TOPハウツー・学習歴史十二単着付け師の【にちにち気づきだより】第613話 【生絹】夏は減らして涼をとる06:34 8月25日 91再生 問題を報告する 再生する シェアする 文字で読みたい方はこちらのサイトから「衣と暦」https://ikumina.comもっと読むAI目次平安貴族の夏を彩る「生絹」の秘密透ける絹「すずし」が生み出す涼の工夫計算された重ね着に見る平安美意識装束の枚数を「減らす」ことの難しさ現代にも通じる「削る」技術の真髄AI文字起こし(β版) # 今日はどんな日 日々気付きだより佐藤美奈子です。 今日もお聞きいただきありがとうございます。 このチャンネルでは、毎朝、平安の行事、季節の移ろい、 当時の人の暮らし、そして、消息のこと、 その日の暦を一つお話ししています。 千年前の営みが、今の暮らしや仕事にどうつながっているのか、 毎朝一つお届けしています。 今日は8月の25日。いよいよ、もう8月も月末ですね。 あっという間です。 今日は、消息そのもののお話をします。 平安の人は、夏をどんな衣で過ごしていたのか。 # 生絹(すずし)と涼し 平安人の夏の衣、その答えはすずしと言います。 生の絹と書いてすずし。 眉から取ったままの、練っていない絹のことです。 絹というのは眉から糸を取った後、練るという工程を通します。 セリシンという糊のような成分を落とす作業です。 これを落とすと絹は柔らかくなって光沢が出ます。 これが練り絹と言われるものです。 絹を練っているという字を書きます。 ところが落とさないままにしておくとどうなるか。 これは針が残るということになります。 そして透けます。 針があって透けてすずしい。 だから夏の衣になったわけです。 生の絹と書いてすずし。 すずしいのすずしに通じる音がそのまま名前になっています。 同じ絹を練るか練らないかで、冬と夏に使い分けている。 これが一つ目の工夫です。 そしてもう一つ。 夏は枚数を減らします。 冬が重ねることで段を取るのなら、夏は減らすことで量を取る。 一重だけになって下の色が透ける。 合わせではないということですね。 ここが一番面白いところです。 透けることを計算に入れた重ね方があったということです。 冬の重ねの色目が端に見える色を考えるものなら、 夏の色目は透けて見える色を考えるものでした。 例えば、男性少族であっても、冬の少族であれば、少し座ったときに裾がペラッとめくったときに見えるような色の重ね色目のものがあったりしますけれども、 そのように身分ですとか年齢ですとか、その裏地の色でその方がわかるというような考え方が通しても冬物にはありますけれども、 夏というのは一重、地立ですので、中が透けて見えるんですよね。 その透けた色まで考えて色を選んでいるということになります。 代表的なのが男性少族の夏の濃紫です。 東京道場にある濃紫は二重色で、下に着る一重が 濃い朱色。私たちは紅の一重ということもあります。 その重なりによって生まれる透け感。 二重色に紅が透けて違った色合いに見える。 美意識が強い平安貴族のお洒落を感じます。 濃紫の頬、これは上着のことですが、その頬が透けるということは、裾の合わせの時に、下前側と上前側の裾線に気をつけてお服を上げます。 正装である側体にも夏物はもちろんありまして、特に普段着の濃紫と違って裾線に気をつけます。 縦の縫い目、横の縫い目がぴたりと合うように気をつけています。 冬は重ねて夏は減らす。 言われてみれば当たり前なんですけれども、減らす方が難しいのではないかと思います。 現代のお着物も夏物は気を使いますよね。 下着として着る長襦袢の裾を短く着付けてしまうと、炉や車の着物から足首が透けて見えてしまう。 それはちょっと野暮ったいですね。 足すのはいくらでもできます。一枚足りなければもう一枚。 けれど減らすと下が見えてしまう。 ごまかしが効かなくなる。 だから減らす側の工夫の方にその人の腕が出るのではないでしょうか。 これは装束に限ったことではないと思います。言葉もそうです。 説明を足していくのは簡単ですけれども削っていくと、残った言葉に力が要りますよね。 夏の装束は減らした上で美しくしなければならない。 平安の人は一番難しい方を毎年の夏にやっていたわけです。 今日は8月25日。涼しの季節もそろそろ終わります。 9月13日には秋の重ねの色目のお話をします。 透ける色から重ねる色へ。 明日もその日の暦からお話をしていきます。 それではまた。ごきげんよう。 もっと見る #生絹 #練絹 #夏の衣 #二藍色 十二単着付け師の【にちにち気づきだより】さとうみなこ00:521.今日はどんな日05:422.生絹(すずし)と涼しコメント感想・質問・応援メッセージを書こう
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