ハンガリー 日本人女性殺害事件から考えること
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ハンガリー・日本人女性殺害事件について
●元夫による殺害事件の概要
報道まとめ(国内)
https://note.com/arisin/n/na4227cdadb95
報道まとめ(海外)
https://note.com/arisin/n/n16dcc301d703
2022年6月 (離婚前)
夫のDVについて大使館に相談
大使館:警察に相談を勧めた
2023年離婚
子どもと日本帰国を希望したが元夫が子どものパスポートを取り上げていた(テレビ朝日、弁護士)
交代監護を理由に、父親は養育費の支払いを拒否し離婚後に出国(kontroll)
2024年夏 大使館に相談
パスポートについて。大使館は「元夫の同意が必要」と述べた
2024年に2回警察に相談
「元夫からパソコンの窃盗と脅迫の被害を受けたとして、地元警察へ昨年2回、相談に訪れていた」(共同通信)
元夫から「苦しみながら死ぬだろう」との手紙がきていた
2025年1月29日 ブダペストのアパートで火災が起き、現場から女性の遺体が見つかった。
2月3日 夫逮捕
2月11日 ハンガリー警察は内部調査の結果、対応に誤りがあったことを認めた。
大使館によると、女性に対してDV被害を受けている場合は警察に相談に行くことや、
子どもへの旅券発給には共同親権者の同意が必要であることなどの情報を伝えたとしており、「可能な限りの支援は行ってきた」としている(朝日新聞)
ユリヤ弁護士「大使館に状況伝えたのに助けや支援を一切提案されなかった」(テレビ朝日)
"外務省の担当者
「DVを受けているということで、警察に相談するよう伝えた。子どもについては国際条約での“連れ去り”の問題もあり、
母親の同意だけでパスポートを出せない難しさがあるが、しっかり相談に乗っていた」"(TBS)
「日本大使館は、こども連れ去り防止の観点から、パスポートの発行には元夫の同意が必要だと説明した」(日本テレビ)
NGOは1日、「彼女は長年にわたり元夫から虐待を受けており、元夫を恐れていた。
子どもたちを連れて生まれ故郷(日本)に帰りたがっていた。元夫はハンガリーに居住していなかったにもかかわらず、これ(女性が子どもを連れて日本に帰ること)に同意しなかった」と明らかにした。"(AFP)
●この事件から考えるべきこと
太田noteにまとめ https://note.com/keiko_oota/n/n3120e100c4b2
第1 ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)に関して
1 ハーグ条約とは
国境を越えた子どもの不法な連れ去り(例:一方の親の同意なく子どもを元の居住国から出国させること)をめぐる紛争に対応するための国際的な枠組みとして、子どもを元の居住国に返還するための手続や国境を越えた親子の交流の実現のための締約国間の協力等について定めた条約
原則として子を元の居住国へ返還することが義務づけられ、子がそれまで生活を送っていた国の司法の場で、その後の子の監護についての判断を行うこととなる。
例外的に、子の返還を求める親が子に対して暴力を振るうおそれや、もう一方の親に対して、子に悪影響を与えるような暴力等を振るうおそれ等子の心身に害悪を及ぼすこととなる重大な危険(子の返還拒否事由)があれば、裁判所の判断で、返還の拒否が認められることがある。
2 DV・虐待があっても十分な証拠がないこともある
【裁判所がDVを認定してくれるかわからないという不安から、DV被害者が、子どもを連れて危険から避難するために元の居住国から出国することを事実上妨げてしまう効果を持ってしまっているという問題】がある
3 3 ハーグ・マザー
ハーグ条約の現在の運用が、子連れで暴力から避難することを抑止する効果を持ってしまっているのではないかという問題には各国に居住する様々な国のDV被害者たちが声をあげはじめており、海外在住(あるいは在住経験がある)日本人も、SNS上で自身の経験に基づく問題意識を投稿しているのを見かける。以下はその一例
https://haguemothersjapan.net/
https://movementofmothers.medium.com/the-impossible-escape-the-story-of-narkis-golan-the-hague-convention-and-the-ongoing-battle-to-194a303a2f0b
第2 パスポート発給と共同親権
1 大使館は子のパスポート発給をしなかった
2025年2月14日衆院法務委員会 井坂信彦議員質問
https://youtu.be/E9ecdTsFVk8
文字起こし(七緒さんnote)
https://note.com/nao302198765/n/n26fbadb5daa1
2 未成年の子のパスポート発給は、他方の共同親権者が反対すれば一切できないのか?
