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「声」を仕事にするには|公式パーソナリティインタビュー第3回 金川恵理さん

「声」を仕事にするには|公式パーソナリティインタビュー第3回 金川恵理さん

Voicy公式パーソナリティとして、「文化放送働き女子パーソナリティ」を担当した金川恵理(かねかわ えり)さん。

ブライダル業界でキャリアをスタートし、「30歳定年説」とさえささやかれるアナウンサーの世界へ 。未経験ながら放送局への転職を果たし、夢を叶えた金川さんの歩みは、決して平坦なものではありませんでした 。

一度は諦めかけた夢。彼女はどうやって再びその想いに火を灯し、憧れの世界への扉を開いたのでしょうか 。

今回のインタビューでは、金川さんがアナウンサーとしての原点を築いた「Voicy」でのエピソード、そして報道の現場で学んだ「命を守る言葉」の重みについて、じっくりとお話を伺いました 。

▶︎プロフィール 

金川 恵理:Eri Kanekawa 
大学卒業後、ブライダル企業や学校の事務職員などの会社員を経て、Voicy「文化放送働き女子パーソナリティ」として活動 。その後、茨城放送(現LuckyFM)のアナウンサーに転身し、ニュースキャスターや中継リポーター、パーソナリティ、番組制作などを幅広く担当 。また考案した納豆レシピがTBS『あさチャン!』『Nスタ』で紹介されるなど、「食と農のアナウンサー」としても活躍 。現在はフリーアナウンサーとして活動しながら、2児の母として育児にも奮闘中 。

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「なんで諦めちゃったんだろう」7年越しの後悔と決意

── 金川さんは一度一般企業に就職されていますが、そこから再びアナウンサーを目指そうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

金川: 学校事務の仕事は任期が5年と決まっていて、次のステップを考えなければいけない時期でした。「次は何をしよう」と考えた時、やっぱり心の中にあったのは「伝える仕事がしたい」という想いだったんです 。

実は大学生の頃、アナウンサーになりたくてスクールに通っていた時期がありました。でも、周りの子がキラキラして見えてしまって……。「私には向いていない」と勝手に決めつけ、記念受験だけして諦めてしまったんです 。

社会人になってから、重い腰を上げて再びアナウンススクールの無料体験に行きました。そこで行われたカウンセリングで、自己PRや志望動機を話している最中に、私、突然大泣きしてしまって 。

── カウンセリング中に、ですか?

金川: はい。「なんであの時、諦めちゃったんだろう」という強烈な後悔が、7〜8年ぶりに蘇ってきたんです。その時、「ああ、私は泣くほどやりたかったんだ」と改めて気づかされました 。

運命的だったのは、その出来事のわずか1週間後に、Voicyの「働き女子パーソナリティ」のオーディションを見つけたこと。「これだ!」と思って、締め切り3日前に必死で応募しました 。

朝5時起きで収録、深夜は履歴書。寝る間も惜しんだ「二足のわらじ」

── 見事オーディションに合格されましたが、会社員との両立は大変だったのではないですか?

金川: 正直、寝てなかったですね(笑)。 朝が早い職場だったので、毎朝5時には起きていました。家を出るまでの間にニュースを収録し、Voicyで7時半に配信されるようにセットして出勤するルーティンです 。

そして仕事が終わると、そこからは就職活動の時間です。夜中まで履歴書を書いたり、自己PRの練習をしたり……。勤務中のお昼休みも履歴書を書いていたくらい、とにかく必死でした 。

── そこまで突き動かしたものは何だったんですか?

金川: やっぱり「もう後悔したくない」という一心だったと思います。Voicyの配信を毎日続けながら、同時にアナウンサー試験を受けるというハードな日々でしたが、不思議と辛くはありませんでした。むしろ、Voicyという場所、聴いてくださるリスナーさんがいたからこそ、続けられたのだと思います。

「等身大の私」を受け入れてくれた、スマホ越しのリスナーたち

── Voicyでの発信は、金川さんにとってどのような場でしたか?

金川: 私にとってVoicyは「家」のような、原点とも言える場所です 。 毎朝配信していると、どうしても眠い声や駅まで走って息切れしている声の日があったりします。でも、リスナーさんはそんな「ありのままの自分」を受け入れてくれました 。

体調が悪い時は、自分のことを話していなくても「大丈夫?」とコメントをくださったり、良いことがあれば「何かいいことありましたか?」と。声って嘘がつけないんですよね 。だからこそ、格好つけずに「等身大の私」でいられたことが、すごく心地よかったんです 。

── その経験は、話し方にも変化をもたらしましたか?

金川: そうですね。マイクに向かって一方的に喋るのではなく、「隣にいる友達や家族に話しかけるような感覚」が身につきました 。 ロボットのように綺麗に読むのではなく、誰かに語りかけるように話す。それがアナウンサー試験でも私を支えてくれる大きな武器になったと思います 。

「君は描写ができる」未経験者が経験者枠で採用された理由

── 実際のアナウンサー試験では、Voicyでの経験はどう活かされましたか?

