TOPトーク専門家毎朝の思考21世紀の私たちに「故郷」はあるのか09:11 2025年8月27日 7,694再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次3拠点生活のホームとは?故郷の概念、今問われる失われた故郷、そして新しい故郷70年代歌謡曲から見る故郷像21世紀、故郷を再定義する時AI文字起こし(β版) # 21世紀の私たちに「故郷」はあるのか おはようございます。佐々木としなおです。 先日ある方と対談をしていて、僕が3拠点移動生活をしているって話になり そういう生活だとホームってどうなるんですか?どこになるんですか?っていう質問をされた。 ホームかあんまり考えたことなかったなぁ。 普通一箇所に定住している人だとどこかに旅に出る、出張する 西郎、いろんなところに行って、そしてやがて帰ってくる。 自宅がホームなわけですよね。 でも3拠点の移動生活って別に一箇所がホームということではない。 もちろん東京にいる期間が一番長いことは長いんだけど 東京がホームなのかというと決してそうでもなくて 僕の中では長野もホームであり、あるいは福井もホームであるっていう感じなんですよね。 だから東京で3週間ぐらいずっと仕事をしていて 結構疲れて軽井沢に移動すると、ああ帰ってきたなっていう感じがする。 同時に福井に行けば福井に行ったで、友達がたくさんいるので みんなのいるところに帰ってきたなっていう感じもする。 そして地元の人たちもお帰りって迎えてくれる。 どこも同じようにホームなんですよね。 カナダ人のマイケル・イグナティエフっていうジャーナリストがいて その人が昔書いた本で 故郷について書いてるんですよね。 現代人において故郷とは一体何か。 本当にみんな故郷なんて持っているのか。 僕ぐらいの世代、あるいはその上の人たちだと 地方から出てきて東京を目指す みたいなのはごく当たり前にあったわけですよね。 民族大移動の時代だった。 でももはや人口の3分の1ぐらいが首都圏1都3県に住むようになってきて どんどん都市が巨大化している。この数十年の間に。 そうすると今東京に住んでいる20代とか30代ぐらいの若者たちというのは 地方から出てきた人もいなくはないんだけどそれはどちらかというと少なくて 出身地が東京、千葉、埼玉、神奈川辺りだったりする。 そうするとそれはホームなんだけど決して懐かしい故郷と言えないんじゃないか。 イメージとしての故郷というのはありますよね。 例えば井上陽水さんの少年時代とかに歌われるような情景 縁側でスイカを食べて夏祭りがあって花火が上がって浴衣を着た女の子たちがいてみたいな。 でもああいう情景というのは所詮も映画の中のあるいは映像の中のイメージでしかなくて 実際にそれを故郷の情景として体験している人は もはや日本では少数派になりつつあるんじゃないかという気もするんですよ。 さっきのイグナテイフの話に戻ると彼は 故郷というのはもうそういう失われた土地のことではなくて 自分たちがどこかに行き着くその行った場所で 様々な思い出を刻み人と仲良くなり ということをするとその場所が常に故郷になっていくんじゃないか。 つまり故郷というのは常に新しく作られていくものなんじゃないかというニュアンスのことを 書いていて、なるほどなぁと思ったことがあるんですよね。 冒頭に話した対談でも ある女性が自分にとって故郷って何なんだろうって考えると それは生まれ育ったところではなくて その後は仕事をし、あるいは大学に進学しててんてんといろんな土地を住んで 自分が子供を産んだ場所がある。 その子供を産んで子供を育った場所っていうのはとても懐かしくて そこが自分にとっては故郷な感じがするっていう話をされていたのを 紹介してもらったんだけど なるほどそういう感覚も多分あるんだろうな。 以前の世代の人はもっと故郷というものに対して ある種過剰とも言えるぐらいの思い入れみたいなのがあって 前に読んだ平川勝美さんという 段階の世代に評論家の21世紀のダイエン・ゲンソーレンという非常に面白い本があって その中に この本論とは関係ないんだけれど 70年代の有名な歌謡曲、モメンのハンカチーフの話が出てくるんですね。 このモメンのハンカチーフってどういう曲なのかというと 地方で恋人と一緒に過ごしたんだけど 彼氏の方が東京に出てきて、彼女は地元に置いたままだ。 その手紙のやり取りをしているっていう内容なんですよ。 彼女の手紙が交互に歌詞の中で描かれていく。 彼氏の方は東京に出て行って華やかな都でスーツを着て派手な生活をするようになり 君にもそんな生活をしてほしい、してもらいたいみたいな そういうある種のメッセージを送る。 でも彼女の方は、そんな派手な生活なんかいらないから この田舎の美しい風景の中であなたと一緒にいた時の方が気持ちよかったよ というようなことを歌うんですよね。 ちょうど70年代半ば、日本の高度経済成長が完成し そういう地方から農村から都会へという民族大移動が完了した時代の歌。 この平川さんはこの曲を聴くと、段階の世代、地方から出てきた人間として とてもとても泣く、涙が出るという話を書かれている。 