2025年2月14日の衆議院予算委員会
井坂議員「外務大臣に伺いますが、元夫のサインがなくても旅券を発行、パスポート発行できなかったのか」
外務大臣の回答:
・未成年者の旅券発給については、双方の共同親権者の同意が必要
・申請者側の利便性に配慮し、一方の親権者が法定代理人欄に署名をしていることをもって他方の親権者も旅券発給に同意していることを事実上推定している
・ただし、「一方の親権者の同意を得ない子の連れ去りに伴うトラブルを防止する観点」から、一方の親権者が未成年の子の旅券の発給に同意しない場合には、あらかじめ未成年の子に対する旅券発給の不同意書を提出できることができる。不同意書が出ている場合に、未成年の子の旅券申請が行われた際には、不同意書を提出していた親権者が引き続きそのまま不同意かを確認する必要がある。
⇒これが外務大臣の回答だが、国内と国外で運用が異なると思われる。
つまり国外だと、不同意署が出ていなくても、一方の親権者の署名のみで「他方親権者の同意を事実上推定」していないのでは。
いちいち「他方の共同親権者は同意していますか、同意が必要です」と説明することで、パスポート発給のハードルがあがっている可能性。
国によるかもしれないし、運用レベルのことがどれくらい厳格か、出てくるかわからないが、
本件はそういう、国内と国外の運用の違いをうかがわせるもの。
3 被害女性の夫は、あらかじめ未成年の子に対する旅券発給の不同意書を提出していたのか?
報道によると、そういう事情はないようだ。
そうであれば、紛失扱いにして改めて発行とか、渡航証を出すとかできたのでは
4 被害女性の夫は、あらかじめ未成年の子に対する旅券発給の不同意書を提出していたのか?
もし「不同意署」が存在していても、DV被害が背景にあったのであれば、子のパスポート発行もできたはずだ。2/14衆院法務委員会で外務省領事局長は「具体的な相談があれば、その状況を踏まえて総合的に判断」と述べた
5 帰国のための一時渡航書の発行を行うことができなかったのか?
2025年2月17日田中健康議員衆院予算委員会質問
「旅券発行が困難な場合でも、例えばDVから避難する等、
命に関わる緊急事態については帰国のための一時渡航書の発行を行うことができなかったのか」
外務大臣答弁
「当該の邦人女性から元夫によるDV被害等についての言及はなく、
その時点で元夫が旅券発給について同意するか否かについて予断することは困難でありました。
委員ご指摘のように、帰国のための渡航書というのを発給することはできる仕組みになっておりますけれども、
その後、結果的には旅券発給の手続きは行われなかったということでございます。」
女性は大使館にDV被害について話していたのではないのか?この点が報道と食い違っていると思う。
6 今後施行される民法改正の影響は?
DV虐待がある共同親権者間にも、形式的に「双方の合意がないとパスポート出せない」と
されるなどの問題は起きないのか。
第3 post separation abuse(ポスト・セパレーション・アビューズ)について
1 ポスト・セパレーション・アビューズとは
別居、離婚などのseparation(別離)をすることによっても、同居・婚姻期間中のDVや虐待の全てが終わるとは限らない。別離後も元配偶者からの粘着的な嫌がらせが続くことについて、「ポスト・セパレーション・アビューズ」(別離後の暴力・嫌がらせ)という言葉がある。
2 ポスト・セパレーション・アビューズの例
橋本崇載氏事件
https://www.yomiuri.co.jp/national/20231209-OYT1T50080/
品川区 母子4人殺害事件
https://www.news-postseven.com/archives/20240524_1966293.html?DETAIL
3 リーガルアビューズという厄介なパターン
2024年4月3日衆院法務委員会 斉藤幸子参考人の言葉を
ぜひ聞いて下さい
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=121305206X00720240403&spkNum=0¤t=1
第4 声明など
1 全国女性シェルターネット
https://nwsnet.or.jp/archives/4347
2 ちょっと待って共同親権ネットワーク
https://cm-network.info/statement_20250216/
●元夫による殺害事件の概要
報道まとめ(国内)
https://note.com/arisin/n/na4227cdadb95
報道まとめ(海外)
https://note.com/arisin/n/n16dcc301d703
2022年6月 (離婚前)
夫のDVについて大使館に相談
大使館:警察に相談を勧めた
2023年離婚
子どもと日本帰国を希望したが元夫が子どものパスポートを取り上げていた(テレビ朝日、弁護士)
交代監護を理由に、父親は養育費の支払いを拒否し離婚後に出国(kontroll)
2024年夏 大使館に相談
パスポートについて。大使館は「元夫の同意が必要」と述べた
2024年に2回警察に相談
「元夫からパソコンの窃盗と脅迫の被害を受けたとして、地元警察へ昨年2回、相談に訪れていた」(共同通信)
元夫から「苦しみながら死ぬだろう」との手紙がきていた
