 そしてお話の中でも変わってきます。 一重から合わせへ変わっていくので、受講生さんの質問とか、 ご注文に合わせて練習にお目になる方なんかは、やはり夏物と一重をこなしてきて、 改めて合わせの着物を着付けるというお仕事に入っていくので、質問もやはり増えてきます。 同じ着物でも手に取った時の重みも違いますし、体に沿わせた時の落ち方も違います。 夏の間、軽く風を通すことを考えていた手なんですけれども、 今度は少し重みのある衣を受け止める手に変わっていく、そんな感じです。 私はこの変わり目がとても好きで、受講生の方には、 季節は少し先を切るものですよね、とお伝えすることがあります。 寒くなりきってから冬の支度をするのではなくて、 まだ暑さが残っている頃に次の季節を迎える準備を始める。 最初はまだ暑いのにと不思議そうにされることもありますけれども、 衣を変えてみると不思議なもので、こちらの気持ちも少しずつ秋へ秋へとどんどん向かっていくものです。 装束や着物というものは、気温に合わせるだけのものではないと思います。 袖を通すことで、自分の方から季節に近づいていくものでもあります。 もちろん今は昔より暑さが長く続きますので、体に無理をさせない工夫は必要です。 それでも季節の節目を意識して衣を整えるという習慣は残したいなと思います。 毎日を過ごしていると季節はいつの間にか変わっていますが、 今日からと決めて衣を変えると、その変化を自分の手で受け取ることができます。 衣替えというのは、タンスの中身を変えることではなく、自分の体と気持ちを次の季節へそっと移していくことなのかもしれませんね。 季節の変わり目は毎年同じようでいて、その年ごとに違います。 10月になっても薄いものを着ていたい日もありますよね。 私も毎年11月まであまりコートは着たくない方ですけれども、11月後半から12月はやっぱりぐっと寒くなるので着たくなります。 朝は涼しかったのに、昼には汗ばむこともあります。 ですから、実際に身に着けるものは、その日の気候や過ごす場所に合わせて選ぶことが大切です。 その上で、暦の節目には、そろそろ次の季節の支度をしようかなと暮らしを見直すきっかけをもらえるように思います。 すぐに着なくても次に着る一枚を出して、状態を確かめておく。 私の場合は、タンスに奥の方に次の季節、それこそ夏の前の季節のものを奥に置いておいて、手前にこの夏に着ていた薄物がありましたから、 奥の方から出してきた時に、もう一回ちょっと中性洗剤、おしゃれ着洗いでふんわりさせておこうかなとか、そういう状態を確かめておくという時期にもかかってきます。 そうした施策をしているうちに、気持ちも少しずつ次の季節へ向かっていくのではないでしょうか。 いつも座る場所にひざかきを一枚用意するだとか、玄関に飾るものは秋の気配を感じるものに変える。 身に着けるものと過ごす場所の両方に少しずつ季節を迎えていくわけです。 そうすると朝夕の空気が変わった時にも、その変化を落ち着いて受け止められる気がしています。 今の暮らしの中で、衣替えを受け継ぐというのは、そうした心配りを季節ごとに確かめ直すことでもあるのかもしれません。 10月1日、新しい月の始まりに、身に着けるものや身の回りのものを一つ見直してみてはいかがでしょうか。 秋に使いたい一枚を手に取ってみて、夏の間に働いてくれた衣を丁寧に手入れをする。 今日できる小さなことからで良いと思います。 ああ、季節が変わるなというふうに、自分がしみしみと感じられるのではないでしょうか。 それではまた。ごきげんよう。 もっと見る #衣替え #季節の変わり目 #更衣 十二単着付け師の【にちにち気づきだより】さとうみなこ02:051.今日はどんな日?08:482.身体と気持ちを、次の季節へコメント感想・質問・応援メッセージを書こう
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