TOPハウツー・学習歴史十二単着付け師の【にちにち気づきだより】第662話 【平安の女性】なぜ眉を抜き、歯を黒くしたのか13:29 10月13日 81再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次平安女性の顔:現代と異なる化粧の謎薄明かりの生活:引き眉とおは黒の意味高貴さの表れ:白い肌に隠された価値観装束と所作:美を形作る生活様式1000年後の視点:美意識の変遷を考察AI文字起こし(β版) # 今日の話は? 日々気づきだより佐藤美奈子です。 今日もお聞きいただきありがとうございます。 このチャンネルでは、毎朝、平安の行事、季節の移ろい、 当時の人の暮らし、そして衣のこと、その日の暦を一つお話ししています。 千年前の営みが、今の暮らしや仕事にどう繋がっているのか、 毎朝一つお届けしています。 おはようございます。10月13日となりました。 今日は、平安時代の女性のお化粧についてお話ししてみたいと思います。 平安の女性と聞くと、長く美しい黒髪に、 十二単位をまとった姿を思い浮かべる方が多いでしょうね。 でも、そのお顔がどのようなものだったのか、ご存知でしょうか。 なんとなく絵巻物を見ていると、眉毛がちょっと上の方にあって、 そしてほっぺたがふっくらとした女性、そんなお顔を思い浮かべるでしょうか。 今の私たちのお化粧とは随分違っていました。 まず、お白いを使って肌を白く整えます。 そして、眉は生まれつきの眉を抜いて、その上の位置に、 もうちょっと生え際寄りと言った方がいいでしょうかね。 眉墨で新しく描くんですね。これを引き眉と言います。 そして、カネと呼ばれるもので歯を黒く染めます。 いわゆるおは黒ですね。 唇には紅を指しますけれども、口元を小さく見せるように描くこともあったようです。 白い肌に黒い眉と歯、そして小さな紅の唇。 もし、今の街でこのようなお化粧をした方にあったら、思わず絵と振り返ってしまうかもしれませんね。 ちょっとコスプレの何かイベントでもあったんだろうかって思っちゃうと思いますが。 でも平安の貴族たちにとっては、それが美しい装いだったわけです。 では、どうしてこのようなお化粧が好まれたのでしょうか。 今日はその背景にある暮らしや美意識を少し覗いてみたいと思います。 # 眉の話 平安時代のお化粧を考えるときに、まず思い浮かべていただきたいのが、当時の住まいです。 以前、平安の明かりのお話をしたことがありましたね。 今のように、平安の隅々まで明るく照らす伝統というものは、もちろんありません。 夜は、油を使った小さな明かりを灯していました。 昼間も、建物の奥まった場所では、光が十分に届くとは限りません。 水や気調で空間を仕切って、柔らかな光の中で暮らしていたんですね。 そんな室内に、お城を塗った女性が座っているところを少し想像してみてください。 長い黒髪が肩から背中へ流れて、その間に白い顔が浮かび上がります。 白と黒の対比が薄暗い室内では、一層印象深く映ったことでしょうね。 そして、小さく刺した紅が顔にほんのり、少しだけ彩りを添えます。 ただ、こうしたお化粧の理由を、明かりの暗さだけで説明することはできません。 白い肌は上流階級の女性らしさや高貴さを表すものでもあったからです。 また、おは黒には、大人の仲間入りを示す意味もありました。 眉の形にも、その時代ならではの美意識が現れています。 私たちは、顔の表情というと、目や口元とともに眉の動きからも読み取っていますよね。 驚けば眉が上がるし、困ればこの眉間が、こう、ちょっとシワが寄ってくる。 けれども、元の眉を抜いて額に新しく描いた眉は、表情に合わせて大きく動くことありませんよね。 それが、穏やかで落ち着いた印象に繋がったのではないかな、という見方もあります。 もちろん、当時の女性たちが、皆同じ理由でこの化粧をしていたわけではないでしょう。 ただ、一つ言えるのは、あのお化粧は顔だけを切り離して考えられたものではない、ということです。 長く垂らした黒髪、何枚もの衣を重ねた小族、水や貴重に囲まれた住まい、そして、そこで過ごす人々の所在や物の考え方、見方、 そうしたものと一緒に、当時の美しさが育っていったのではないかなと思います。 今、私たちは明るい場所で平安の化粧を見て、少し不思議に感じるかもしれませんが、千年前の人たちが暮らしていた場所へその姿を戻してみると、また違う印象になるのではないかと思います。 私は絵文堂の仕事を通して、このことをよく感じます。 例えば、十二単位を初めてご覧になる方は、衣を何枚も重ねることや、長く引く裾に驚かれることがあります。 あ、こんなに長かったんですね、とか、こんなに重ねているんですね、本当に重そうですね、というふうに驚かれます。 これほど重ねて動きにくくはないでしょうか、とか、こんなに長い裾は邪魔にならないのでしょうか、 走れませんね、とか、もともと走るという文化ではなかった、とも言えますけれども。 今の私たちの裾絵から考えると、そう感じるのも自然なことだと思います。 現代の着物の着付けでは、裾を美しく揃えて、歩きやすく整えることも大切ですね。 けれども十二単位をその感覚だけで見てしまうと、本来の美しさを見落としてしまうことがあります。 十二単位は私たちが普段着物を着て街を歩くような装いとは違う暮らしの中で育まれていたものだからです。 