TOPハウツー・学習歴史十二単着付け師の【にちにち気づきだより】第648話 言葉を知ると、見えるものが変わる08:17 9月29日 67再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次秋の情景を彩る微妙な言葉の数々曖昧な感覚が明確になる言葉の力「なんとなく違う」が「違い」に変わる瞬間技術習得に不可欠な言葉と観察眼の連携言葉で育む感性と世界を深める知覚AI文字起こし(β版) # 今日はどんな日? 日々気づき頼り、佐藤美加子です。 今日もお聞きいただきありがとうございます。 このチャンネルでは、毎朝、平安の行事、季節の移ろい、 当時の人の暮らし、そして、所属のこと、その日の暦を一つお話ししています。 千年前の営みが、今の暮らしや仕事にどうつながっているのか、 毎朝一つお届けしています。 はい、昨日は、虫が戸をふさぐ行のお話をしました。 戸をふさぐという小読みの言葉から、 お稽古をお休みになる方を、どのような気持ちでお迎えするか、 そんなお話をしましたね。 今日は、秋の涼しさや寒さを表す言葉を、いくつかご紹介いたします。 風にふれて心地よいと思う日、 同じような風でも思わず袖口を押さえたくなる日、 秋の言葉にはそうした感じ方の細やかな違いが現れています。 一つ言葉を知ることで、いつもの景色や自分の感じていることが少しはっきりしてくる。 今日は、そのような言葉の働きについて、お話をしてみたいと思います。 # 違いに気づく目 はい、少し寒さを感じる言葉、いくつかご紹介します。 まずは、新寮。 新しく、涼しいと書きますね。新寮。 秋に入って、新たに感じる涼しさです。 8月にもお話ししましたね。 夏の暑さが続く中で、秋の訪れを感じさせてくれる、嬉しい涼しさです。 そこから季節が進むにつれて、涼しさの中に少しずつ寒さを感じるようになります。 そして、やや寒。 秋になって少し寒さを覚える頃の言葉です。 冬の厳しい寒さには、まだ間のある言葉です。 そして、うそ寒。 うっすらとなんとなく感じる寒さ。 そして、そぞろ寒。 こちらもなんとなく感じる寒さですが、季節が移っていくことを心で受け止めるような響きがあります。 そして、肌寒。 といえば、肌に触れる空気の冷たさが、より身近に感じられますね。 もう一枚、何か羽織りたくなる、そんな感覚を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。 こちらは気温の低い順にきちんと並んでいるわけではありませんで、意味の重なるところもあります。 けれども、声に出してみると、響きも思い浮かぶ情景も少しずつ違います。 さらに秋が深まると、「身に浸む」という言葉があります。 冷たさが体の奥まで染み通るような感じ。 そこには、秋の寂しさや、しみじみとした思いが重なることがあります。 同じ秋の空気に触れても、肌で感じることと心に残ることがある。 その両方を言葉にしてきたわけです。 私は、こうした言葉の豊かさに、季節の小さな変化を丁寧に受け止めてきた人々の姿を感じます。 そして、言葉を知った私たちも、今日の風はどの言葉が近いだろうと、少し立ち止まって感じてみることもできます。 言葉を知ることが、気づくきっかけになる。 これは、私がお稽古場でも感じている大切なことです。 小族焼き付けのお稽古では、似ているようで、違う言葉をたくさん覚えていただく場面もあります。 最初は、「そこまで細かく分ける必要があるのですか?」と思われることもあります。 そこまで細かいんですね。けれども、私はなるべく言葉を省かないように説明しています。 名前を知らないうちは、「なんとなく違う。」で終わってしまうからです。 ところが一つ言葉を覚えると、それまで同じに見えていたものの違いが急に見えることになります。 例えば、布の質、色の重なり、あとは手の位置とか、置き方のわずかな差だったりします。 そして、なんとなくおかしいと感じていたことを、自分の言葉で説明できるようになる。 その時に、技術も一段深くなるのだと思います。 言葉が増えるというのは、覚えることが増えるということではちょっとなくて、 それまでぼんやりしていたものに輪郭が生まれてくる、そっちの方が一番近いかなと思います。 私は言葉を教えているようで、実は違いに気づく目を一緒に育てている、 そんな気持ちで皆様に向き合っている、という日々を送っています。 なんとなく違うと感じられることも大切な始まりです。 まだ説明はできなくても、目や手は何かに気づいているはずです。 そこに言葉が加わると、どこがどのように違うのか、ともう少し丁寧に確かめられるようになります。 手の位置なのか、布を引く方向なのか、重なりの幅なのか、確かめるところが分かれば自分で整い直すことにもつながります。 教える側が伝えた言葉を、やがてその方がご自身のために使えるようになる。 私はそこに言葉を丁寧に伝える意味があると思っています。 ですから、初めての方には実物を見ていただいたり、手を動かしていただいたりしながら、言葉と感覚が結びつくように、なるべく伝えたいと思っています。 秋の言葉も同じかもしれませんね。 肌寒いという言葉を知っていると、風が肌に触れた時の感覚にふと意識が向く。 そぞろ寒という言葉を知ると、冷たい空気と共に感じた秋の寂しさにも気づくことがある。 一つの言葉を知って実際に感じてみる、そして感じたことをもう一度言葉にしてみる。 その繰り返しが物を見る目や感じ取る力を少しずつ育ててくれるのだと思っています。 今日は9月29日。もう明日で9月も終わりです。早いです。 今日外に出られたら、風に触れた時の感覚を少し気に留めてみてください。 まだまだちょっと台風が怪しい時でもあります。 心地よい涼しさというよりも、ちょっと怖い涼しさかもしれません。 何か一枚羽織りたくなるような肌寒さでしょうか。 今の自分の感覚に近い言葉を一つ探してみる。 それだけでも、いつもの道で感じる秋が少し鮮やかになるかもしれません。 明日は9月の呼び名、長月のお話をします。 月の名前に込められた季節の気配をたどりながら、9月を締めくくりたいと思います。 それではごきげんよう。 もっと見る #なんとなく #身に入る #うそ寒 #肌寒 十二単着付け師の【にちにち気づきだより】さとうみなこ01:231.今日はどんな日?06:542.違いに気づく目コメント感想・質問・応援メッセージを書こう
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