TOPエンタメ映画・本ショートストーリーの朗読白い一分07:14 9月19日 2再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次5分朗読審査に挑む祖父の特訓録音から消える孫の声の違和感「出たい」孫と祖父の葛藤と決意本番、タイムリミット迫る舞台裏未完の朗読が繋ぐ二人の新たな道AI文字起こし(β版) # 白い一分 白い1分 聞きどころ 5分の朗読に、毎日2時間の練習を重ねた祖父がいます。 孫と読むはずの録音から、なぜか孫の声が減っていきます。 本番の赤いランプの前で、二人はどんな時間を過ごすのでしょう。 5分物語 地鶴が台本に書いた3つの点を、祖父の周平は赤鉛筆で消した。 ここで止まると5分に入らない。 そこ、私が読むところなんだけど。 高校生の孫は赤い線の上に右手を伏せた。 周平はその手をよけて時計を見た。 町の文化祭の朗読審査。 5分以内に読み終えた組から一組が選ばれる。 昭和半年間、月に一度のラジオ朗読。 63歳の周平は毎日2時間練習をしていた。 退職後の予定表は買い物、掃除、散歩。 自分で書く用事ばかりだった。 番組表に名前が載れば、誰かの予定にも自分の声が入る。 募集用紙は冷蔵庫に貼ってあった。 夕飯の皿を片付けるたび、周平は出演者の募集欄を見た。 物語を書いたのは千鶴だ。 村を出る娘と見送る父親。 娘を千鶴が。 父親と字の文を周平が読む。 通し練習で千鶴が止まった。 私はその…。 私は帰りの切符を買わなかった。 周平は娘のセリフまで読み、そのまま終えた。 4分58秒。 よし、間に合った。 録音を聞く。 父親も娘も周平の声だった。 これなら一人で出られるね。 止まった時助けられるように。 助かったの時間だけじゃない? 再生の終わったスマートフォンに4分58秒と残っていた。 千鶴はもうその数字を見ていない。 周平は赤鉛筆を置いた。 出るのやめるか? 出たいよ。私も読みに行きたい。 千鶴は台本へ右手を伏せた。 こうしたら待って、手をどけるまで。 周平は壁の時計を見かけ、千鶴へ目を戻した。 彼女の指の下に消した三つの点が隠れていた。 わかった。 その夜、周平は一人で待つ練習をした。 10秒。 冷蔵庫の音が大きくなる。 次のセリフはもう覚えている。 声を出せばこの静けさを終わらせられる。 周平は口を開いてしまい最初からやり直した。 ただ全部を自分で読める短縮版は捨てずに台本へ挟んだ。 浴帳、舞台袖で周平は尋ねた。 まだ出たいか? うん、おじいちゃんは? 出たい。 思ったより切実な声になった。 係の人が告げる。 5分でマイクを切ります。延長はできません。 赤いランプがついた。 赤いランプがついた。 周平の声が客席へ広がる。 娘の番。 千鶴の右手が髪に伏せられた。 周平の口には次のセリフがあった。 唇を閉じる。 誰かが咳をした。 やがて手が離れ千鶴が読む。 周平はその声の後に続いた。 何度か止まり最後の場面に入った。 残り25秒。 また千鶴の手が伏せられる。 周平は短縮版に触れた。 ここから自分で読めば18秒。 まだ間に合う。 番組表に自分の名前が載るかもしれない。 残り19秒。 千鶴の小指が震えていた。 周平は短縮版を裏返した。 白い髪。 時計だけが進んだ。 行ってきます。 ランプが消えた。 父親の返事も最後の段落も読めなかった。 審査票には未完、先行対象外。 ごめん。 悔しいな。 私も最後まで読みたかった。 周平は審査票を折ってポケットに入れた。 捨てることもうまくなくさめることもできなかった。 次の組の拍手が10日まで聞こえた。 中庭のベンチで二人は続きを読んだ。 千鶴が言い、周平が返す。 今度は最後の段落まで。 最初のところ、もう少し開けてもいい? 赤線で消した三つの点だった。 周平は自分の名前を読んだ。 周平は短縮版の白い紙を差し出した。 千鶴がセリフを書く。 二行当てて次のセリフ。 風が来た。 二人はそれぞれ紙の違う端を押さえた。 もっと見る #現代ヒューマンドラマ #家族と創作 ショートストーリーの朗読ソフトウェアテストTACT 「そふてた」と呼んでください07:141.白い一分コメント感想・質問・応援メッセージを書こう
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