TOPトーク専門家毎朝の思考ブルシットジョブと幕末の日本人09:40 2023年3月1日 8,343再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次幕末日本人の死生観と仕事への姿勢勤勉さと「ブルシットジョブ」の現代的矛盾中世から江戸時代「タスク志向」の働き方産業革命以降「時間志向」労働への変遷労働と生活を統合する未来の可能性AI文字起こし(β版) # ブルシットジョブと幕末の日本人 おはようございます。 佐々木敏直です。 少し前にこのボイシーでも紹介したと思うんだけど 渡辺京二さんという、しばらく前亡くなった在野の歴史学者がいて 最も有名な作品が生き潮の面影っていう、幕末から明治にかけて 日本にやってきた様々な外国人、欧米人たちが 日本人を見てどう思ったのか、日本の都市を見てどう感じたのかってことを 国名に調べて書いているすごく面白い分厚い本なんですけど それを読むと当時の日本人の仕事に対する感覚とか姿勢感とか 今と全然違うなっていうのがよくわかる。 例えば姿勢感についてはこういうことを書いてるんですよ。 人間をそれほどありがたいものとは自分たちでも思ってない。 鳥とか獣とかと同じものだ。 だから病気になった人に対して意外に冷たく当たる。 でもそれは他人の苦しみだから自分には関係ないとかいう そういう今風の考えじゃなくて 自分が同じように病気になってももうそれを諦めるから 君も諦めなさいみたいなね。 ある意味もう人間なんてすぐに死ぬものなんだっていう気持ちがある。 それを自分にも認めてるし他者にもそれを認めてるっていうね。 そういう姿勢感だった。 だから病気になって大変だねってオロオロしたりしないってことなんですよね。 こういう感じって不思議だよね。 仕事に対してもそうで、至る所に出てくるのは 職人肩着でいい仕事をして、街も綺麗だし いろんな建具とか彫刻とかいろんな工作物も素晴らしいんだけど 一方でみんなすごい子供っぽくて 遊んでばかりいる。朝から下手くそ酒を飲んでたりとかね。 ある種の子供っぽさとか白痴っぽさがあるみたいなことを欧米人が返したりする。 勤勉な日本人というイメージはあまりなかった。 でも勤勉じゃないんだけどちゃんと仕事はしてたんですよね。 その違いって何なんだろうか。 今なんてものすごいみんな勤勉に仕事してるじゃないですか。 勤勉に仕事してるからといって現代日本人が素晴らしいものをたくさん見出しているかというと まあまあそうは言えないですよね。 それこそ最近よく話題になるブルシットジョブっていう本の話になってくる。 これは少し前に若くして亡くなったデビッド・グレーバーという人類学者が書いた本で 日本語ではクソどうでもいい仕事という身も蓋もない訳を当てられてるんだけど これは別に給料の安い仕事とかそういうことじゃないんですよ。 アルバイトとかね。 そうじゃなくて給料はそこそこもらえるんだけど 社会に対して役に立ってなさそうな仕事っていうのがあるよね。 うーん。 そういう人の給料が高いのになぜか本当に社会に役に立っている 例えばエッセンシャルワーカーみたいな介護だったりとか 保育士さんだったりとかそういう人の給料が安いっていう このアンバランスは何なんだろうって書いてるのがこのブルシットジョブの本で この内容はなかなか面白いんだけど 今日話したいのはそこの部分じゃなくて このブルシットジョブの本の中でデビッド・グレーバーが言ってるんで なるほどなぁと思ったのは もともと仕事って中世まで 日本で言うと江戸時代近世ぐらいまでって入れてもいいのかもしれないんだけど 農業にしろ、あるいはそういう何かものを作る職人にしろ タスク志向だった。 タスクっていうのはこれを作りなさいって言われたらそれを作り上げるのが仕事。 要するに時間給じゃなかったってことなんですね。 例えば農業だったら田んぼ、田植えをする 夏は草刈りをする、水を引く、秋になったら田刈りをすると それは日常と混じり合っていて 働く日は仕事に応じて長くなったり短くなったりする。 冬の間は田んぼをやらないから仕事が少ない。 夏は草刈りとか田植え、田刈りの時期はものすごく忙しかったりするわけです。 