TOPトーク専門家毎朝の思考「戦争を憎み、平和を愛する」に内在する傲慢さについて07:16 2022年8月15日 6,145再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次戦争が人類に内在する理由とは「戦争を憎み平和を愛する」欺瞞平和主義者が抗戦的になる理由自身の愚かさを受け止める重要性吉田健一が提唱する平和への道AI文字起こし(β版) # 「戦争を憎み、平和を愛する」に内在する傲慢さについて おはようございます。佐々木敏直です。 今日は終戦記念日ですね。8月15日。 何日か前にも戦争についてこのボイシーでお話ししたんだけど 改めて15日なんでもう一度考えてみようかなと。 戦争って一体何なのか。 人類の歴史が始まってから、戦争って繰り返し繰り返し行われている。 20世紀が終わって21世紀になっても そんな大きな戦争はないだろうと言われていた。 一方でそう言いながらも、911の同時多発テロとか いろんな非対称なテロ戦争みたいなのがあり そして次には今年ロシアがウクライナを侵攻するという大きな戦争が起き やっぱり戦争はなくならないよねという。 だから戦争というものは実は我々の人間性、ヒューマニティに内在するものなんじゃないかと。 どうしても我々は戦争してしまうわけですよ。 一部の悪い奴、ヒットラーとかプーチンみたいな いかにも悪人な顔の人が一方的に始める戦争だけではなくて 常に戦争というのは我々の本能的な宿命みたいなものとしてあるんじゃないのか。 戦争を起きる理由は例えば利害関係だったりとか あるいは宗教だったりとか、あるいは民族のプライドだったりとか あるいは象だったりとか まさにそれって我々人間の人間性そのものじゃないかということだと思うんですよね。 だからよく戦争についてのステレオタイプな言い回しで 戦争を憎み、平和を愛しましょうみたいなことを言うんだけど 戦争が我々人間そのものであればそれを憎むって事って 実は欺瞞なんじゃないのか。傲慢なんじゃないか。 要するに自分じゃないどこかの悪人が戦争をするんじゃなくて 自分自身も戦争を起こしてしまう可能性があるんだって事を 我々はちゃんと自覚した方がいいんじゃないのか。 そんだけの不完全でどうしようもないのが人間なんだよねっていう話なんですよね。 その上で戦争をやめていくにはどうすればいいかってことを考えなきゃいけない。 でも戦争が誰かどこかの悪人が勝手に始めるものだと思っている人たちというのは 戦争を憎み、戦争をやる人を駆逐し排除すれば戦争は起きないと思っちゃう。 でもこれってやっぱり欺瞞なんですよ。 だから俗に平和主義者って言われる人たちがやけに抗戦的だったりするじゃないですか。 平和主義者の人たちに意向にそぐわない発言すると 急にすごい勢いで攻撃してきたりする。 なぜ平和主義者なのに抗戦的なのか。 それは自分たちの中に戦争する可能性、そういうヒューマニティがあるってことを認めないで 自分たちは常に清らかな存在であるというふうに思い込んじゃってるからなんだよね。 でもそんなわけはないじゃんって話なんですよ。 そうやって平和主義者を名乗って抗戦的な人って 結局そういうところから実は戦争を始めるんじゃないのって僕なんかは思っちゃうんだよね。 そうではなくて我々はいつ戦争を始めるかわからない そういう愚かさを自分自身の中に持っているんだっていうことを きちんと受け止めて引き受けること。 それこそが戦争をやめさせる唯一の方法なんじゃないかな というふうにも思うんですよね。 これも過去に何度となく言及しているんだけど このボイシーでも話したかもしれない。 吉田健一っていう文芸評論家が 昭和32年、戦争が終わって10年ぐらい経った頃に書いた有名なエッセイがあって 長崎を訪れて、そこで戦争って何だろうって考えるんですよ、吉田健一が。 彼はこう書いているの。 戦争に反対する最も有効な方法が過去の戦争の酷さを強調し 二度と再びと宣伝することであるとはどうしても思えない。 そうではない。じゃあどうすればいいのか。 吉田健一のこのとても有名な文章。 戦争に反対する唯一の手段は各自の生活を美しくしてそれに執着することである。 結局自分の中には戦争を引き起こしてしまうような愚かさもあり 一方でその愚かさを何とか抑制して 自分自身のいい生活を作っていこうという思いもある。 