TOPエンタメ映画・本ショートストーリーの朗読1時半の大魚06:45 9月18日 2再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次75歳店主、金物店最後の一日常連客が残そうとする店の「記録」壁の大魚写真に隠された真実工事延期を断った店主の決断傾く額縁、交錯する二人の視線AI文字起こし(β版) # 1時半の大魚 一時半の退去 聞きどころ 偽じまいの日 壁の釣り写真がいつもより重く感じられます。 75歳の店主は最後まで常連の役に立とうとします。 午後3時、思い出の台を切る時間が近づきます。 クゼは壁の縁を外しかけ、首へ戻した。 重い写真の若い自分は大魚を両腕に抱えている。 手首に細い紐が食い込んでいた。 75歳のクゼが営む金物店は今日で見せじまい、 3時には作り付けの台を切って運び出す。 工事だけなら一週間延ばせると業者は言っていた。 台の向こうに座っていれば誰かが物を頼みに来る。 立ち上がるのが遅くなってもどこに何があるかならクゼには分かった。 電話が鳴った。 電源を切った自動ドアの向こうで常連の森が携帯を振っていた。 さっきも来たんです。留守かと思ってお昼を食べてました。 クゼはドアのスイッチを入れた。 もう昼か。 一時半ですよ。この前の留め金もう一つありますか。 森のカバンには同じ店のマークの袋がいくつか見えた。 どれも口が折られたままだった。 クゼは奥で金物を探しようやく一つ出した。 穴の位置が違った。 また今度でいいですよ。 二人とも黙った。森は携帯を取り出した。 店の記録、表紙を作ってみたんです。 道具の使い方も後から調べられるように。 表紙にはあの大魚の写真、その下に大物を釣り上げた店主と会った。 店がなくなっても自分の答えが残る。 クゼは写真を拡大した。 手首の紐を見た途端、あの日の重さが戻ってきた。 それ、俺が釣ったんじゃないんだ。 え? 借りたんだ、写真を撮る間だけ。 森は画面を見たまま動かなかった。 クゼは間違えた金具を袋に入れ、また出した。 船に乗り遅れたんだよ、途中で。 勝時橋が開いてな。 見てたんですか? 釣りに行く途中で。 閉じるところまで見たくなんてな。 手ぶらじゃカッコつかんから戻ってきた船の人に借りた。 森が録音の画面を探した。 クゼは口を閉じた。 橋、どっち側から見てたんですか? 撮るんじゃないの。 後でいいです。どっち側ですか? クゼは棚の橋を指した。 森もそちらを見た。 話し終えるまで携帯は台に伏せられていた。 二時半、乗車から確認の電話が来た。 クゼは受話器を胸へ寄せた。 記録まだ途中だろう。工事一週間延ばせるんだと。 クゼさんはどうしたいんですか? お客が来るならな。 森がカバンの口を押さえた。 クゼは口を開けてない紙袋を思い出した。 前の留め金まだ使ってないだろう。何に使うんだ。 まだ決めてないです。 クゼは台に手を置いた。 小銭を渡してきた場所は浅くくぼんでいる。 ここで待てばもう一人ぐらい客が来るかもしれない。 クゼはくぼみの縁を親指でなぞった。 受話器を戻した。 三時でお願いします。 台も切って構いません。 電話を置き、釣り線皿の小銭を缶に戻した。 最後の一枚が張り付いて取れない。 皿を傾けると落ちた。 明日、公園にいるか?一時半頃。 います。 三時、クゼは業者に鍵を渡した。 台のくぼみを切って赤い接待線が引かれた。 森が携帯を構えた。 最後に一枚。 森さんもこっちに。 業者に携帯を渡し、二人は半歩ずつ寄った。 クゼは手の置き場に困ったが、取り直してくれとは言わなかった。 クゼは壁の額を外した。 店の外へ出ると奥からノコギリの音がした。 クゼは立ち止まった。 額を持つ右手が下がった。 写真の魚が傾く。 森が反対側へ回った。 こっちも落ちます。 額が軽くなったわけではなかった。 それでもクゼの皮だけが下がることはもうなかった。 目が合った。 もっと見る #日常文芸 #老いと友情のドラマ ショートストーリーの朗読ソフトウェアテストTACT 「そふてた」と呼んでください06:451.1時半の大魚コメント感想・質問・応援メッセージを書こう
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