TOPエンタメ映画・本鳥井弘文の旅と読書とコミュニティ点と点は、必ずつながってしまう。フェイクコンテキスト時代の危うさ。09:44 8月4日 286再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次熊本地震とTSMC陰謀論フェイクコンテキストの正体人間が物語を求める心理陰謀論が生まれる背景とは?AI時代の「線の引き直し力」AI文字起こし(β版) # チャプター 1 こんにちは。鳥井博文です。 働くをテーマにした対話型オンラインコミュニティ 和製サロンを運営しています。 さて、本日のお題は 点と点は必ずつながってしまう フェイクコンテキスト時代の危うさ というテーマでお話ししてみたいと思います。 今日も昨日ブログに書いた内容です。 それでは早速本題に入っていきますね。 先日知人から教えてもらったんですが、今回の熊本地震について ネット上では熊本の菊葉町にあるTSMCの半導体工場を狙った 人工地震なのではないかという陰謀論や流言秘語みたいなものが ネット上で出回っているそうです。 被災された方々には本当に心よりお見舞い申し上げます。 それにしても本当にこういう陰謀論をよく考えるなというふうに 半ば感心すらしてしまいました。 熊本で大きな地震が起きた。 そして熊本の菊葉町には台湾の半導体企業であるTSMCの工場がある。 中国と台湾の間には政治的な緊張関係がある。 そして半導体は現代において経済安全保障を左右するような重要物資でもあるんだと。 こうやって点だけを並べるとどれも実際に存在している情報なんですよね。 嘘は一つも含まれていません。 そこに中国が台湾の半導体産業を攻撃するために熊本のTSMCを狙って 人工地震を起こしたんだという一本の線を引くと 突然無関係だったはずの点と点が一つの物語として立ち上がってしまうわけです。 では一体どこからが嘘なのか。 僕が以前からフェイクコンテキストという言葉を用いて警鐘を鳴らそうとしてきたのも まさにこういう話です。 事実そのものを捏造するんではなくて 事実と事実の間のその線を捏造する手立てです。 言い換えると偽りの点を作り出してしまうんではなくて 本物の点と本物の点のその間に存在しないはずの線を勝手に引いてしまうわけですよね。 もしこれがフェイクニュースであればまだ対処の仕様があるというふうに思うんです。 TSMCの工場が全開したとか 中国政府が人工地震を認めたといった そういう嘘情報なら一つずつ真偽を確認していけばいい。 でもフェイクコンテキストはもっと厄介なんです。 使われている情報は一つずつ確認すれば どれも間違っていないのかもしれない。 でも自分が主張したい物語に対して都合のいい情報だけを強調し 都合の悪い情報をそっと省くことによって 全くそこに別の意味を立ち上げてしまうんですよね。 だからいくら個々の事実みたいなものを検証してみても 物語全体を否定しきることができないわけです。 人工地震ではないことを100%証明できるのかというふうに問われたら それはもう悪魔の証明ですからね。 こうなってしまうともうその物語を外側からぶっ壊すことはできないわけです。 ここまで考えてきた時にふと僕が思い出したのは 以前読んだ内田達郎さんの 審判映画の構造分析という本でした。 この本の中で内田さんは僕たちが何かを知るということは すでに一つの物語を作ることなのだというような趣旨の話をしていたんですよね。 世界では無数の出来事が日々同時に起きています。 僕たちはその全てを等しく受け取ることなんてできないわけです。 だから無数にある事実の情報の中から 意味がありそうな断片みたいなものを意図的に選び出し それらを並び替えて因果関係をそこに与えて ひとまとまりの話として理解をするし そうやって世界を理解せざるを得ないんだと言い換えると 僕たちは世界をそのまま知っているわけではないんですよね。 世界の中からある情報を選び出し 別の情報を捨てて そして選んだものを繋ぎ合わせた物語を通してしか 世界を知ることができないわけです。 つまり僕ら人間が知るという行為をするのはすでに物語るということなんだと。 例えばこれを分かりやすい話にすると 知人からの返信がいつもよりも遅かった。 翌日会ってみたら心なしか態度も冷たいような気がした。 思い返せば以前も似たようなことがあった。 この3つの別々の断片が並んだ瞬間 僕たちはもしかして相手から嫌われているんじゃないか という物語を作り出してしまうわけですよね。 でも実際にはただただ忙しかっただけかもしれないし 体調が悪かっただけかもしれない。 そもそも態度が冷たかったという観察自体も こちら側の思い込みだったって可能性があるわけですから それでも点がいくつか並ぶと 人はそこに線を引かずにはいられないわけです。 点と点が勝手に繋がるわけではないんですよね。 より正確に言えば僕たち人間の方が点と点を必ず繋いでしまうんだってことです。 そう考えると先ほどの 事実と事実の間を捏造するというフェイクコンテキストの定義なんかも 少しだけ言い換える必要があるなって思うんです。 そもそも事実と事実を結ぶこと自体が悪いわけではないんです。 というよりも人間は 点と点を結ばなければ何一つ理解できない そんな生き物なわけです。 