そこはすごい長短が大きい。 きっと職人とかもそうなんでしょうね。 大工さんが例えばこの家一軒建てる、しかも今春だけど秋までに建てましょうって言ったら 天気の悪い日はやらないとかね。 あるいは進捗状況に合わせて 今日はこのぐらい済んだからもう後休もうってやったりとか ちょっと最近スケジュールを遅れてるからもう少し働かなきゃっていう形で働いたりとかね。 そういう感じなんだと思うんですよ。 これって今の割に僕なんかのようなフリーランスの仕事の働き方に結構似てるなと思う。 別に時間に縛られてないんだけど タスクは例えばこの本を春までに書き上げなきゃとか 原稿の締切りがありますとか プレゼンの資料をいつどこまでに公演の前に用意しなきゃいけないとかいろんなタスクがあるんだけど そのタスクを日によってあるいは時間によってどう割り振るかっていうのは個人の自由なので 今日はまあやらなくても明日頑張れば済むか 今日は休んじゃおうって言ってゴロンと寝転んだりすることもできるわけですよ。 だから職人的なタスク型の労働っていうのは今もそういうところに生きているのかなと。 でも一方で産業革命以降、工場で労働者が勤務するみたいなシステムが生まれて そのタスク思考ではない時間思考の労働が生まれてきたということを デビッド・グレーバーは指摘してるんですね。 職人の仕事が多分資本家、要するに経営者から見ると気に食わなかったんじゃないか。 つまりその職人にしかわからない経験とかスキルとかノウハウとかがあって そこに蓄積されている。 そうすると交代が効かない。 そうするとこれやれあれやれってやる気ないって言われて断られちゃうと それ以上働かせる強制力がないわけですよね。 だったらそんなんじゃダメだって誰が仕事に就いても取り替え可能にするようにシステマティックにして 労働自体、労働みたいなものの時間と明文化されたノウハウ、スキルで 誰でもできるようにしていくというシステムを作っていった。 それこそT型ホードを作る時に始めた ああいうホーディズムと言われるような労働管理の仕組みとかはまさにそうだと思うんですよね。 その結果どうなったかというと この時間は私、経営者があなた、労働者の時間を買いました。 なので遊ばないで仕事をしてね。 そこでサボられると何か俺損してるって感じがするっていう感じになっていった。 これがまさに産業革命以降この数百年、日本で言うと150年ぐらいの長さにわたって 労働というものを管理にシステムに変えていったっていうことなんですよね。 果たしてでもそれが幸せなのかというと 経営者にとってはいいかもしれないけど、働く人にとっては全然幸せではないよね。 だからワークライフバランスみたいな、とにかく仕事から生きることを切り離して 生きる時間を確保しようって考えたって やっぱり結局この時間志向の労働という枠組みから逃れられないでいる。 そうじゃなくて昔のタスク志向みたいな、職人の時代のように 自分で自分の時間を切り分けて、働く時もあれば休む時もあるというふうにコントロールしようと。 つまりワークとライフは分けるんじゃなくて、そこは統合しちゃえという考え方。 これは僕はワークライフインテグレーションと呼んでるんだけど やっぱりそっちの方が最終的に幸せになれるはずだと思うんですよね。 中世、近世に戻っていくというか。 ただ今の資本主義社会の中で、企業体という仕組みがあって 時間労働が普通になってしまっている中で どうやってこれをかつてのような職人肩着的な仕事に戻していくか しかもそこで生産性を失わないでというのは 結構長い期間にわたる大きな我々の課題なのかもしれない。 でもその課題が解決できれば、きっと今よりもずっと僕らは幸せになれるし 年取っても無理矢理じゃなくて楽しく働いていけるようになるんじゃないかなというふうには思います。 働くことに幸せを取り戻そうということですよ。 ではまた明日 もっと見る毎朝の思考佐々木俊尚09:401.ブルシットジョブと幕末の日本人https://amzn.to/3Zp1whoコメント感想・質問・応援メッセージを書こう
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