TOPトーク専門家毎朝の思考「借りがある」って決して悪いことじゃない08:22 2021年9月21日 4,798再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次物々交換は神話?デビッド・グレーバーの提言心の『借り』が人間関係を持続させる鍵福井の共同体に見る『貸し借り』の文化プラマイゼロにしない関係性の重要性とはあなたの『貸し』が心の資産に変わる時AI文字起こし(β版) # チャプター 1 おはようございます。佐々木敏直です。 今日は貸し借りについて考えてみようかな。 お金でも何でもいいです。いろんな貸し借り。 題前に読んだ本で、デビッド・グレーバーっていうアメリカの人類学者ですね。 不細論という本があります。不細ってのは夫と妻じゃないですよ。 お金の借りている状態の不細ですね。 サブタイトルが、貨幣と暴力の五千年ってすごいタイトルなんですが そのすごいタイトルに似合うぐらいに分厚くて 日本語訳が出てるんですけど、760ページぐらいあります。読むの大変。 この本が面白いのは一番最初のところに、物々交換の神話って書いてある。 よくほら、教科書で習いませんでした。 今みたいな貨幣経済、お金の経済が出てくる前 太古の昔には物々交換だった。 僕が大根を10本持って行って 誰かが鶏肉を1キロ持ってきて、それを交換する。 でもこんなものは実は神話だったってグレーバー書いてるんですよ。 実際その物々交換が行われてたという証拠はどこにもないんだと。 どこにも残ってないんだと。 実際そう考えてみると、ちょうど同じ価値に釣り合うものを持ち寄るって 結構難しいはずですよね。 そんなものができるわけない。どうしてもプラマイが出てしまうはずになる。 だからグレーバーさんが言うように、当時は物々交換なんじゃなくて 雑用経済。いわゆる物と物を送り合って そこで同じ価値を釣り合わせない。 ただ送り合うだけだったんだ。 別の言い方をすると互収経済という難しい言い方をしますよね。 互収というのは物を送り合うことでお互いの関係性を確かめるという意味ですが そういう経済だったんだと。 でもそうすると価値がプラマイが出ちゃうじゃないですか。これはどうするのか。 例えば僕がある日、何の見返りもなしに大根を10本 誰かさんのとこに持って行ってあげるよと言ってプレゼントする。 でも相手はそのプレゼントを返事してくれないかもしれない。 じゃあ僕が持っていた大根10本はただ送っただけで 僕にとっては何のメリットもないって話になるんじゃないかと思うんですけど でももう少し違う。 だって例えば実際今の生活ではよくお土産をもらったりしますよね。お裾分けとか。 じゃあ例えば大根10本はもらってもあまり嬉しくないかもしれないけど いいワインを飲んだんで佐々木さん用に買っておいてあげたよって言われて ちょっと高そうな3000円とか4000円くらいしそうなワインをもらったりしたら こんなにいいものをもらっていいんですかと思いながらちょっと気になるじゃないですか。 どこかでお返ししなきゃなって。 このどこかでお返ししなきゃなっていうのが実はミソなんですよ。 そこで貸し借りが生じるわけですよね。人間の心の中に。 その心の中にある貸し借りが実は人間関係を持続する鍵になっている。 例えば僕が大根10本持って行って誰かさんと鶏肉1キロと交換します。 交換した瞬間にそれが価値が同じだったら生産されちゃうわけですよね。 お金がね。価値がね。 そうするとそれでも次合う必要なくなっちゃうじゃないですか。 それは良くないと。昔の考え方ではね。太古の昔には。 そうじゃなくて、例えば僕が大根10本持って行った。 ひょっとしたらその時誰かさんは佐々木さんにお返しするものが何もないかもしれない。 まあでもひょっとしたら鶏肉が余ってたのが100グラムがあったので100グラム返すかもしれない。 僕の方にね。じゃあ佐々木さん代わりにこの鶏肉食べてよって言ってくれるかもしれない。 でもそうするとそこでまだ大根10本と鶏肉100グラムだとかなりバランス悪いですよね。 そうすると向こうさんの方には、佐々木さんにこの前大根いっぱいもらって鶏肉ちょっとしかあげなかったから いつか何か返さなきゃと思うわけでしょ。 いつか何か返さなきゃって思う気持ちが人間関係を持続させている。 そうやって社会が成り立ってたんだっていうことをグレーバーさんは書いてるんです。 これね、じゃあ太古の昔だけなのかというと 全然そんなことないなと思ってこの本を読んでて そうだよなぁと心深々と考えたのは福井での生活です。 僕は東京と長野と福井の3ヶ所で家を借りていて移動しながら暮らしてます。 福井にもしょっちゅう行ってるんですけど 福井ってやっぱりすごく古い伝統的な共同体みたいなのが残っている感じで よく聞く話ですけど、家に帰ってきて 玄関のドアさんが鍵もかけないので寝るまで そうするとガラガラって引き戸を開けると 隣のおばちゃんが野菜をどんと持ってきてそこに積んであったりとかするっていうね そういうのに限らず福井に行ってるとね 誰かに何かを頼むとすごい心よくみんなやってくれるんですよ。 