だから自分自身の中で愚かさと戦って より賊っぽい崇高な平和を愛するという話ではなく 自分自身の生活を大事にしていくことしかないんだということを 吉田健一は言っているんですよね。 各自の生活を美しくしてそれに執着することである。 こういう地に足をついた感覚とか知性とか そういうものこそが実は戦争を乗り越える唯一の手段である。 大声で戦争反対と叫んでデモをする。もちろんそれは構わないんだけど そうやって誰かの戦争を休断することは 結局自分自身がそれを戦争を引き起こす一つの理由になり得るという 攻撃的な抗戦的な気持ちを引き出してしまう。 それこそが実は愚かなんだということを 我々は自覚しなきゃいけないんじゃないかなと思います。 そうは言ってもこういう話はなかなか多くの人に伝わらないんだけど せめてこのご意思示を聞いている人たちだけでも 僕と同じ価値観を共有してくれたら嬉しいなと思います。 ではまた明日。 もっと見る毎朝の思考佐々木俊尚07:161.「戦争を憎み、平和を愛する」に内在する傲慢さについてコメント感想・質問・応援メッセージを書こう パパンダ2022年8月16日「平和を愛し、戦わないのが最善なのか?」という点について。少し視点が変わりますが、たしか欧米の調査では「女性が暴漢に襲われた場合、何かしら抵抗した方が良い(最悪の結果を避ける可能性があがる)」というデータがあったはず。一方で「争わず、戦わないのがベスト」という判断にはどんなエビデンスがあるのか私には不明です。(戦う相手が西側諸国ならハンストでもすれば多少は通用するかも知れませんけど)「外交や対話で解決」という話をするにしても、エビデンスや圧力となるカードが無ければ難しいのではないかと。2返信 うるるん2022年8月15日いつもよいお話をありがとうございます。以前西野亮廣さんの配信でタモリさんの話として「僕らは感情があるから、感情がある以上、愛がある。愛がある以上、戦争はなくならない。」とうかがって、確かに憎しみの連鎖を止めるのは難しいと思いました。また遠くて見えない戦争がある時に何も変わらない生活をしていることにもやもやしていました。今回吉田健一さんのお話を知り、ちょっとほっとしました。生活を美しくして執着し平和を望みたいと思います。1返信 俊尚 佐々木2022年8月16日ありがとうございます。1 Taiyo Suzuki2022年8月15日『戦争を憎み、平和を愛する』とは誰もが共有できるスローガンですが、未来永劫の世界平和を表現しているような気がします。この言葉を前提にして、実際に戦争や内戦が起きている地域について話をすると無理が生じてしまい、そのまま押し通すと傲慢さが出てしまうのではないでしょうか。1返信 pink forest2022年8月15日いつもわかりやすい言葉でていねいに伝えてくださりありがとうございます。今回とくにわたしの中で新たな気づきがあるようで、何度も聴いています。返信 俊尚 佐々木2022年8月15日ありがとうございます。うれしいです。1 pink forest2022年8月15日伝わってますよ、すごく。返信 もっと見る
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少し視点が変わりますが、たしか欧米の調査では「女性が暴漢に襲われた場合、何かしら抵抗した方が良い(最悪の結果を避ける可能性があがる)」というデータがあったはず。
一方で「争わず、戦わないのがベスト」という判断にはどんなエビデンスがあるのか私には不明です。
(戦う相手が西側諸国ならハンストでもすれば多少は通用するかも知れませんけど)
「外交や対話で解決」という話をするにしても、エビデンスや圧力となるカードが無ければ難しいのではないかと。
以前西野亮廣さんの配信でタモリさんの話として「僕らは感情があるから、感情がある以上、愛がある。愛がある以上、戦争はなくならない。」とうかがって、確かに憎しみの連鎖を止めるのは難しいと思いました。また遠くて見えない戦争がある時に何も変わらない生活をしていることにもやもやしていました。今回吉田健一さんのお話を知り、ちょっとほっとしました。生活を美しくして執着し平和を望みたいと思います。
この言葉を前提にして、実際に戦争や内戦が起きている地域について話をすると無理が生じてしまい、そのまま押し通すと傲慢さが出てしまうのではないでしょうか。