#867 「ハチ刺されによるアナフィラキシー③」について 獨協医科大学 埼玉医療センター 呼吸器・アレルギー内科 教授 平田 博国 先生/プレスリリースの日/亀田運送50周年祝賀会
11:05
3再生
医療の話題:「ハチ刺されによるアナフィラキシー③」
ここからは医療の話題です。4回シリーズの3回目。獨協医科大学 埼玉医療センター 呼吸器・アレルギー内科 教授の平田博国先生に伺った「ハチ刺されによるアナフィラキシー」のお話です。
お話を伺った先生獨協医科大学 埼玉医療センター 呼吸器・アレルギー内科 教授 平田 博国 先生
これまでの2回では、ハチ刺されによるアナフィラキシーの「現状」と、ハチの毒でアレルギーが起きる「仕組み」をお伝えしました。今週は、どんな「症状」が出るのか、そしてどうやって「診断」するのか、というお話です。
① アナフィラキシーで出る4つの症状
平田先生によると、ハチ刺されによるアナフィラキシーでは、次のような症状が出ます。
ハチ刺されによるアナフィラキシーの主な症状
皮膚の症状 … じんましん、皮膚が赤くなる(紅斑)など
消化器の症状 … 吐き気、腹痛など
呼吸器の症状 … 咳、ゼーゼー・ヒューヒューする(喘鳴)、息苦しさ(呼吸困難感)など
心臓・血管の症状 … 血圧の低下、意識障害など ← 命に関わる症状
特に最後の「血圧の低下」や「意識障害」は、命に関わる、致死的なアナフィラキシーの症状なんだそうです。
② 命に関わるアナフィラキシーは「5人に1人」
では、命に関わるアナフィラキシーを起こす人は、どのくらいいるのでしょうか。
先生によると、アナフィラキシーを発症した人の20%以上、およそ5人に1人が、血圧の低下や意識障害などの、致死的なアナフィラキシーを発症するそうです。
5人に1人……。決して少ない数字ではありませんよね。
③ 刺されてから心停止まで、早い人は「25分」
そして、知っておきたいのが「時間」です。
刺されてからの時間の目安
アナフィラキシーの発症 … 早い人で10分前後、多くは30分以内
発症から心停止まで … 15分程度と報告されている
つまり、早い人では、刺されてから25分程度で心停止に至る可能性がある
刺されてから、わずか25分ほど。この話を伺って、本当に怖いと感じました。それだけ、時間との勝負だということなんです。
もしハチに刺されて、じんましんや息苦しさなど、刺されたところ以外にも症状が出てきたら、迷わず救急車を呼んでください。刺されないための工夫や、刺されたときの具体的な対処法は、来週、シリーズ最終回で詳しくお伝えします。
④ 診断のいちばんの決め手は「問診」
では、ハチ毒のアレルギーは、どうやって診断するのでしょうか。
代表的なのは、皮膚テストと、採血による血液検査です。ただ、先生が「いちばん重要」とおっしゃっていたのは、問診。ハチに刺されてから、アナフィラキシーの症状が出るまでの時間などを、患者さんからしっかり聞き取ることが最も大切なんだそうです。
そのうえで、補助的な診断として、
ハチ毒のエキスを使った皮膚テスト
採血で、ハチ毒にだけ反応する「ハチ毒特異的IgE抗体」を測る検査
を行います。
実際の診療では、採血でハチ毒特異的IgE抗体を測ることがほとんど。スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチの3種類の毒について、保険適用で測ることができ、採血してから通常1週間程度で結果が出るそうです。
⑤ 血液検査は「受けるタイミング」が大事
そして、もうひとつ大事なのが、検査を受けるタイミングです。
血液検査(ハチ毒特異的IgE抗体)のタイミング
刺された直後 … 体の中の抗体がハチ毒と反応して使われてしまい、検出されないことがある → 刺されてから1か月程度たってから測ることが大切
刺されてから数年以上たっている場合 … 抗体が検出されないこともある
だからこそ、診断の基本は問診。血液検査はあくまで補助
ハチに刺された経験のある方、だいぶ前に刺されたことがあるな、という記憶がある方は、一度、血液検査を受けてみるのもいいですね。気になる方は、かかりつけの先生に相談してみてください。
📚 研究から:「15分」という数字の出どころ
先生がお話しされた「発症から心停止まで15分程度」という数字は、イギリスで、アナフィラキシーで亡くなった方の記録を集めて分析した研究で報告されたものです。この研究では、呼吸や心臓が止まるまでの時間(中央値)は、原因がハチの毒では15分、食べ物では30分、薬では5分でした。また、ハチの毒が原因の場合は、ショック(血圧の低下)が起こりやすかったと報告されています。この数字は、日本の医療者向けの資料でもよく引用されています。
出典:Pumphrey RS. Lessons for management of anaphylaxis from a study of fatal reactions. Clinical and Experimental Allergy. 2000;30(8):1144-1150. https://doi.org/10.1046/j.1365-2222.2000.00864.x
今日のまとめ
アナフィラキシーの症状は、皮膚・消化器・呼吸器、そして命に関わる心臓・血管の症状(血圧の低下・意識障害)
発症した人の20%以上、およそ5人に1人が、致死的なアナフィラキシーに
早い人は刺されて10分前後、多くは30分以内に発症。早い人では25分程度で心停止に至る可能性も
診断で最も重要なのは問診。皮膚テストや血液検査(ハチ毒特異的IgE抗体)は補助的な診断
血液検査は、刺されてから1か月程度たってから。数年以上たつと検出されないこともある
