#865 「ハチ刺されによるアナフィラキシー②」について 獨協医科大学 埼玉医療センター 呼吸器・アレルギー内科 教授 平田 博国 先生/シルバー人材センター30周年記念式典/89歳ゴルフ
09:24
14再生
獨協医科大学 埼玉医療センター 呼吸器・アレルギー内科 教授の平田博国先生に伺った「ハチ刺されによるアナフィラキシー」のお話です。
お話を伺った先生獨協医科大学 埼玉医療センター 呼吸器・アレルギー内科 教授 平田 博国 先生
先週は、ハチ刺されによるアナフィラキシーの「現状」をご紹介しました。今週は、ハチの毒の中で何が悪さをするのか、そして体の中で何が起きているのか、という「仕組み」のお話です。
① アナフィラキシーを起こすのは、ハチ毒の中の「酵素」
ハチの毒には、さまざまな成分が含まれています。その中で、アナフィラキシーを起こす成分は、主に酵素のなかまであることが確認されているそうです。
特に、スズメバチとアシナガバチの毒には、「アンチゲン5(抗原5)」と呼ばれる、アナフィラキシーを起こす主な原因物質、いわゆるアレルゲンが共通して含まれています。これを「共通抗原」といいます。
そのため、たとえばスズメバチでアナフィラキシーを起こした人が、次にアシナガバチに刺された場合でも、アナフィラキシーを起こす可能性がある。そしてその逆もあり得る、ということなんです。
スズメバチは気をつけていたけれど、アシナガバチなら大丈夫……というわけではないんですね。
② ミツバチの毒は、成分が違う
一方、ミツバチはどうなのか。
ミツバチの毒の主なアレルゲンは、スズメバチやアシナガバチとは違っていて、「ホスホリパーゼA2」や「ヒアルロニダーゼ」といった、こちらも酵素のなかま。これらは、スズメバチやアシナガバチの毒との共通抗原性は低いと考えられているそうです。
ハチの種類と主なアレルゲン
スズメバチ/アシナガバチ … アンチゲン5(共通抗原)
ミツバチ … ホスホリパーゼA2、ヒアルロニダーゼ
→ スズメバチとアシナガバチは、どちらかでアナフィラキシーを起こすと、もう一方でも起こす可能性がある
③ 毒の強さは、ハチによって違う?
スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチ、どのハチに刺されてもアナフィラキシーを起こす可能性はあります。そのうえで、スズメバチによるアナフィラキシーで亡くなるケースが多く報告されているそうです。
その理由としては、毒の成分や、体の中に入る毒の量が関係しているのかもしれない、と先生はお話しされていました。なんといっても、スズメバチは体が大きいですものね。
④ アナフィラキシーが起きる仕組みと、危ない時期
では、どんな仕組みでアナフィラキシーが起きるのでしょうか。
ハチに刺されると、一部のアレルギー体質の方、およそ10〜20%くらいの方の体の中で、そのハチの毒だけに反応する「ハチ毒特異的IgE抗体」が作られます。 そして、次にハチに刺されたとき、体に入ってきたハチ毒と、この特異的IgE抗体が結びつくことで、アナフィラキシーを起こす可能性があるのだそうです。
特に注意が必要なのが、その時期です。
刺されたあとの「危ない時期」
特異的IgE抗体が作られるまで … 刺されてから数週間程度
そこから1〜2年以内にまた刺されると、特にアナフィラキシーの危険性が高い
特異的IgE抗体は数年以上作られ続けるので、一度陽性になった人は、数年たっても注意が必要
一度刺されたことがある方、昔刺されたような記憶がある方は、十分に注意していただきたいですね。
📚 最新の研究から
お話を伺った平田先生のチームが2024年にまとめた総説では、日本で臨床的に重要なハチは、スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチの3種類と整理されています。ハチに刺されて感作された(特異的IgE抗体ができた)人のうち、約10〜17%が、再び刺されたときにアナフィラキシーを起こすと紹介されています。また、発症の仕組みには、特異的IgE抗体を介する反応のほかに、IgE抗体を介さない毒そのものの作用もある、と説明されています。
出典:廣川尚慶, 平田博国, 福島康次. 昆虫刺傷とアナフィラキシー. 医学のあゆみ. 2024;288(11):908-912. https://doi.org/10.32118/ayu28811908
今日のまとめ
アナフィラキシーを起こすハチ毒の成分は、主に酵素のなかま
スズメバチとアシナガバチには「アンチゲン5」という共通のアレルゲンがあり、どちらかで起こした人は、もう一方でも起こす可能性がある
ミツバチの主なアレルゲンは別の成分で、スズメバチ・アシナガバチとの共通性は低い
亡くなるケースが多く報告されているのはスズメバチ
刺されて数週間で特異的IgE抗体ができ、1〜2年以内にまた刺されると特に危険。抗体は数年以上残るので、その後も注意