衣を重ねて裾を長く引いて、こう座ったときには布がゆったりと広がります。 袖の重なりも立っているときと腰を下ろしたときとでは表情が変わります。 私はこの十二単位のおふくあげをするときに、装束の形を美しく整えることはもちろんですけれども、 お方様の所在にも心を配るようにしています。 たくさんの衣をまとったときにどのように手を置くと自然なのか、 どのように体を傾けると布が美しく落ち着くのか、 装束を着ることで普段の体の使い方とは少し違う動きが生まれてくる、 そういうことを皆様に体験していただきたいなと思っています。 最初は衣の重なりに戸惑っていた方も次第に体の力が抜けてきて、 袖の扱いですとか手の置きどころが落ち着いてくることがあります。 すると不思議なことに同じ装束なのにお姿の印象まで変わって見えてきます。 私はそういう瞬間に昔の人たちが大切にしてきた美しさへほんの少し近づけたような気持ちになります。 衣だけを整えれば良いというわけではありませんね。 その衣をまとってどのように過ごしていたのか、 誰の前に座ってどのような所作をしていたのか、 そこまで想像して初めて装束の形が持つ意味も見えてくるのでしょう。 ですから受講生の方にもただ形を覚えるのではなくて、 その装いが生まれた時代の暮らしに思いを向けていただきたいと思ってそのような指導をしています。 今の感覚では少し不思議に思える形にもその時代に生きた人たちなりの理由があります。 それを知ることが昔の装いを学ぶ面白さの一つなのだと思います。 こうして考えてみると美しさというのはいつの時代も同じ形をしているわけではないですよね。 私たちはどうしても自分が見慣れたものを基準にしてしまいます。 今美しいと思うものがいつの時代にも美しいはずだと、 どこかでちょっと混乱してしまうというか考えてしまうのかもしれません。 けれども平安の女性たちのお化粧を見ているとその考えが少し揺らいできませんか。 お白いで整えた白い顔も、ひき眉も、おはぐろも、 当時の人たちにとっては美しさや品格を表すものでした。 ただ目立つために変わった化粧をしているわけではありません。 そこにはその社会で大切にされてきた価値観があって、暮らしの在り方がありました。 そう思うと私は平安のお化粧を奇妙だとは言いたくないわけです。 むしろその時代の人たちが何を美しいと思っていたのか、もう少し知りたくなります。 今の私たちも毎朝鏡の前でお化粧をしますよね。 仕事に行く日も、人にお会いする日も、お祝いの席へ出かける日も同じようにお化粧をします。 同じ自分の顔でも行き先によって少しずつ整え方を変えることもありますよね。 私もちょっと週末ですとか休みの時は一応お買い物に行くこともあるので薄化粧ですけれども整えます。 ですが仕事に行ったり何か大きなことがある人に会う時というのはキリッとさせたいのでアイラインもしっかり引きます。そんな感じです。 それはその場にふさわしい自分でありたいという気持ちの現れでもあるからです。 平安の女性たちもきっと自分たちの暮らしの中でその時代にふさわしい美しさを求めているのだと思います。 そしてここからもう一つ考えたいことがあります。 私たちが今当たり前だと思っている美しさもずっと変わらず続くとは限らないということです。 百年後あるいは千年後の人が今の私たちのお化粧を見たらどう感じるでしょうね。 前の引き方も目元の整え方も唇の色もずいぶん不思議に映るかもしれません。 でもその頃の人たちが私たちの暮らしを知ったら少し納得してくれるでしょうか。 時代が変われば美しさの形も変わります。 だからこそ昔の人の装いを見る時には今の物差しをほんの少し脇へ置いてみたいと思うのです。 そうすると遠い時代の女性たちが急に身近に感じられることがあります。 千年前も今も人は自分なりに美しくありたいと願って、その時代にあった装いを選んできたのですね。 # 部屋の灯りを少し落として… はい、今日は10月13日です。 今日は平安時代の女性のお化粧についてお話をしました。いかがでしたでしょうか。 おしろいで白く整えたお肌、額に描いた眉、黒く染めた歯、そして小さく刺した目に、 今の私たちとは違うお化粧ですけれども、そこには千年前の人たちが大切にしてきた美しさがあります。 今夜、もしよろしければ、部屋の明かりを少し落としてみてください。 明るいところでは気づかなかった陰影があったり、顔の印象の違いが見えてくるかもしれません。 その時、水や気調に囲まれた平安の室内で静かに過ごしていた女性たちのことを少し想像していただけたら嬉しいです。 間接照明だけにして、朝にやった化粧が夜にどう変わっているか試してみたいです。 ほとんど化粧も取れているとは思いますが、これは一人で試した方が良さそうですね。 人に見せたら何をやっているのと言われそうな面白い実験ですが、ぜひやってみてください。 それではまた。ごきげんよう。 もっと見る #二十四節気 #七十二候 #化粧文化 #化粧史 #引眉 #お歯黒 #平安美人 十二単着付け師の【にちにち気づきだより】さとうみなこ02:301.今日の話は?09:372.眉の話01:233.部屋の灯りを少し落として…コメント感想・質問・応援メッセージを書こう
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