TOPハウツー・学習歴史十二単着付け師の【にちにち気づきだより】第664話 菊の節句は九月、菊が咲くのは十月?14:33 10月15日 74再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次菊の節句と開花時期の不思議なずれ新暦と旧暦が変えた行事の風景重陽の節句が現代で薄れた理由暦と現実の季節感を繋ぐ工夫とは伝統継承と日々の暮らしの調和AI文字起こし(β版) # 「菊の花が開くころ」 日々気付きだより佐藤美奈子です。 今日もお聞きいただきありがとうございます。 このチャンネルでは毎朝、平安の行事、季節の移ろい、当時の人の暮らし、そして衣のこと、その日の暦を一つお話ししています。 千年前の営みが今の暮らしや仕事にどう繋がっているのか、毎朝一つお届けしています。 皆様おはようございます。 10月ももう15日、もうあっという間に半分過ぎてしまいました。 今日は72項の一つ、菊の花開くのお話をします。 菊の花が咲き始める頃ですね。 秋も深まってきて菊が美しく咲く季節になりました。 さて、ここで少し思い出していただきたいことがありますが、菊の節句はいつだったでしょうか。 そうですね、9月9日朝曜の節句です。 このチャンネルでも先月、菊に真綿をかぶせるキセワタの話や、菊の酒をいただいて長寿を願う習わしについてお話をしましたね。 ところが、今日の72項は、菊の花が咲く頃と教えてくれています。 9月9日からもう一月以上も経っているわけですけれども、菊の節句は9月なのに、菊が咲く季節は10月。 少し不思議に感じませんか。 実はここに日本の小指が辿ってきた長い歴史が隠されています。 今日は、菊の花と小指の少しずれてしまった関係についてお話をしてみたいと思います。 # 暦どおりにいかないこと そもそも、徴用の節句というのは、旧暦の9月9日に行われていたものです。 今、私たちが使っている新暦とは、季節の位置が違います。 旧暦の9月9日を、今の暦に置き換えると、年によって日は変わりますけれども、おおむね10月頃に当たりますよね。 ちなみに今年、2026年の旧暦9月9日は10月19日です。 今日からあと4日ほどですね。 こうして考えると、旧暦の節句と旧暦の咲く季節は、本来きちんと重なっていたことがわかります。 平安の人たちは旧暦が美しく咲く頃に、その花を目で長寿を願っていたのです。 ところが、明治の時代に入って、日本の暦が大きく変わりました。旧暦から新暦への切り替えです。 私たちの暮らしの中にある年中行事の多くは、それまでの日付を残したまま、新しい暦で祝うようになりました。 徴用もその一つです。 9月9日は9月9日のまま。 けれど、その日付が指す季節は以前よりもずっと早くなってしまったわけです。 まだ夏の暑さが残る頃に旧暦の節句がやってくるのです。 自然の旧暦が美しく咲きそろうには、ちょっと早い時期ですよね。 私はこのことを知ったときに、暦が変わるというのは、日付が変わるだけではないんだなというふうにしみじみ感じました。 長く親しまれてきた行事と、自然の巡りが離れてしまうこともあるんですよね。 さて、御節句を思い出してみましょう。 1月7日の陣日は七草。 3月3日の定詞は桃の節句。 5月5日の単語は勝舞の節句。 7月7日は七夕。 そして9月9日が徴用。 菊の節句です。 この中で徴用は、今ではあまりなじみのない行事になってしまいました。 桃の節句には雛人形がありますし、単語の節句には五月人形とか恋のぼりがありますよね。 七夕には短冊を飾りますよね。 それぞれ行事の時期が来ると、暮らしの中にその日を思い出すものが現れていきます。 けれど徴用はどうでしょうか。 菊をめでることがその行事の大切な部分を占めていました。 その花が9月9日にはまだ咲きそろっていない。 これでは以前と同じように季節を感じることが難しくなってしまいます。 もちろん、徴用が身近な行事でなくなった理由はそれだけではありません。 明治の暦が変わった時には、徴用が公的な祝日ではなくなったという記録があります。 人々の暮らしそのものが変わっていったんですね。 それでも行事の日付と花の季節が離れてしまったことは大きかったわけです。 9月9日になっても菊の花がない。 そして菊が美しく咲く頃にはもう節句の日が過ぎている。 なんだか少し切ないことですよね。 私はこういう話を知るたびに、小読みの言葉と実際の季節の両方を大切にしたいなと思います。 それは日々のお稽古場を整える時にもよく感じることです。 私はこのお稽古場の出来というものを整える時には、できるだけその季節にふさわしいものを取り入れたいと思っています。 例えばお花もその一つです。 たとえ小さなお花でもそこに一輪あるだけで部屋の雰囲気がガラッと変わることがありますよね。 受講生の方がふと目を止めて、もうそんな季節なのですねとおっしゃってくださることもあります。 私はそういう時間がとても好きで、こちらから小読みのお話を始めなくても、花の方が先に季節を伝えてくれるからです。 けれども実際に失礼を整えていると、小読み通りにいかないことがあります。 9月9日は菊の節句ですけれども、その頃にはまだ秋の菊が十分に出回っていないことが多々あります。 そんな時には私の学校のつまみ細工のデザイナーがいますので頼んで、菊をつまみ細工で作ってもらって、菊をきちんとめでる、そういうものを作ってもらったりしています。 3色取り揃えてお客様に見ていただいたりもしています。 