しかも無償で。 ちょっと引越しの手伝いしてくれるって言うと 手弁当で駆けつけてくれて荷物運んだり 下手すとトラック出したりしてくれると。 その時に手待ちは5000円とか1万円とかそういうのは要求しないんです。 その代わりに、そうやって引越しの手伝いしてくれると 借りができるんです。引越し手伝いしてくれた人に対してね。 その借りが僕にとっては、あの引越しの時に手伝ってくれたから いつか何か頼まれたらお返ししなきゃなと思ってる。 逆に引越しの手伝いした方は、これで貸しができたから佐々木には。 次何か頼んだ時にやってもらえるからなんていう ちょっと薄々とした期待感がある。 もちろん別に契約書を交わしてるわけでもないし 口でこれは貸しだぞとかこれは借りだぞって言ってるわけじゃないんだけど 心の片隅にそういうのがちょっと残ってるんですね。 だから次に、佐々木さんちょっとさぁ今度なんとかってイベントあるんだけど 顔出してくれないとか言われると ああもちろんいいよ、断る理由ないし そもそも引越し手伝いしてもらったし 本当助かったわあの時はとかいう雑談をしながら イベントに顔出してちょっと喋ったりする。 そうやってやってくると人間関係がどこまでも続いてくる。 逆に言うと、ここで生産しない方がいいんです。 生産しちゃうとゼロになっちゃって、貸し借りがない。 貸し借りがないとそうすると合う用事がなくなっちゃうから 例えば大根10本もらったら鶏肉1キロ10日同じ価値のもので返すんじゃなくて 1キロよりも多く返したり少なく返したりする。 その方がいいって発想なんですね。 なぜかというと多く貸せばそれは貸しになる。 少なく返せばまだ借りが残っている。 そのプラマイゼロにしないことこそが人間関係の持続の肝なんだ。 これ結構目から鱗だし、地方で福井とかで生活するとなるほどなと思うし 今の現代の日本社会も綿々とこのプラマイゼロにしない 貸し借りを残したまま持続する人間関係 そういう共同体って残っているんだなぁというのはつくづく思いました。 だから皆さんも人とお付き合いするときは そういう関係性プラマイゼロにしないってことを いつも考えておいた方がいいんじゃないかなと思います。 同時に何か頼まれたら何でもやってあげるって事もないし だって何でもやってあげるって結構面倒くさいように見えるかもしれないけど やってあげればそれは常に自分にとっては貸しになるんです。 つまり資産が心の中に増えているって事だから どこかでまたその資産が現金化されたりとか 何か物として現れたりすることもあるかもしれない。 そういうことを考えましょう。 ではまた明日。 もっと見る毎朝の思考佐々木俊尚08:221.チャプター 1コメント感想・質問・応援メッセージを書こう kawakawa yamayama2022年7月30日最近、聞き始めたので遅いコメントですみません。所有の概念も中世までは今と違う、あげたもの、渡したものは返してもらうことができるという、訴訟が多々あると。西洋中世史の阿部謹也先生と日本の民俗学の宮本常一先生が同じことを解説してます。返信 ちろ2021年9月29日同じようなことをいつも考えていました人から頼まれたら極力断らず一生懸命動いてきました ところが、人から何かしてもらうのは実は『苦手』(笑)『借りを作る』というのが嫌だったからですこのお話の最後佐々木さんが『プラマイゼロにしないことが人間関係の持続の肝』ということにハッとさせられました返信 佐々木俊尚2021年9月30日ありがとうございます。 taku2021年9月21日なるほど、貸しではなく資産と捉えるわけですね。仕事における人間関係もこのように捉えると、とても腑に落ちます。ところで、毎日、佐々木さんのTwitterやVoicyから貴重な情報を頂いている私としては、どこかでお返しをしないとどんどん負債超過となってしまうわけですね。肝に銘じておきます(^^;返信 佐々木俊尚2021年9月28日ありがとうございます。負債超過、大事ですね笑
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人から頼まれたら極力断らず一生懸命動いてきました
ところが、人から何かしてもらうのは実は『苦手』(笑)
『借りを作る』というのが嫌だったからです
このお話の最後
佐々木さんが『プラマイゼロにしないことが人間関係の持続の肝』ということにハッとさせられました
仕事における人間関係もこのように捉えると、とても腑に落ちます。
ところで、毎日、佐々木さんのTwitterやVoicyから貴重な情報を頂いている私としては、どこかでお返しをしないとどんどん負債超過となってしまうわけですね。
肝に銘じておきます(^^;