ここからは医療の話題です。4回シリーズの3回目。獨協医科大学 埼玉医療センター 呼吸器・アレルギー内科 教授の平田博国先生に伺った「ハチ刺されによるアナフィラキシー」のお話です。
お話を伺った先生獨協医科大学 埼玉医療センター 呼吸器・アレルギー内科 教授 平田 博国 先生
これまでの2回では、ハチ刺されによるアナフィラキシーの「現状」と、ハチの毒でアレルギーが起きる「仕組み」をお伝えしました。今週は、どんな「症状」が出るのか、そしてどうやって「診断」するのか、というお話です。
① アナフィラキシーで出る4つの症状
平田先生によると、ハチ刺されによるアナフィラキシーでは、次のような症状が出ます。
ハチ刺されによるアナフィラキシーの主な症状
皮膚の症状 … じんましん、皮膚が赤くなる(紅斑)など
消化器の症状 … 吐き気、腹痛など
呼吸器の症状 … 咳、ゼーゼー・ヒューヒューする(喘鳴)、息苦しさ(呼吸困難感)など
心臓・血管の症状 … 血圧の低下、意識障害など ← 命に関わる症状
特に最後の「血圧の低下」や「意識障害」は、命に関わる、致死的なアナフィラキシーの症状なんだそうです。
② 命に関わるアナフィラキシーは「5人に1人」
では、命に関わるアナフィラキシーを起こす人は、どのくらいいるのでしょうか。
先生によると、アナフィラキシーを発症した人の20%以上、およそ5人に1人が、血圧の低下や意識障害などの、致死的なアナフィラキシーを発症するそうです。
5人に1人……。決して少ない数字ではありませんよね。
③ 刺されてから心停止まで、早い人は「25分」
そして、知っておきたいのが「時間」です。
刺されてからの時間の目安
アナフィラキシーの発症 … 早い人で10分前後、多くは30分以内
発症から心停止まで … 15分程度と報告されている
つまり、早い人では、刺されてから25分程度で心停止に至る可能性がある
刺されてから、わずか25分ほど。この話を伺って、本当に怖いと感じました。それだけ、時間との勝負だということなんです。
もしハチに刺されて、じんましんや息苦しさなど、刺されたところ以外にも症状が出てきたら、迷わず救急車を呼んでください。刺されないための工夫や、刺されたときの具体的な対処法は、来週、シリーズ最終回で詳しくお伝えします。
④ 診断のいちばんの決め手は「問診」
では、ハチ毒のアレルギーは、どうやって診断するのでしょうか。
代表的なのは、皮膚テストと、採血による血液検査です。ただ、先生が「いちばん重要」とおっしゃっていたのは、問診。ハチに刺されてから、アナフィラキシーの症状が出るまでの時間などを、患者さんからしっかり聞き取ることが最も大切なんだそうです。
そのうえで、補助的な診断として、
ハチ毒のエキスを使った皮膚テスト
採血で、ハチ毒にだけ反応する「ハチ毒特異的IgE抗体」を測る検査
を行います。
実際の診療では、採血でハチ毒特異的IgE抗体を測ることがほとんど。スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチの3種類の毒について、保険適用で測ることができ、採血してから通常1週間程度で結果が出るそうです。
⑤ 血液検査は「受けるタイミング」が大事
そして、もうひとつ大事なのが、検査を受けるタイミングです。
血液検査(ハチ毒特異的IgE抗体)のタイミング
刺された直後 … 体の中の抗体がハチ毒と反応して使われてしまい、検出されないことがある → 刺されてから1か月程度たってから測ることが大切
刺されてから数年以上たっている場合 … 抗体が検出されないこともある
だからこそ、診断の基本は問診。血液検査はあくまで補助
ハチに刺された経験のある方、だいぶ前に刺されたことがあるな、という記憶がある方は、一度、血液検査を受けてみるのもいいですね。気になる方は、かかりつけの先生に相談してみてください。
📚 研究から:「15分」という数字の出どころ
先生がお話しされた「発症から心停止まで15分程度」という数字は、イギリスで、アナフィラキシーで亡くなった方の記録を集めて分析した研究で報告されたものです。この研究では、呼吸や心臓が止まるまでの時間(中央値)は、原因がハチの毒では15分、食べ物では30分、薬では5分でした。また、ハチの毒が原因の場合は、ショック(血圧の低下)が起こりやすかったと報告されています。この数字は、日本の医療者向けの資料でもよく引用されています。
出典:Pumphrey RS. Lessons for management of anaphylaxis from a study of fatal reactions. Clinical and Experimental Allergy. 2000;30(8):1144-1150. https://doi.org/10.1046/j.1365-2222.2000.00864.x
今日のまとめ
アナフィラキシーの症状は、皮膚・消化器・呼吸器、そして命に関わる心臓・血管の症状(血圧の低下・意識障害)
発症した人の20%以上、およそ5人に1人が、致死的なアナフィラキシーに
早い人は刺されて10分前後、多くは30分以内に発症。早い人では25分程度で心停止に至る可能性も
診断で最も重要なのは問診。皮膚テストや血液検査(ハチ毒特異的IgE抗体)は補助的な診断
血液検査は、刺されてから1か月程度たってから。数年以上たつと検出されないこともある
アナウンサーかしまだちほのコミュラジオ(医療/旅/ビジネス)
アナウンサー鹿島田千帆/ Kashimada Chiho
- 04:051.
チャプター1
- 05:332.
チャプター2
- 01:283.
チャプター3
コメント

感想・質問・応援メッセージを書こう