お話を伺った先生獨協医科大学 埼玉医療センター 呼吸器・アレルギー内科 教授 平田 博国 先生
先週は、ハチ刺されによるアナフィラキシーの「現状」をご紹介しました。今週は、ハチの毒の中で何が悪さをするのか、そして体の中で何が起きているのか、という「仕組み」のお話です。
① アナフィラキシーを起こすのは、ハチ毒の中の「酵素」
ハチの毒には、さまざまな成分が含まれています。その中で、アナフィラキシーを起こす成分は、主に酵素のなかまであることが確認されているそうです。
特に、スズメバチとアシナガバチの毒には、「アンチゲン5(抗原5)」と呼ばれる、アナフィラキシーを起こす主な原因物質、いわゆるアレルゲンが共通して含まれています。これを「共通抗原」といいます。
そのため、たとえばスズメバチでアナフィラキシーを起こした人が、次にアシナガバチに刺された場合でも、アナフィラキシーを起こす可能性がある。そしてその逆もあり得る、ということなんです。
スズメバチは気をつけていたけれど、アシナガバチなら大丈夫……というわけではないんですね。
② ミツバチの毒は、成分が違う
一方、ミツバチはどうなのか。
ミツバチの毒の主なアレルゲンは、スズメバチやアシナガバチとは違っていて、「ホスホリパーゼA2」や「ヒアルロニダーゼ」といった、こちらも酵素のなかま。これらは、スズメバチやアシナガバチの毒との共通抗原性は低いと考えられているそうです。
ハチの種類と主なアレルゲン
スズメバチ/アシナガバチ … アンチゲン5(共通抗原)
ミツバチ … ホスホリパーゼA2、ヒアルロニダーゼ
→ スズメバチとアシナガバチは、どちらかでアナフィラキシーを起こすと、もう一方でも起こす可能性がある
③ 毒の強さは、ハチによって違う?
スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチ、どのハチに刺されてもアナフィラキシーを起こす可能性はあります。そのうえで、スズメバチによるアナフィラキシーで亡くなるケースが多く報告されているそうです。
その理由としては、毒の成分や、体の中に入る毒の量が関係しているのかもしれない、と先生はお話しされていました。なんといっても、スズメバチは体が大きいですものね。
④ アナフィラキシーが起きる仕組みと、危ない時期
では、どんな仕組みでアナフィラキシーが起きるのでしょうか。
ハチに刺されると、一部のアレルギー体質の方、およそ10〜20%くらいの方の体の中で、そのハチの毒だけに反応する「ハチ毒特異的IgE抗体」が作られます。 そして、次にハチに刺されたとき、体に入ってきたハチ毒と、この特異的IgE抗体が結びつくことで、アナフィラキシーを起こす可能性があるのだそうです。
特に注意が必要なのが、その時期です。
刺されたあとの「危ない時期」
特異的IgE抗体が作られるまで … 刺されてから数週間程度
そこから1〜2年以内にまた刺されると、特にアナフィラキシーの危険性が高い
特異的IgE抗体は数年以上作られ続けるので、一度陽性になった人は、数年たっても注意が必要
一度刺されたことがある方、昔刺されたような記憶がある方は、十分に注意していただきたいですね。
📚 最新の研究から
お話を伺った平田先生のチームが2024年にまとめた総説では、日本で臨床的に重要なハチは、スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチの3種類と整理されています。ハチに刺されて感作された(特異的IgE抗体ができた)人のうち、約10〜17%が、再び刺されたときにアナフィラキシーを起こすと紹介されています。また、発症の仕組みには、特異的IgE抗体を介する反応のほかに、IgE抗体を介さない毒そのものの作用もある、と説明されています。
出典:廣川尚慶, 平田博国, 福島康次. 昆虫刺傷とアナフィラキシー. 医学のあゆみ. 2024;288(11):908-912. https://doi.org/10.32118/ayu28811908
今日のまとめ
アナフィラキシーを起こすハチ毒の成分は、主に酵素のなかま
スズメバチとアシナガバチには「アンチゲン5」という共通のアレルゲンがあり、どちらかで起こした人は、もう一方でも起こす可能性がある
ミツバチの主なアレルゲンは別の成分で、スズメバチ・アシナガバチとの共通性は低い
亡くなるケースが多く報告されているのはスズメバチ
刺されて数週間で特異的IgE抗体ができ、1〜2年以内にまた刺されると特に危険。抗体は数年以上残るので、その後も注意
アナウンサーかしまだちほのコミュラジオ(医療/旅/ビジネス)
アナウンサー鹿島田千帆/ Kashimada Chiho
- 02:531.
チャプター1
- 05:202.
チャプター2
- 01:113.
チャプター3
コメント

感想・質問・応援メッセージを書こう