金川: 試験では、初見のニュース原稿を渡されて「はい、読んで」と言われることもあれば、突然フリートークを求められることもあります 。 私は毎日ニュースを5本読み、フリートークも配信していたので、それがそのまま練習になっていました 。マイクテストの時も、不思議と「毎日やってきたから大丈夫」という自信があって、つっかえずに私らしく話すことができたんです 。

── その結果、見事合格。しかも「経験者枠」での採用だったとか。

金川: そうなんです。本来なら未経験なのに(笑) 。 入社後、当時の局長に「試験を見ていて、君は物事を細かく描写できる子だと思った」と言っていただけました 。 Voicyでは映像がない分、言葉だけで具体的に情景を伝える練習を自然としていたので、その「描写力」が評価されたのだと思います 。

「友達に語りかけるような話し方」から「命を守る呼びかけ」へ

── 念願のアナウンサーデビュー。しかし、プロの現場はVoicyとは違う厳しさもあったのではないでしょうか?

金川: 全く違いました。Voicyが「家」だとしたら、放送局はもっと緊張感のある場所です 。 公共電波では誤読は許されませんし、イントネーションや「ら抜き言葉」にも注意しました。何より、ニュース原稿の向こうには、必死で取材をしてきた記者さんがいます。私が一文字読み間違えるだけで、その努力や情報の信頼性を台無しにしてしまう 。

だからこそ、一文字一文字に責任を持って、真剣に伝えることを大切にしています 。

── 特に印象に残っている現場での経験はありますか?

金川: 入社してすぐに、報道の方から「放送は何のためにあると思う?」と聞かれたことがあります。その答えは、「人を繋ぎ、命を守るため」でした 。 その言葉の重みを痛感したのが、地震速報の対応です 。

── 茨城県は地震が多い地域でもありますよね?

金川: はい。生放送中に突然揺れが来て、速報が入ることも多かったです 。 ブースの中では私の心臓もバクバクしています 。でも、マイクの向こうにいるリスナーさんを不安にさせてはいけない。自分の恐怖心は抑えて、冷静に、正確に「身を守ってください」と呼びかけました 。

Voicyで培った「隣の人に話しかけるような温かさ」と、プロとして「状況を俯瞰し、冷静さを失わないこと」 この両方を経験できたことが、本当の意味での「伝え手」としての一歩を踏み出せたような気がします。それが今の私に繋がっています。

その一言が、誰かの人生を変えるかもしれない

── 現場での経験を経て、言葉に対する意識はどう変わりましたか?

金川: 「言葉には本当に力がある」と骨身に沁みて感じるようになりました。 言葉は使い方を間違えれば、人を傷つける鋭い「武器」になってしまいます。でもその一方で、誰かを勇気づけたり、守ることもできる 。

だからこそ、マイクの前で話す時は、常にその責任を背負っているという意識で、「愛」を持って語りかけることを大切にしています 。

── その言葉の力が、ポジティブな形で届いたと感じた瞬間はありますか?

金川: 一番忘れられないのは、母校で講演をさせていただいた時のことです。 「聞かせて先輩物語」というテーマで、自分のキャリアやアナウンサーの仕事について、小学生の子どもたちにお話ししました 。

講演が終わった後、ひとりの児童が私のところに駆け寄ってきてくれたんです。 その子が、「金川さんの話を聞いて、諦めていた宝塚をもう一度目指そうと思いました」と伝えてくれて 。

── それは嬉しい言葉ですね。

金川: 本当に嬉しかったです。その子は「周りにバカにされるから無理だと諦めていたけど、何と言われても頑張ってみようと思います」と言ってくれました 。 私が何気なく発した言葉や経験談が、誰かの人生の「きっかけ」になれた。そう実感できた時、この仕事をやっていて本当に良かったと心から思いました 。

ママになっても、私は私。「行動あるのみ」で次の扉を開く

── 金川さんは現在、2児の母をしながらフリーアナウンサーとして活動されていますが、これからの展望を教えてください。

金川: 結婚・出産を経て、最近はスーパーなどでも「〇〇ちゃんママ」と呼ばれることが増えました。もちろんママであることも幸せですが、同時に「金川恵理」という一人の人間としての世界もしっかり持っていたいんです 。

世の中には、同じように感じているお母さんたちがたくさんいると思います。だからこれからは、女性がもっと自分らしく働けたり、輝けたりするような仕組み作りにも携わっていきたいですね 。

── 最後に、夢に向かって一歩踏み出そうとしている方へメッセージをお願いします。

金川: 「行動あるのみ」です 。 私も29歳でアナウンサーを目指した時、周りからは「無理だよ」と鼻で笑われることもありました 。でも、勇気を出して一歩踏み出したからこそ、想像もしなかった未来に出会えました。

迷っているなら、まずはやってみてください。行動すれば、必ずチャンスは巡ってくるし、応援してくれる人も現れます 。何歳からでも遅くはありません。自分を信じて、ぜひチャレンジしてほしいなと思います 。

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