TOPトーク専門家毎朝の思考 「共感」って、必ずしも社会を良くするわけじゃない06:18 2021年12月5日 5,163再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次「共感」は常に社会を良くするのか?ポール・ブルームが語る共感の偏り記者が直面した共感のジレンマとは共感に「潰される」プロの現実感情的共感を超えた「理解」の重要性AI文字起こし(β版) # チャプター 1 おはようございます。佐々木敏郎です。 共感という言葉がありますよね。英語で言うとエンパシー。 これってとても重要な感情じゃないですか。 なんか、よく現代は共感が不足しているとかね。 いじめる側もそれを放置する大人たちも共感が不足していると、 もっといじめられている側に共感せよ、みたいなことを言うんだけど、 金主も僕は共感ってうまくいくばかりじゃないと思うんですね。 共感とは他者が感じていることを自分でも感じるようにするという意味だと思うんですけど、 例えばこれ、反共感論という本があって、翻訳なんですけれど、 ポール・ブルームという人が書いているんですね。 反共感論、社会はいかに判断を誤るかというサブタイトルがついていて、 これ、Kindleでも売っているので2700円。 ご興味があったらぜひ読んでみてほしい。とてもいい本なんですけれど、 その中に、例えば2015年のパリの同時多発ゼロの話を書いて、 イーグルス・オブ・デス・メタルというメタルバンドがコンサートしていたら、 そこにイスラム国とかのテロリストが入ってきて銃を乱射して、 100人以上が亡くなったと。 みんなこれでパリのためにツイートをして、 スカイツリーとかもフランス国旗の3色にライトアップしたりとか、 FacebookとかTwitterのSNSも自分のアカウントの写真にフランス国旗を貼り付けたりとか、 みんな共感していたわけですよ。 確かにそれは全く悪いことではないし、そういうふうに共感を示すのはいいことなんだけど、 でもあの時代、2015年はシリアでもっと大変なことが起きていた。 イスラム国の戦場になっていたわけですから、 何百万人もの人が国外に避難して、 みんな難民キャンプで非常に寒い思いをし、たくさんの人が亡くなっていたわけですよ。 でもそういうところにやはり共感は当たりにくい。 なぜかというと身近じゃないから。 そうしても目の前のパリの素晴らしいコンサート会場で人が亡くなったということに共感が行ってしまう。 これをさっき反共感論という本を書いたポール・ブルームは、 共感にはスポットライト効果があると言っているんですよ。 共感しやすいところにみんなスポットライトを当ててしまって、 共感しにくいところに光が当たらない。 だから共感だけに頼っちゃうのはやはり危険だよねという話なんですね。 僕は新聞記者の頃、殺人事件とかをよく取材していて、 被害者の遺族とかにも取材に行くわけですよ。 そういう取材がいいのか悪いのか、妥当なのかどうかはまた別なんだけど、 当時はそういう取材が当たり前でした。 例えば遺族に話を聞いていて、相手の気持ちに入り込んでしまうと、 逆に取材がする以上できなくなっちゃう。かわいそうすぎてね。という問題がある。 かといってその共感を自分の中でシャットアウトしてしまうのも良くないなと 結構難しいなと思ったんですよ。 当時ちょうど80年代の終わりで、僕は岐阜というそんなに大事件がたくさん起きる場所ではない ところの市局に最初新人で赴任したんですね。 一方で埼玉とかに赴任した同期の記者は、 当時宮崎勤事件とか養女連続誘拐殺人がすごい大変だったと。 半年ぐらいして研修科で埼玉の記者に久しぶりに会ったら いやもう大変で、2人ぐらい死んでももはや感情を動かされなくなっちゃったよ。 一人とか普通じゃん?みたいなことを言うんですよ。 入社の頃は、もっと遺族とかの気持ちに寄り添う記事を書きたいとかすごい言ってたのに なんでそんな感情がなくなっちゃってるわけって驚いたんだけど やっぱり共感だけを軸にして仕事しようとすると、共感に潰されちゃうというか 共感しすぎて辛くなってしまって、その共感の気持ちをもうシャットアウトしてしまうと 何かどこにも共感しない記者になっちゃう。 そういうことが起きてたんだなっていうのは 当時の同期の記者を思い出すと感じるんですよね。 だからあまりにも相手の気持ちに入り込んでしまうのもやっぱり良くないなと。 どっちかというと、感情的な共感じゃなくて 相手がどういうふうに物を見ているのか、どういうふうに感じているのかということを理解してあげる ということの方が僕は大事なんじゃないかなと思います。 つまり相手に自分が成り変わってしまう。 そこに入り込んでしまって自分と相手がイコールになっちゃうんじゃなくて この人は一体今この事件をどう見てるんだろう この社会をどう見てるんだろう、この会社をどう見てるんだろう ということをきちんと理解してあげる。 そのぐらいの距離の置き方の方が実はうまくいくんじゃないかなと。 入り込みすぎると何もできなくなるのでもなく かといってもうシャットアウトしてしまうのでもなく ある程度の距離を置くことによってより穏やかで まっとうな共感というのが成立しているんじゃないかなと思うんです。 共感ってなかなかコントロールが難しい感情なので どうしても行き過ぎて振り子が振り切ってしまうことが多いんだけど そこをある程度のレベルに押し留めて振り切ってしまわないようにするのが大事だと思います。 ではまた明日。 もっと見る毎朝の思考佐々木俊尚06:181.チャプター 1コメント感想・質問・応援メッセージを書こう 匿名2021年12月10日そもそも「共感」から偏見や差別が生まれていくところもかなりありますからね 今のTwitter上での共有行為でも、「なんかバズってるけど、これただの差別や偏見、ステレオタイプでしかないじゃん」ってものはよく見かけます返信 佐々木俊尚2021年12月12日おっしゃる通りですね Kazuma Kajita2021年12月5日うーん、共感という言葉を用いられていますが、仰っているのはどちらかと言うと「同情」や「感情移入」の話に思えました。私は、共感(Empathy)は「他人の感情を読み取って共有し、効果的かつ適切な方法で対応する能力」と捉えると、傾聴のような「他者視点取得」と解釈しています。返信
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私は、共感(Empathy)は「他人の感情を読み取って共有し、効果的かつ適切な方法で対応する能力」と捉えると、傾聴のような「他者視点取得」と解釈しています。