歴史を語ることもニュースを報じることも 映画を見てその登場人物たちの気持ちを押し量るってことも 自分の人生を振り返ることも全部断片を選び出し 順序を決めてそこに意味を与える行為なわけですから 物語を作ることからは 人間である以上誰一人として逃れられないということです。 では一体何が本当の問題なのか 自分がそうやって後から引いた線を 世界にもともと存在していた線だって思い込んでしまうこと これに尽きるんだろうなって思います。 地震によってTSMCの向上が影響を受けたというのは 確認可能な影響関係なわけです。 一方でTSMCを攻撃するために地震が起きた というのはそこに目的や意図を付け加えた 仮説に過ぎないわけですよね。 この二つは似ているようで全く違います。 TSMCを狙った人工地震という物語を採用してしまうと その後に見つかるありとあらゆる情報が その物語の証拠に見え始めるわけです。 物語が先に決まると後から現れる断片のその意味まで その物語に沿って書き換えられてしまうわけですよね。 全部裏書きされていくんです。 情報そのものが人を騙すんじゃなくて その情報がどの物語の中に置かれているのかによって 僕たちの見え方がガラッと変わってしまう。 これがフェイクコンテキストの本当の怖さなんだと 思うんですよね。 なぜ人間はこうした物語を求めてしまうのか 陰謀論を信じる人たちを頭が悪いとか リテラシーが低いとか笑うだけでは 何も理解したことには繋がらないと思うんですよね。 人間は意味のない出来事に耐えることがとても苦手な生き物なんだと 思うんです。 そして自然災害には人間的に解釈可能な意味が 正しい人だけが助かるわけでもないし 悪い人だけが被害を受けるわけでもなくて そこに誰かの意図みたいなものが最初からあるわけでもないわけです。 ただ地面が揺れてたまたまそこにいた人や建物が被害を受けるんですよね。 あまりにも無意味であって ものすごく不条理極まりない出来事なわけです。 それに比べて中国がTSMCを狙って地震を起こしたんだ という物語には 世界が急に理解しやすくなるような土壌みたいなものがあるわけですよね。 陰謀論というのは一見複雑なことを考えているに見えて 実際には複雑で無秩序な世界を猛烈に単純化しているわけです。 悪役のいる世界の方が 何の意図もなく災害が起きてしまう世界なんかよりも 精神的にはよっぽど耐えやすいわけですよね。 逆に言えばほぼ陰謀論だというふうに分かっているような人であったとしても 自分が体験した不条理の辛さや悲しさゆえに 藁をもつかむような勢いで 陰謀論の物語を採用してしまうことだってあるんだということです。 その人が感じている悲しさや辛さなんかは 僕らは一概には否定できないわけですよね。 ただし現実ってのはいつだってそんな風に物語ほど 綺麗にはできていないわけです。 そしてここにきてようやくAIの話に繋がってくるんですが 人間はAIが登場するずっと前から点と点を結び 物語を作って生きてきたわけです。 AIが陰謀論を発明したわけでもないし フェイクコンテキストを生み出したわけでもありません。 AIが変えたのは線を引く速度と量 そしてその最もらしさなんです。 ここが本当に重要なポイントだと思います。 そこに並んでいる点の多くは本物なんですよね。 だから読み手は情報量の圧倒的な多さを 因果関係の確からしさだと取り違えてしまうわけです。 これほど陰謀論作りに便利な道具ってのも なかなか存在しなかっただろうなと思わされてしまいます。 そして今日のこの話をもう一段メタの視点に立って 正直に白状してしまうとここまで語ってきた話も また一つの物語なんです。 我ながらメタすぎる話だなって思うんですが 多分この自覚こそが一番大事なんだなって思うんですよね。 陰謀論を信じている人たちだけが物語の内側にいて 自分だけがその外側から客観的な世界を眺めている なんてことは絶対にありえないわけですから 僕もまた自分の見たい物語を通して 世界を見てしまっているわけです。 自分が引いた線ってのはあくまで自分が引いた線であること 別の結び方がいくらでもあり得て そして新しい事実が出てきたら 何度でもそれを引き直す必要があるんだってことです。 その解釈可能性だけはいつも手元に残しておきたいなって思うんですよね。 今日の話を最後にまとめてみると 点と点は居合うなく必ずと繋がってしまう それが人間が物語を通してしか世界を知ることができないという 圧倒的な真実です。 だから僕たちに必要なのは線を引かないということではないわけです。 そもそもそんなことは不可能なんですよね。 AI時代に必要なのは点と点を繋がない能力ではなくて 一度引いてしまった線を現実に合わせて 何度でも引き直せる能力 その弾力や節度の方なんだろうなって思います。 今日はなかなかにややこしい話を語ってしまったような自覚はあるんですが でもこれがAI時代に本当に大事な観点だなって思っているので 皆さんにもどうにかこの話が伝わっていたら本当に嬉しいです。 さて、今日のお話は以上となります。 いつもこのボイスを聞いてくださっている皆さんにとっても 今日のこの内容が何かしらの考えるきっかけとなっていたら幸いです。 それでは今日はこの辺で。また明日。 もっと見る鳥井弘文の旅と読書とコミュニティプレミアム放送配信中!09:441.チャプター 1コメントプレミアムリスナーになるとコメント欄に参加することができます プレミアムリスナーに参加する
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