2025年1月29日 ブダペストのアパートで火災が起き、現場から女性の遺体が見つかった。
2月3日 夫逮捕
2月11日 ハンガリー警察は内部調査の結果、対応に誤りがあったことを認めた。
大使館によると、女性に対してDV被害を受けている場合は警察に相談に行くことや、
子どもへの旅券発給には共同親権者の同意が必要であることなどの情報を伝えたとしており、「可能な限りの支援は行ってきた」としている(朝日新聞)
ユリヤ弁護士「大使館に状況伝えたのに助けや支援を一切提案されなかった」(テレビ朝日)
"外務省の担当者
「DVを受けているということで、警察に相談するよう伝えた。子どもについては国際条約での“連れ去り”の問題もあり、
母親の同意だけでパスポートを出せない難しさがあるが、しっかり相談に乗っていた」"(TBS)
「日本大使館は、こども連れ去り防止の観点から、パスポートの発行には元夫の同意が必要だと説明した」(日本テレビ)
NGOは1日、「彼女は長年にわたり元夫から虐待を受けており、元夫を恐れていた。
子どもたちを連れて生まれ故郷(日本)に帰りたがっていた。元夫はハンガリーに居住していなかったにもかかわらず、これ(女性が子どもを連れて日本に帰ること)に同意しなかった」と明らかにした。"(AFP)
●この事件から考えるべきこと
太田noteにまとめ https://note.com/keiko_oota/n/n3120e100c4b2
第1 ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)に関して
1 ハーグ条約とは
国境を越えた子どもの不法な連れ去り(例:一方の親の同意なく子どもを元の居住国から出国させること)をめぐる紛争に対応するための国際的な枠組みとして、子どもを元の居住国に返還するための手続や国境を越えた親子の交流の実現のための締約国間の協力等について定めた条約
原則として子を元の居住国へ返還することが義務づけられ、子がそれまで生活を送っていた国の司法の場で、その後の子の監護についての判断を行うこととなる。
例外的に、子の返還を求める親が子に対して暴力を振るうおそれや、もう一方の親に対して、子に悪影響を与えるような暴力等を振るうおそれ等子の心身に害悪を及ぼすこととなる重大な危険(子の返還拒否事由)があれば、裁判所の判断で、返還の拒否が認められることがある。
2 DV・虐待があっても十分な証拠がないこともある
【裁判所がDVを認定してくれるかわからないという不安から、DV被害者が、子どもを連れて危険から避難するために元の居住国から出国することを事実上妨げてしまう効果を持ってしまっているという問題】がある
3 3 ハーグ・マザー
ハーグ条約の現在の運用が、子連れで暴力から避難することを抑止する効果を持ってしまっているのではないかという問題には各国に居住する様々な国のDV被害者たちが声をあげはじめており、海外在住(あるいは在住経験がある)日本人も、SNS上で自身の経験に基づく問題意識を投稿しているのを見かける。以下はその一例
https://haguemothersjapan.net/
https://movementofmothers.medium.com/the-impossible-escape-the-story-of-narkis-golan-the-hague-convention-and-the-ongoing-battle-to-194a303a2f0b
第2 パスポート発給と共同親権
1 大使館は子のパスポート発給をしなかった
2025年2月14日衆院法務委員会 井坂信彦議員質問
https://youtu.be/E9ecdTsFVk8
文字起こし(七緒さんnote)
https://note.com/nao302198765/n/n26fbadb5daa1
2 未成年の子のパスポート発給は、他方の共同親権者が反対すれば一切できないのか?
2025年2月14日の衆議院予算委員会
井坂議員「外務大臣に伺いますが、元夫のサインがなくても旅券を発行、パスポート発行できなかったのか」
外務大臣の回答:
・未成年者の旅券発給については、双方の共同親権者の同意が必要
・申請者側の利便性に配慮し、一方の親権者が法定代理人欄に署名をしていることをもって他方の親権者も旅券発給に同意していることを事実上推定している
・ただし、「一方の親権者の同意を得ない子の連れ去りに伴うトラブルを防止する観点」から、一方の親権者が未成年の子の旅券の発給に同意しない場合には、あらかじめ未成年の子に対する旅券発給の不同意書を提出できることができる。不同意書が出ている場合に、未成年の子の旅券申請が行われた際には、不同意書を提出していた親権者が引き続きそのまま不同意かを確認する必要がある。
⇒これが外務大臣の回答だが、国内と国外で運用が異なると思われる。
つまり国外だと、不同意署が出ていなくても、一方の親権者の署名のみで「他方親権者の同意を事実上推定」していないのでは。
いちいち「他方の共同親権者は同意していますか、同意が必要です」と説明することで、パスポート発給のハードルがあがっている可能性。
国によるかもしれないし、運用レベルのことがどれくらい厳格か、出てくるかわからないが、
本件はそういう、国内と国外の運用の違いをうかがわせるもの。
3 被害女性の夫は、あらかじめ未成年の子に対する旅券発給の不同意書を提出していたのか?