なぜ涙が出るのかというと、結局自分たちは故郷を懐かしい 故郷を素晴らしいと思いながら、結局この故郷を捨てて東京に出てきて ついぞ帰り見なかったじゃないか。 そこに対するものすごく後ろめたさとか後悔みたいなのがあって その後悔、後ろめたさみたいなものをまざまざと浮かび上がらせるのが この亡命のハンカチフという曲で、だから泣いてしまうんだ。 だからかつての70年代ぐらいの若者たちにとっては故郷というのは 懐かしいものであり、同時にでも振り捨てて前に向かっていかなきゃいけない 後ろに置き去りするものであったということなんですよね。 今そういう感覚は多分日本全体からかなり薄れてきているんじゃないかなという感じがします。 だから我々はこの故郷とか法務、それは決してイコールじゃないかもしれない。 故郷と法務は似たような概念だけど少し違うかもしれない。 でもどちらにしろ故郷も法務も我々は21世紀のこの都市化が進んだ世界の中で もう一度再定義して、自分にとっての故郷とは何か 自分にとっての法務とは何かということを 考えなきゃいけない時代になっているんじゃないかなと思います。 僕にとって法務は東京でもあり福井でもあり長野でもある。 じゃあ故郷ってどこなのか。 生まれ育ったというか、ほとんど育ってはいないんだけれど 生まれた兵庫県の西脇という町なのでとても思い入れがあって あそこは故郷だなあというふうにいつも思う。 でもその町もどんどん寂れていって、僕が子供の頃に見ていた 商店街の賑やかな景色とかはもう失われてですね 本当にアーケードもなくなってただの住宅街になってしまった 空白とした何もない光景が広がっているだけ。 でもそれを見て今懐かしいと思えるかってなかなか難しいところがあるよね。 でも一方で昔登った山の中の小さな景色みたいなのを 時々懐かしく思い出す時がある。 森を歩いているとその森の中にぽっかりと空間があって そこに小さな池があり、水芭蕉が咲いていたりして その草むらに転がって空を見上げると 真っ青な空で気持ちよかったなあって、あの時。 その場所に二度と三度と行っているわけじゃないんだけど いまだに時々その思い出す、その空気感とかその光景とか その匂いみたいなものが僕にとってはある種の 故郷的な心象なのかなっていう感じもするんですよね。 だからまあ自分の中に作り上げていくものなんだろうか、故郷とか ホームとか、それは人から与えられたものではもはやない ということなのかもしれない。そう思います。 ではまた明日 もっと見る毎朝の思考佐々木俊尚09:111.21世紀の私たちに「故郷」はあるのかコメント感想・質問・応援メッセージを書こう Kiyomichi2025年8月31日カナダに15年以上住んでおりますが、身近なカナダ人の生き方を見ていると故郷という考え方は基本的にないと思われます。カナダ人は結構頻繁に転居しますし、子供たちも高校を出ると基本的に家を出ますし、こういう面で家庭という意識がとても希薄であると思いました。北陸の農村で育った身にとっては、未だ生まれ育った故郷に愛着が残っているので、こちらの人の生き方は未だ馴染めません。返信 俊尚 佐々木2025年9月4日なるほどー情報ありがとうございます。 ボブ2025年8月28日大学進学のため上京し、東京住んで25年過ぎた者です。最近は北陸新幹線のおかげで、日帰りで行き来が出来てしまうので望郷の念は薄れつつあるかもしれません返信 エリー2025年8月27日産んだ場所が故郷、わたしもその感覚を抱いているひとりです。(現在30代)一方自分が生まれたところには故郷を感じていません。60代の両親はまさに地方出身者。90代の祖父母の家のある新潟県は故郷です。毎年帰省していた思い出がそうしていると感じます。こどものときから父の仕事で転勤続きで転校生として過ごす時期が長く、「地元」というものに憧れがありましたが、ただいまと思える場所が増えるのもいいものですね。2返信 俊尚 佐々木2025年8月28日産んだ場所が故郷、って男にはわからない感覚でとても興味深いです。ありがとうございます。1 タイツさん2025年8月27日佐々木さんの3拠点生活に絡んだ放送を聞くと、私も、将来はどこか一箇所に定住よりも複数拠点を行き来するようなライフスタイルを築きたいです。1返信 俊尚 佐々木2025年8月28日移動生活は慣れると楽しいですよ。1 310MA2025年8月27日佐々木さんと同様、地方出身者です。聞いていて泣きそうになりました。上京して間もない80年代当時、根無草的な浮遊感を多少なりとも癒してくれたのは、映画、文学、音楽など。小生の場合は、特に劇団「夢の遊眠社」をはじめとする演劇でした。東京でなんとか生きていけると感じました。5返信 俊尚 佐々木2025年8月28日わたしも東京に出てきて、その文化の奥深さに癒された記憶があります。ありがとうございます。 もっと見る
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こどものときから父の仕事で転勤続きで転校生として過ごす時期が長く、「地元」というものに憧れがありましたが、ただいまと思える場所が増えるのもいいものですね。
私も、将来はどこか一箇所に定住よりも複数拠点を行き来するようなライフスタイルを築きたいです。