TOPハウツー・学習歴史十二単着付け師の【にちにち気づきだより】第666話 新米を、まず神さまへ12:48 一昨日 42再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次「新米をまず神様へ」平安の智慧稲作と「衣」に宿る感謝の祈り「良いものをまず誰かのため」仕事術自分の喜びより先に「誰かを想う」「いただきます」千年の感謝と恵みAI文字起こし(β版) # 十七日は、内宮での神嘗祭が行われる日 日々築きだより佐藤美奈子です。 今日もお聞きいただきありがとうございます。 このチャンネルでは、毎朝、平安の行事、季節の移ろい、 当時の人の暮らし、そして頃後のこと、その日の小読みを一つお話ししています。 千年前の営みが、今の暮らしや仕事にどう繋がっているのか、 毎朝一つお届けしています。 はい、今日は伊勢神宮で行われる観鍋祭のお話をしたいと思います。 観鍋祭は、その年に初めて収穫されたお米を、 天照大神にお供えして、実りへの感謝を捧げるお祭りです。 伊勢神宮では、10月15日から17日にかけて、 京宮、そして内宮の順に、大切な祭儀が行われます。 今日11日は、内宮での観鍋祭が行われる日です。 秋になると、私たちの食卓にも新米が並びますね。 炊きたてのご飯の香りを嗅ぐと、それだけで幸せな気持ちになります。 でも、昔の人たちは、その年初めてのお米を、 自分たちがいただくことよりも先に、神様へ捧げることを大切にしていました。 一年かけて育てた実りを、まず感謝と共に差し出す。 今日は、この順番についてお話してみたいと思います。 # 十月十四日に行われる「神御衣祭(かんみそさい)」絹は「和妙(にぎたえ)」、麻は「荒妙(あらたえ)」 カンナメサイとよく似た名前のお祭りに、ニーナメサイというのがあります。 こちらは11月23日です。今の勤労感謝の日ですね。 どちらも新しく収穫された穀物に感謝するお祭りですが、少し違いがあります。 カンナメサイでは伊勢神宮の天照大神にその年の初穂、いわゆる初めて収穫された稲穂を捧げます。 一方でニーナメサイでは天皇陛下が新穀、新しい穀物ですね、新穀を神々にお供えしてご自身も召し上がります。 神様へ捧げることと神様と共にいただくこと、どちらも実りへの感謝を形にしたお祭りなんですね。 そしてもう一つ、2月には年越えの祭りがあります。 この年という言葉には、稲の実りという意味があります。 春を迎える前にその年の豊かな収穫を祈るお祭りです。 こうして一年を眺めてみると、とても面白いですよね。 2月にはこれからの実りを祈って、10月には収穫された初穂を捧げる、そして11月には神々と共に新穀をいただき感謝する。 一年を通して稲の成長と人々の祈りが結びついています。 平安時代の宮廷文化というと華やかな消俗や和歌、歓迎の調べを思い浮かべますが、その暮らしの根には稲作があります。 人々が一年を通して大切にしてきたのは、何よりも食べて生きていけることだったんですね。 そして、かんなめ祭について調べていると、衣に関わるものとしてもう一つ心を惹かれるお祭りがあります。 かんなめ祭の前日10月14日に行われる、かんみそ祭です。 これは天照大神に絹と麻の丹物をお供えするというお祭りです。 絹はにぎたえ、麻はあらたえと呼ばれます。 ちょっと難しい漢字ですので、このチャプターにも書いておきますね。 古くからの方法で織り上げられた布を神様へ捧げるわけです。 お米だけではなく衣のもとになる布も捧げてきたんですね。 私はこのことを思うと、かんなめ祭が少し身近に感じられます。 人が生きていくために大切な食べ物と体を包む衣、その両方に感謝を捧げるお祭りがあるんです。 そして、良いものをまず誰かのために差し出すということは、私の仕事にも通じるように思います。 エモン道のお仕事では、お方様に十二単位お召しいただくときに、私たちエモン者が心に留めておきたいことがあります。 それは、誰のためのお福上げなのかということです。 長くお稽古を重ねていると少しずつ自分の手に自信が生まれます。 これは技術的なことはみんなそうだと思うんですけれども、 もっと美しく仕上げたいとか、学んできた技術をきちんと発揮したいとか、そういう気持ちはもちろん大切です。 ですが、私は時々自分に問いかけることがあります。 その美しさは誰のためのものなのか。 お福上げはエモン者の技術を披露するためだけのものではありません。 まあ、むしろないと言った方がいいでしょうね。 お方様がその日、その所属をお召しになる。 そして、そのお姿をご覧になる方もいる。 私たちの手はその大切なひとときのためにあるわけです。 美しい衣が何枚も重なって、お方様のお姿が整っていくと、 私たちも思わず、すごくウキウキするというか、きれいなものを自分たちの手で作り上げてきたので、心も弾むのですけれども、 その喜びを自分のものとしてしまわないようにしたいと思っています。 自分の欲望が積み上がっていくと、 自分がやったんだ、自分が仕上げたんだというふうに、その喜びが内側に内側にと入ってしまうことがありますが、そうならないようにと考えています。 まず、お方様にとって良い時間であること。 