報道によると、そういう事情はないようだ。
そうであれば、紛失扱いにして改めて発行とか、渡航証を出すとかできたのでは
4 被害女性の夫は、あらかじめ未成年の子に対する旅券発給の不同意書を提出していたのか?
もし「不同意署」が存在していても、DV被害が背景にあったのであれば、子のパスポート発行もできたはずだ。2/14衆院法務委員会で外務省領事局長は「具体的な相談があれば、その状況を踏まえて総合的に判断」と述べた
5 帰国のための一時渡航書の発行を行うことができなかったのか?
2025年2月17日田中健康議員衆院予算委員会質問
「旅券発行が困難な場合でも、例えばDVから避難する等、
命に関わる緊急事態については帰国のための一時渡航書の発行を行うことができなかったのか」
外務大臣答弁
「当該の邦人女性から元夫によるDV被害等についての言及はなく、
その時点で元夫が旅券発給について同意するか否かについて予断することは困難でありました。
委員ご指摘のように、帰国のための渡航書というのを発給することはできる仕組みになっておりますけれども、
その後、結果的には旅券発給の手続きは行われなかったということでございます。」
女性は大使館にDV被害について話していたのではないのか?この点が報道と食い違っていると思う。
6 今後施行される民法改正の影響は?
DV虐待がある共同親権者間にも、形式的に「双方の合意がないとパスポート出せない」と
されるなどの問題は起きないのか。
第3 post separation abuse(ポスト・セパレーション・アビューズ)について
1 ポスト・セパレーション・アビューズとは
別居、離婚などのseparation(別離)をすることによっても、同居・婚姻期間中のDVや虐待の全てが終わるとは限らない。別離後も元配偶者からの粘着的な嫌がらせが続くことについて、「ポスト・セパレーション・アビューズ」(別離後の暴力・嫌がらせ)という言葉がある。
2 ポスト・セパレーション・アビューズの例
橋本崇載氏事件
https://www.yomiuri.co.jp/national/20231209-OYT1T50080/
品川区 母子4人殺害事件
https://www.news-postseven.com/archives/20240524_1966293.html?DETAIL
3 リーガルアビューズという厄介なパターン
2024年4月3日衆院法務委員会 斉藤幸子参考人の言葉を
ぜひ聞いて下さい
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=121305206X00720240403&spkNum=0¤t=1
第4 声明など
1 全国女性シェルターネット
https://nwsnet.or.jp/archives/4347
2 ちょっと待って共同親権ネットワーク
https://cm-network.info/statement_20250216/
弁護士太田啓子のラジオ
太田啓子(弁護士)
- 08:081.
元夫による殺害事件の概要 報道まとめ
- 08:352.
ハーグ条約とは
- 08:123.
ハーグ条約とDV被害者 ハーグ・マザー問題
- 05:224.
共同親権者が子どものパスポート発給に同意しないとどうなるのか。DV被害者だと…
- 07:275.
ポスト・セパレーション・アビューズという問題
- 02:106.
声明 全国女性シェルターネット
- 04:477.
声明 ちょっと待って共同親権ネットワーク
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配信を拝聴して、知識がないと、「おかしいな」と気付くことさえできないなと感じました。まだまだ日本では素人が声を挙げるにはハードルがありますし、まずはこの配信や太田さんのnoteをシェアするのもいいと思いました。私ものちほどシェアさせていただきますね。
昨年の共同親権法案の時からいろいろ勉強し、法案可決を残念に思っていましたが、可決されてしまった以上、被害者支援等を応援して行くしかないと思っていました。でもこの残念なニュースに少し挫ける思いです😢(新聞で見なかったのでそれも残念です)
事なかれ主義の公務員が多いと思います。家裁や関係部署の職員含め共同親権やDVについての研修も必要だと思いました。面会や同意のために加害者との間に入る組織も作ってほしいです。