TOPハウツー・学習歴史十二単着付け師の【にちにち気づきだより】第656話 少し寂しくなったら…それは秋のせい08:52 10月7日 47再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次「秋の日はつるべ落とし」の真実「秋の暮れ」二つの意味の深さ寂蓮法師の歌に学ぶ「寂しさ」夕暮れの稽古場に訪れる静寂理由なき寂しさを「秋のせい」にAI文字起こし(β版) # 今日はどんな日? 日々築きだより佐藤美奈子です。今日もお聞きいただきありがとうございます。 このチャンネルでは毎日、平安の行事、季節の移ろい、当時の人の暮らし、そして衣のこと、その日の暦を一つお話ししています。 千年前の営みが、今の暮らしや仕事にどう繋がっているのか、毎朝一つお届けしています。 はい、今日は10月7日です。もう10月に入って1週間です。 このところ暗くなるのが早くなったと思いませんか? 秋の日は、つるべ落としと言います。 このつるべというのは、井戸で水を汲むための桶のことです。 縄をつけて井戸に落とす。スルスルスルとまっすぐ落ちていきますよね。 秋の日の沈み方は、あれと同じだという言い方です。 そろそろかなと思った時には、もう暗い。 数字で言うと、この時期の日没というのは、毎日1分以上ずつ早まる、だそうです。 月日の頃と比べると、夕暮れは、2時間近く早くなっているはずです。 そういえば、暗くなるのが早いな。 今日もこの放送、朝ではなくてこの夜になりましたけれども、 夕方5時に退社しますけれども、スタッフとともに、 もう夕暮れ時だね、日が暮れるの早くなったねと言いながら別れました。 ちょうどそのように気づくのが、今頃の時期です。 今日は、暦の話、この季節の言葉を1つご紹介します。 秋の暮れ。 これには2つの意味がありまして、1つは、秋の夕暮れのこと。 1日の終わりですよね。 そしてもう1つは、秋の終わりのこと。 季節の終わり。1日の終わりと季節の終わり。 同じ言葉で両方を指します。秋の暮れという言葉。 1日の終わりと季節の終わりが同じ言葉に包まれているというか、 それで表現されている。 とてもこの重ね方というか、言葉と言葉のあやというか、 そういうものがとてもいいなと思います。 有名な歌があります。 寂しさは、その色としもなかりけり。 薪立山の秋の夕暮れ。 これは、若蓮芳子の歌です。 古今和歌集に入っている歌ですけれども、 寂しさにはこれという色があるわけではない、 まあ、そんな感じの、簡単に言えば、意味なんですけれども、 紅葉が寂しいのでもない、 枯れ野が寂しいのでもない、 色ではないけれども、確かに、 この秋の何か山というか、 薪立山ってから薪が立つ山、 そういう感じがなんか寂しい。 秋の夕暮れの何とも説明しがたい感じを、 これほど正確に言った歌はないと言われています。 そしてもう一つ言いたいのは、 この歌は、寂しさというのを否定せず、 寂しいのは、いけないことだとも言っていない。 ただ、色がないと言っているだけです。 理由がわからない寂しさに、あえて理由を探さなかった。 そこが、この歌のいいところかなと思います。 # それはきっと秋のせい 秋になってきますと、お稽古が終わる頃の光が急に変わったなと感じる日があります。 少し前まで明るかった窓の外が気づけばもう薄暗いですよね。 時効性の方がお帰りになって道具を片付けて、そして小座の上に置いたり、畳の上にボディーを置いたり衣装を置いたりしているので、 そういうものをいろいろ整えたりしていますと、昼間にはなかった、すごく静かな、本当に人がいないので静かでもあるんですけれども、 それとはまたちょっと違った静けさがお稽古場には戻ってくるという感じです。 さっきまで人の声がしていた場所に私とスタッフ、後輩だけが残っていたり、私だけが残っている、そんな時間です。 私は一日の終わりに使ったものを元へ戻しながら、小族ですとか着物をもう一度見るということがあります。 昼の光の中ではとても華やかに見えていた色が、夕方になると少し沈んで見えます。 同じ色なんですけどね、どこか落ち着いて遠くなったように感じることがあります。 不思議ですよね。その日に何か嫌なことがあったわけではないんですけれども、稽古もうまくいったし、皆さん楽しそうに帰られたし、 明日の予定もきちんとあります。 それでも片付けが終わって夕方の稽古場に一人でいると、ほんの少しだけですけれども寂しい気持ちになることがあります。 以前はどうしてかなと理由を考えていましたけれども、自分でも疲れたのかなとか、何が気になっているのかなと思ってはいたんですけれども、今はそれほど考えなくなりました。 人が帰った後の静けさですとか、急に短くなった夕暮れとか、あとは少し深く見える衣の色、そういうものが重なっていくと、 ただ秋の夕方を感じているだけなのかもしれない。 もうその感じる時って、やっぱり夏でもないし、春でもないし、ちょうど今自分の時期のお稽古の時に、毎年なんとなく物悲しくなるんですよね。 また来週になったら皆様お集まりになって、また楽しい時間が来るんですけれども、 なんとなく秋に絆されてというか、秋の影響でなんとなくいろんなものが寂しげに見えてくる、そんな私です。 一日の終わりには、一日の終わりにしかない心の動きがありますよね。 私はそういう時間もそのまま、これも受け取ろう。 そして楽しい時もそれはそれで受け取ろう。 寂しかったり、あとはちょっとどっと疲れたなという時も、疲れてなんかいられないと思わずに、 疲れたら疲れたで、疲れていいじゃないかとそのまま受け取るようにしています。 例えば理由のわからない寂しさというものが皆さんありませんでしょうか。 何かあったわけでもない、困ってもいない、それでもちょっと夕暮れ時になると少しちょっと気分が落ちていく感じ。 こういう時ってどうしても私たちはつい理由を探しますよね。 疲れているのかしら、何か忘れているのかしら、あらあの人のことかしらとか、探せば大抵何か見つかるんですけれども、それが本当の理由とは限りません。 ジャクレン法師は探しませんでした。 その色としもなかりけり、色があるわけではない、つまり原因は特定できないとおっしゃっています。 私はとても優しい歌だなと思います。 理由がなくても寂しくていい、そう言ってくれている。 そして季節のせいにしてしまうのも一つの手だなと思います。 秋の暮れだから、日が短いから、それで済まされることは済ましてしまう。 あんまり深く考えるのもどうかなと思わせてくれる歌だなと思います。 千年前の人も同じ夕暮れに同じことを感じていたんですね。 その事実だけで少し楽になりませんか。 10月7日、秋の日は鶴べ落とし、今日の日没は多分5時20分頃ではないでしょうか、統計で言うと。 もうこの音声を聞きの時間はどっぷりと夜になっていますけれども、少し寂しくなったら、それは秋の暮れのせいだと思ってください。 それではまたごきげんよう。 もっと見る #二十四節気 #七十二候 #秋の歌 #寂蓮法師 #日没 #夕暮れ時 十二単着付け師の【にちにち気づきだより】さとうみなこ03:531.今日はどんな日?05:002.それはきっと秋のせいコメント感想・質問・応援メッセージを書こう
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