お召しになった方が晴れやかな気持ちで、そのひとときを過ごしていただけること。 そのために、自分の持っている技を押しまずに差し出す。 今まで学んできたことを存分に発揮する。 そのためですね、私はそれがエモンジャの仕事なのだと思っています。 そして、教える立場になってからは、受講生の方にも、技術の向こうにいる人を忘れないでいただきたいと考えるようになって伝えています。 美しく仕上がった時に、まず自分の出来栄えを喜ぶのではなくて、その装いを受け取る方へ心を向けること。 その気持ちがあると、同じ技術でも手の働き方というのが少し違ってきますね。 自分が認められることを先に置くのか、それとも相手にとっての美しさを先に考えるのか。 ちょっとわずかな違いなのかもしれませんけれども、私は大きな違いだと思います。 その順番を間違えないということ、仕事への向き合い方が現れる瞬間かなと思いますね。 自分の喜びがなくなるわけではありません。もちろん、やっていく、その粛々と行っていることに喜びを感じています。 岡田様の姿が美しく整って喜んでいただけた時に、私たちはもっともっと大きな喜びをいただいているわけです。 先に存分に差し出して、その後に受け取る。私はそのような仕事の在り方を大切にしたいなと思っています。 # 新米召し上がりましたか? はい、かんなめさへのお話に戻りますが、その年に初めて収穫されたお米をまず神様へお供えする。 そこには実りを自分たちのものとして受け取る前に、感謝を形にするという考え方があります。 一年かけて育てたお米です。きっと収穫を迎える喜びは、昔も今も変わらない。 それでも、その喜びを自分たちだけのものにしないで、先に捧げる時間を設けたわけですよね。 私はこの順番がとても美しいと思います。 私たちは日々何かを手に入れたり、仕事を成し遂げたりすると、まず自分の喜びを考えます。 まあ、その自分の喜びを得たいがためにやっているという人もいるかもしれません。 まあ現代社会においてはそれは自然なことですし、悪いことではありませんけれども、その喜びを受け取る前に少しだけ誰かのことを思う時間があっても良いのではないでしょうか。 食事を頂く前に作ってくださった方のことを思うとか、良い仕事ができた時に一緒に支えてくれた人たちへ感謝するとか、 大切なものを手に入れた時に自分だけではなく誰かと分かち合うとか、 全てを差し出す必要はありませんけれども、ただ心を向ける順番を少し変えてみる、それだけなんですよね。 いつもの行いに違った意味が生まれることがあります。 そしてもう一つ、観鳴祭は豊かに実ったことへの感謝のお祭りですが、その前には祈る時間がありました。 春に祈って田を耕して苗を植えて夏の暑さを越えて秋の実りを迎える。 その長い時間の中には人の力だけではどうにもならないこともたくさんあったはずです。 だからこそ無事に収穫できたことが何よりありがたかったのだと思います。 これは本当に今年は水害が多かったですね。 千葉の方面の方々もそうですし、いろんなところで大きな雨が降りました。 そうなってテレビを見ると、もう少しで収穫だったというお米が薙ぎ倒されている映像を見て、すごく心が痛みました。 そして私はこの仕事も少し似ているように感じています。 自分の努力だけで全てが整うわけではなくて、一緒に働く人がいて、教えてくださる方もいて、そして私たちの仕事を必要としてくださる方がいる。 そのおかげで今日も仕事ができています。 そう考えると何かを成し遂げたときに、まず感謝を捧げるという昔の習わしが、今の自分にもつながってくるように思います。 今日は伊勢神宮のかんなめ剤についてお話をしました。 一年をかけて育てたお米をまず神様へ捧げる日です。 私たちの食卓にも新米のおいしい季節がやってきました。 皆様、新米はお召し上がりになりましたか? 昨年よりも随分値段が下がって、本当に手に取りやすくなりました。 今日はご飯をいただくときに、その一粒一粒がここへ届くまでのことを少しだけ思い浮かべてみてはいかがでしょうか。 そして、「いただきます」という言葉をいつもより少し丁寧に口にしてみる。 それだけでも千年前から続く実りへの感謝に心を寄せることができるように思います。 11月23日には新井なめ祭を迎えます。 その時には今日のお話の続きをまたご一緒したいと思います。 それではまたごきげんよう。 もっと見る #二十四節気 #七十二候 #神嘗祭 #天照大御神 #外宮 #内宮 #衣と暦 十二単着付け師の【にちにち気づきだより】さとうみなこ01:411.十七日は、内宮での神嘗祭が行われる日06:512.十月十四日に行われる「神御衣祭(かんみそさい)」絹は「和妙(にぎたえ)」、麻は「荒妙(あらたえ)」04:173.新米召し上がりましたか?コメント感想・質問・応援メッセージを書こう
第666話 新米を、まず神さまへ 13分・一昨日・ 42再生AI目次「新米をまず神様へ」平安の智慧稲作と「衣」に宿る感謝の祈り「良いものをまず誰かのため」仕事術自分の喜びより先に「誰かを想う」「いただきます」千年の感謝と恵み
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