律蔵について①【#0615】
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律蔵とは
仏教聖典は経、律、論の三種の領域に分けられ、経は仏教教義に関する、律は仏教僧団の生活規則に関する、シャカムニの直説という建前の元に編纂された。
律は大きく2つの領域に分けられる。
①
・波羅提木叉(はらだいもくしゃ)
個人の行動に関わる規則(禁止令)で約250条(比丘尼は約350条)からなる。罰則の種類ごとにまとめられており、重罪から軽罪の順に並べられている。最初の4つの条文である波羅夷(はらい)罪が最も罪が重い。
・他者と性的な交わりをしてはいけない
・他者のものを盗んではならない
・人を殺してはならない
・悟っていないのに故意に嘘をついて『悟っている』と言ってはならない
の4つである。波羅夷罪を犯すと、即刻比丘の資格を剥奪され僧団を追放となる。
知らないうちに波羅提木叉を犯してしまっても罪は猶予されないので、波羅提木叉は全比丘・比丘尼が暗記していなければならない。波羅提木叉を記憶するのは出家者に最低限求められるスキルであると言える。
・経分別(きょうふんべつ)
波羅提木叉の規則一つ一つの制定因縁、使われている語句の定義や具体的な適用事例が示されている。波羅提木叉の注釈のようなもの。
例えば「人を殺してはならない」という波羅提木叉に対して、経分別では詳細な解説を加える「どういう事件がきっかけでこの条文が制定されることになったのか」「条文中の『人』や『殺す』という語の正しい定義はなにか」「現実の状況の中で、この条文が適応された判例としてどんなものがあるか」などが解説される。罪状の判断が難しい場合でも、経分別を参照することで正しく処理できるようになっている。
②
・犍度(けんど)
僧団が集団として活動する場合の規則。第一章が出家作法に関する規則で、冒頭にあることから僧団にとって出家が最も大切な儀式だということが伺える。そのほか、布薩、安居、自恣といった特殊な行事の手順、悪比丘の糾弾方法、教団内の裁判規定といった相談活動規定が細かく述べられている。犍度を見ると、当時の仏教教団がどのような形で運営されていたのか具体的に知ることができる。犍度は僧団に対する規定であるので、罰則はないが、犯した場合にはその儀式自体が無効となる。
波羅提木叉・経分別と犍度の二部構成の律がいつ頃成立したのかは、はっきり分かっていない。
シャカムニが生きていた時期には、自ら統制をしたり、何かあれば直接裁定をすればよかったので厳密は法規集は必要なかっただろう。しかし、原初期の遊行していた僧団では、いつでもシャカムニと共に居たわけでもないので、何らかの共通の法規が存在していたことは想像できる。おそらく個人の行動に関するものであったであろうから、波羅提木叉に相当するものであったであろう。
遊行から定住へ移行していった仏教僧団には、集団生活を円滑に行うための法体系が次第に必要になり、犍度が整備されるようになる。シャカムニ在世に整備された波羅提木叉が拡張されて、律の二部構成を成すようになったのであろう。なので、律蔵に表れている僧団の様子はおよそ紀元前4、5世紀から紀元前後のものと考えて良いだろう(確証はない)。
参考文献
『出家とはなにか』佐々木閑
https://amzn.asia/d/9sjfCNA
仏教聖典は経、律、論の三種の領域に分けられ、経は仏教教義に関する、律は仏教僧団の生活規則に関する、シャカムニの直説という建前の元に編纂された。
律は大きく2つの領域に分けられる。
①
・波羅提木叉(はらだいもくしゃ)
個人の行動に関わる規則(禁止令)で約250条(比丘尼は約350条)からなる。罰則の種類ごとにまとめられており、重罪から軽罪の順に並べられている。最初の4つの条文である波羅夷(はらい)罪が最も罪が重い。
・他者と性的な交わりをしてはいけない
・他者のものを盗んではならない
・人を殺してはならない
・悟っていないのに故意に嘘をついて『悟っている』と言ってはならない
の4つである。波羅夷罪を犯すと、即刻比丘の資格を剥奪され僧団を追放となる。
知らないうちに波羅提木叉を犯してしまっても罪は猶予されないので、波羅提木叉は全比丘・比丘尼が暗記していなければならない。波羅提木叉を記憶するのは出家者に最低限求められるスキルであると言える。
・経分別(きょうふんべつ)
波羅提木叉の規則一つ一つの制定因縁、使われている語句の定義や具体的な適用事例が示されている。波羅提木叉の注釈のようなもの。
例えば「人を殺してはならない」という波羅提木叉に対して、経分別では詳細な解説を加える「どういう事件がきっかけでこの条文が制定されることになったのか」「条文中の『人』や『殺す』という語の正しい定義はなにか」「現実の状況の中で、この条文が適応された判例としてどんなものがあるか」などが解説される。罪状の判断が難しい場合でも、経分別を参照することで正しく処理できるようになっている。
②
・犍度(けんど)
僧団が集団として活動する場合の規則。第一章が出家作法に関する規則で、冒頭にあることから僧団にとって出家が最も大切な儀式だということが伺える。そのほか、布薩、安居、自恣といった特殊な行事の手順、悪比丘の糾弾方法、教団内の裁判規定といった相談活動規定が細かく述べられている。犍度を見ると、当時の仏教教団がどのような形で運営されていたのか具体的に知ることができる。犍度は僧団に対する規定であるので、罰則はないが、犯した場合にはその儀式自体が無効となる。
波羅提木叉・経分別と犍度の二部構成の律がいつ頃成立したのかは、はっきり分かっていない。
シャカムニが生きていた時期には、自ら統制をしたり、何かあれば直接裁定をすればよかったので厳密は法規集は必要なかっただろう。しかし、原初期の遊行していた僧団では、いつでもシャカムニと共に居たわけでもないので、何らかの共通の法規が存在していたことは想像できる。おそらく個人の行動に関するものであったであろうから、波羅提木叉に相当するものであったであろう。
遊行から定住へ移行していった仏教僧団には、集団生活を円滑に行うための法体系が次第に必要になり、犍度が整備されるようになる。シャカムニ在世に整備された波羅提木叉が拡張されて、律の二部構成を成すようになったのであろう。なので、律蔵に表れている僧団の様子はおよそ紀元前4、5世紀から紀元前後のものと考えて良いだろう(確証はない)。
参考文献
『出家とはなにか』佐々木閑
https://amzn.asia/d/9sjfCNA
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律について
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