小さなお花ですけれどもキセワタをのせて、商品として皆様のお手元に届くような形にもしてみたりしています。 菊の文様とかあとは徴用にまつわるお話をなるべくそんな時はして、季節をお伝えすることもあります。 菊に真綿をかぶせて一晩待った人たちが昔はいたこと、菊の酒をいただいて長寿を願ったこと、 そういうお話をすると実際に花がなくても千年前の秋を思い浮かべていただけるかもしれない、そう信じてお話をしているわけです。 でも私は言葉だけでは伝えきれないものもあるなぁと思っています。 実際に咲いている菊を目の前にすると、やはり花びらの重なりですとか色の深さ、花の大きさまで一度に感じることができますもんね。 お話を聞いて頭の中で思い描いていた花が目の前に現れる、やはりそれはやっぱり実物を見ると違います。 私たちは暦の日付に合わせて出来を整えることができますけれども、花には花の咲く時期というものがあります。 こちらの都合で季節を早めることはできません。早く早く秋を来いなんて言っても菊は咲けないわけですからね。 ですから私は暦の日が来たからといって、そこですべてを終わりにしたくはないなと思っています。 9月9日には徴用の習わしをお伝えする。そして10月になって菊が美しく咲き始めたら今度はその花を迎えてみる、実際に。 一つの行事を日にちと言葉で知る時間と実際の季節の中で感じる時間、その両方があっても良いのではないでしょうか。 季節を教えるのは私たちだけではありません。目の前に咲く花から私たちの方が教わることがたくさんあるなと感じています。 # 新暦で飾って、旧暦まで楽しむ こうして考えてみると、昔から続いてきた行事というのは、日付や作法だけで成り立っているわけではないということですよね。 そこにはその季節だからこそ感じられるものがあります。 目に映る花の色だったり、あとは風の冷たさだったり、その頃にいただく食べ物だったり、そうしたものが重なって初めて一つの行事が暮らしの中に息づいていたんだなと感じます。 徴用の節句では、菊がその大切な役目を担っていました。 だから、暦が変わって花の季節と離れてしまったとき、行事の意味も少しずつ感じにくくなっていったのかもしれませんね。 けれど、ここで私はもう一つ面白いことがあるなと思いました。 徴用を祝う習慣が以前ほど身近でなくなっても、七十二校にはちゃんと菊の名前が残っている。 菊の花開く。菊の花が咲き始める頃。 行事の日付とは別に、自然の変化を見つめる言葉がちゃんと暦には残っています。 そこに暦の面白さを私は感じます。 私たちは毎日日付を見て暮らしています。 今日は何日、何曜日、明日の予定は何なのか、とか、そういうことはもちろん大切ですけれども、日付を追っていると季節そのものを見失ってしまうこともあります。 9月9日だから菊の節句です。 それは暦の上では間違いではありませんけれども、その日にまた菊が咲いていなかったらどうでしょうか。 私は、花が咲くまで待ってみても良いと思うんです。 日付は先に進みますけれども、花は自分の季節が来た時に開きます。 その両方に目を向けてみると、一つの行事をもう少し豊かに味わえるような気がします。 そしてこれは、昔の文化を受け継ぐことにも少し似ていますね。 決められた形を守ることは大切ですが、その形が生まれた理由や、そこに込められた思いまで忘れてしまいたくはありません。 なぜこの季節に菊をめでたのか、なぜその花に長寿の願いを託したのか。 そうしたことを知った上で、今の暮らしの中にももう一度迎えてみる。 それも伝統を大切にする一つの方法なのだと思います。 菊の節句が遠い存在になっても、菊そのものは秋になるとちゃんと花を咲かせます。 9月を過ぎると、人が祝うことを忘れていても、季節はちゃんと巡ってきます。 10月15日、今日は72項の菊の花開くのお話でした。 9月9日の徴用からも一月経ちました。 ようやく菊の花が美しい季節になったわけです。 もう一度この旧暦で菊の節句を行ってみるというのは良いですよね。 私なんかはちゃっかりしてまして、学校の行事でも菊のキセワタを今飾っているのですが、 今はアーティフィシャルフラワーでやってますけれども、この旧暦まで伸ばすつもりで飾っています。 ですから10月19日まではエントランスに飾っています。 行事を始めるのは9月9日。お客様に馴染みのあるこの新暦でいろんなイベントを行いますけれども、 たくさん飾っておきたいので、その時には新暦から旧暦の9月9日まで伸ばす、 うまいこと使って皆様に楽しんでいただきたいなと思っています。 ぜひ皆様もお花屋さんで菊を見かけたらちょっと買っていただいて、 ご仏壇ある方はよく菊をいつもいつも置く、物価として飾っていらっしゃる方もいらっしゃると思いますけれども、 そこに真綿を乗せると本当に素敵なインテリアになりますので、 この花を眺めながら千年前の人たちも長寿を願っていたんだなって思い出していただきながら飾るのはいかがでしょうか。 9月にお話しした徴用の節句が10月の菊の花とようやくここで完結ということになります。 そんな風に季節を眺めてみるのも楽しいものですね。 それではまたごきげんよう。 もっと見る #二十四節気 #新暦 #旧暦 #重陽の節句 #七十二候 #菊花開 十二単着付け師の【にちにち気づきだより】さとうみなこ01:561.「菊の花が開くころ」07:382.暦どおりにいかないこと05:003.新暦で飾って、旧暦まで楽しむコメント感想・質問・応援メッセージを書こう
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