TOPエンタメ映画・本ショートストーリーの朗読最後の一回、雨のまま07:14 9月30日 2再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次夫の「声瓶」に残された最後のメッセージとは繰り返される試聴、明らかになる真実夫の言葉を遮る「もう一つの声」の正体「あとで」という返事が示す未来への一歩空になった瓶が告げる「雨のまま」の新たな意味AI文字起こし(β版) # 最後の一回、雨のまま 最後の一回 雨のまま 聞きどころ 亡き夫との食卓を封じた 声の入った魔法の瓶には あと五回が残っています。 聞き取れない一文を求めて 妻は同じ一時に耳を澄まします。 雨と食器の音が重なる中で 最後の一回が近づきます。 五分物語 雨が窓を叩くたび 妻は小さな瓶を両手で囲んだ。 瓶の首には五つの印が残っている。 投稿の椿が持っているものは全て声瓶。 線を抜くと封じたひとときが 開いた人の頭の中でよみがえる。 音は外へは出ない。 録音もしなおすこともできない。 一度聞くことに印が消え 無くなれば瓶は空になる。 中にあるのは亡き夫の最後の夕食だった。 夫が言いかけた一文をだけが どうしても聞き取れない。 妻は線を抜いた。 妻、あのね。 雨 皿と箸が触れる音 その後が重なる。 妻は聞こえた断片をノートに書いた。 瓶の印は四つになっていた。 今のそういう言い方だったかな。 書いた言葉と覚えている夫の顔がうまく合わない。 妻は一行の上に細い線を引いた。 二回目は夫の声だけを聞こうとした。 雨を遠ざけ食器を気にしない。 聞きたかった言葉に近い音がした。 妻は鉛筆を強く握った。 三回目には別の言葉に聞こえた。 ノートには同じ一文から拾った繋がらない言葉が並んでいた。 瓶の印はあと二つだった。 妻は横線を引いた言葉の下を指でなぞった。 どれも夫が言った気がした。 けれど紙に残っているのはどれも自分の字だった。 妻はその日向かい側に置かれていた皿を棚から出した。 自分が焼いた皿だった。 夫は掛けた縁をいつも奥へ向けて使っていた。 あの夕食は遺言を聞くための席ではなかった。 夫はいつものように食卓に話しかけていた。 なのに妻は自分さえわかれば置いていかれた時間に説明がつくような気がしていた。 今度は声の後ろを聞こう。 四回目、妻は避けていた音へ耳を向けた。 足が震える。雨が強まる。短い音が夫の言葉に重なる。 うん、あとで。 自分の声だった。 食器の音だと思っていたところに妻の合図地があった。 夫は少し待って、それから言葉を続けた。 待っていたのは自分の返事だった。 線を戻すと印は一つになった。 最後の一文はまだわからない。 もう一度聞けばわかるかもしれない。 でも聞けばこの声を呼び戻す手段がなくなる。 妻は瓶を棚へ戻そうとした。 そこで電話が鳴った。友人からだった。 今夜ご飯食べに行かない? あとで。 さっきの瓶の中で聞いたのと同じ返事だった。 妻は電話を持ち直した。 織り返すね。 電話が切れた後も妻は携帯を机に置けなかった。 聞き取れたら皿を片付けよう。聞き取れたら誰かに会おう。 そうして残してきた用紙が瓶の周りに積もっていた。 妻はノートを閉じた。 鉛筆もその上に置いた。 瓶を食卓へ戻し最後の線を開いた。 夫の声がした。 雨もした。皿が鳴り自分が合図地を打った。 妻はどの音も追い出さなかった。 言葉の切れ目を探す代わりに向かいの人が話し終えるまで手を止めていた。 一文は最後までわからなかった。 最後の印が消えた。 瓶を傾けても声は戻らない。 妻は空になった口を親指で一度なぞった。 妻はもう一度線を差しかけた。 聞き直せないと知っていながら指だけが次の手順を覚えていた。 妻は線を机に置くと小さな音がした。 今度の音は頭の中ではなくこの部屋で鳴った。 友人へ電話をかけた。 さっきのご飯行く。何時に会おうか。 瓶は捨てなかった。けれど線はしなかった。 空になった瓶を雨の音が通り抜けた。 もっと見る #幻想文学 #心理ドラマ ショートストーリーの朗読ソフトウェアテストTACT 「そふてた」と呼んでください07:141.最後の一回、雨のままコメント感想・質問・応援メッセージを書こう
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