#13 キャラが濃すぎる19人の「争わない」新メンバー(前編)/現場に飛び込む「突撃派」の対話術
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「あなたの現在地は、どこですか?」 ― 19人の新ゼミ生が教えてくれた、争わない対話術
はじめに:経歴を並べてみたら、物語が始まった
おはようございます。早稲田大学で、和平学と紛争解決学を教えています、上杉勇司です。
今年、上杉ゼミに、新しいゼミ生が十九名、加わりました。ゼミとは、少人数で、先生といっしょに学ぶ授業のことです。
その十九人の経歴を、あらためて並べてみて、私は思いました。
これは、教室ではなく、群像劇だ、と。
地図とコンパスだけをたよりに、森の中を走る人がいます。
放置されていた図書室の本を、二年がかりで、ひとりで分類し直した人もいます。
大使館から注意のメールが出るなか、「報道だけじゃ、わからない」と、自分の目で確かめに行った人。
エンジンのない飛行機、グライダーで、空を飛んでいる人。
紛争の当事地に生まれ、五つの言語を操る人。
こんな人たちが、同じ教室に集まり、「争わない対話術」を学ぶのです。
ちょっと、わくわくしませんか。
今日と明日の二回に分けて、この新メンバー十九名を、にぎやかにご紹介します。ただし、これは単なる自己紹介大会ではありません。ひとりひとりの経歴の中から、職場でも、家庭でも、使える対話のヒントを、小噺にして、お届けします。
少しだけ、「争わない対話術」の本筋から脱線しますが、脱線の先で、思わぬ発見があるのも、人生の面白いところです。
現場に飛び込む「突撃派」九名
前編でお話しするのは、国際政治の最前線や、過酷な現場に、自ら飛び込んでいく九名のつわものです。
教室の中だけでなく、現場の足で学んでいる人たちが、そろいました。
ここで、前編の見どころを、少しだけお見せします。
まずは、山の中の意思決定。 オリエンテーリング、つまり、地図とコンパスだけをたよりに、森を走るスポーツに打ち込む学生がいます。山で、「右へ行くか、左へ行くか」意見が割れたとき、声の大きさで争っても、遭難するだけですよね。彼が学んだのは、「あなたの現在地は、どこですか?」と、相手の立ち位置を確かめる技術でした。共通の地図を描いて、事実をすり合わせる。正しさの押しつけ合いを、やめる。それが、命を救う危機管理だというのです。
次に、図書室の話。 インドの学校で、ほったらかしだった図書室の本の分類を、二年がかりで、ひとりで作り直した学生です。「この分類が正しいんだ」と上から押しつけると、誰も本を戻さなくなる。現地の人が「どこに本を戻したいか」に寄り添うことが、本当の意味での、ガバナンスだといいます。ガバナンスとは、みんなで決めごとを運営する、しくみのことです。国際協力の「上から目線の支援」への疑問が、ここから生まれました。
そして、三十か国の「正論」。 三十か国以上のメンバーをたばねた学生は、こう言います。三十か国の人が集まると、「正論」の定義が三十通り生まれる、と。そこでのコツは、「誰が正しいか」を競わせないこと。「みんなが、何を不安がっているか」を、拾い上げることだそうです。
ほかにも、前編には、こんな顔ぶれがいます。
大使館の注意喚起を受けとめたうえで、「主語を、目の前のあの人に小さくする」ことを学んできた、一次情報ハンター。
文化祭にタッチ決済を導入して、先生と生徒の対立を、データで解消した交渉人。
雪山にこもり、自転車で広い大地を走り、将棋も得意な、冷静と情熱の使い分けの名人。
風を読んで、エンジンのない飛行機を操る、未来のパイロット候補。
模擬国連、つまり、学生が各国の大使になりきって国際会議を再現する活動で、議論が固まったとき、奇跡の合意を導いた、傾聴のプロ。
どの話にも、共通点があります。「争わない」とは、我慢することではなく、相手の見ている景色を知ろうとすることだという点です。この気づきは、きっと、あなたの明日の会議や、今夜の食卓にも、役立つはずです。
ちなみに、前編の冒頭では、落語家、柳家小三治師匠の「まくら」の話もします。「まくら」とは、落語で、本題に入る前の、短い導入のお話のことです。師匠の話は、本当に面白い。……ためには、ならんけど(笑)。オチの作り方がよく分かるのに、真似できない。この境地には、まだまだ遠いと、白状しています。
エンディングで紹介した拙著
『どうすれば争いを止められるのか:17歳からの紛争解決学』 https://www.wave-publishers.co.jp/books/9784866214429/
『紛争地の歩き方:現場で考える和解への道』 https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480075505/
『和平学入門:戦争を止める13の法則』 https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480018328/
はじめに:経歴を並べてみたら、物語が始まった
おはようございます。早稲田大学で、和平学と紛争解決学を教えています、上杉勇司です。
今年、上杉ゼミに、新しいゼミ生が十九名、加わりました。ゼミとは、少人数で、先生といっしょに学ぶ授業のことです。
その十九人の経歴を、あらためて並べてみて、私は思いました。
これは、教室ではなく、群像劇だ、と。
地図とコンパスだけをたよりに、森の中を走る人がいます。
放置されていた図書室の本を、二年がかりで、ひとりで分類し直した人もいます。
大使館から注意のメールが出るなか、「報道だけじゃ、わからない」と、自分の目で確かめに行った人。
エンジンのない飛行機、グライダーで、空を飛んでいる人。
紛争の当事地に生まれ、五つの言語を操る人。
こんな人たちが、同じ教室に集まり、「争わない対話術」を学ぶのです。
ちょっと、わくわくしませんか。
今日と明日の二回に分けて、この新メンバー十九名を、にぎやかにご紹介します。ただし、これは単なる自己紹介大会ではありません。ひとりひとりの経歴の中から、職場でも、家庭でも、使える対話のヒントを、小噺にして、お届けします。
少しだけ、「争わない対話術」の本筋から脱線しますが、脱線の先で、思わぬ発見があるのも、人生の面白いところです。
現場に飛び込む「突撃派」九名
前編でお話しするのは、国際政治の最前線や、過酷な現場に、自ら飛び込んでいく九名のつわものです。
教室の中だけでなく、現場の足で学んでいる人たちが、そろいました。
ここで、前編の見どころを、少しだけお見せします。
まずは、山の中の意思決定。 オリエンテーリング、つまり、地図とコンパスだけをたよりに、森を走るスポーツに打ち込む学生がいます。山で、「右へ行くか、左へ行くか」意見が割れたとき、声の大きさで争っても、遭難するだけですよね。彼が学んだのは、「あなたの現在地は、どこですか?」と、相手の立ち位置を確かめる技術でした。共通の地図を描いて、事実をすり合わせる。正しさの押しつけ合いを、やめる。それが、命を救う危機管理だというのです。
次に、図書室の話。 インドの学校で、ほったらかしだった図書室の本の分類を、二年がかりで、ひとりで作り直した学生です。「この分類が正しいんだ」と上から押しつけると、誰も本を戻さなくなる。現地の人が「どこに本を戻したいか」に寄り添うことが、本当の意味での、ガバナンスだといいます。ガバナンスとは、みんなで決めごとを運営する、しくみのことです。国際協力の「上から目線の支援」への疑問が、ここから生まれました。
そして、三十か国の「正論」。 三十か国以上のメンバーをたばねた学生は、こう言います。三十か国の人が集まると、「正論」の定義が三十通り生まれる、と。そこでのコツは、「誰が正しいか」を競わせないこと。「みんなが、何を不安がっているか」を、拾い上げることだそうです。
ほかにも、前編には、こんな顔ぶれがいます。
大使館の注意喚起を受けとめたうえで、「主語を、目の前のあの人に小さくする」ことを学んできた、一次情報ハンター。
文化祭にタッチ決済を導入して、先生と生徒の対立を、データで解消した交渉人。
雪山にこもり、自転車で広い大地を走り、将棋も得意な、冷静と情熱の使い分けの名人。
風を読んで、エンジンのない飛行機を操る、未来のパイロット候補。
模擬国連、つまり、学生が各国の大使になりきって国際会議を再現する活動で、議論が固まったとき、奇跡の合意を導いた、傾聴のプロ。
どの話にも、共通点があります。「争わない」とは、我慢することではなく、相手の見ている景色を知ろうとすることだという点です。この気づきは、きっと、あなたの明日の会議や、今夜の食卓にも、役立つはずです。
ちなみに、前編の冒頭では、落語家、柳家小三治師匠の「まくら」の話もします。「まくら」とは、落語で、本題に入る前の、短い導入のお話のことです。師匠の話は、本当に面白い。……ためには、ならんけど(笑)。オチの作り方がよく分かるのに、真似できない。この境地には、まだまだ遠いと、白状しています。
エンディングで紹介した拙著
『どうすれば争いを止められるのか:17歳からの紛争解決学』 https://www.wave-publishers.co.jp/books/9784866214429/
『紛争地の歩き方:現場で考える和解への道』 https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480075505/
『和平学入門:戦争を止める13の法則』 https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480018328/
上杉勇司の「争わない」生き方〜対立をほぐす対話術〜
プレミアム放送配信中!
- 02:241.
タイトルコール&オープニング
- 01:283.
エンディング ― まとめ・活動紹介・次回予告
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