TOPトーク専門家毎朝の思考「逃げて隠れる場所」が今こそ求められているんじゃないかな07:37 2021年10月19日 5,049再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次「アジール」駆け込み寺と歴史的背景映画『万引き家族』に隠された真実現代社会の「正しさ」が生む閉塞感KKO(キモくて金のないおっさん)の現実自分にとっての「アジール」とは何かAI文字起こし(β版) # チャプター 1 おはようございます。 佐々木としなおです。 皆さん、アジールって言葉知ってますか? アジール、ドイツ語とかフランス語ですよね。 日本語では、避難所とか隠れる場所みたいな感じで訳されます。 歴史学者のアミノヨシイコさんなんかの本で結構有名になったんですけど 例えば、駆け込み寺とかあるじゃないですか。 これね、江戸時代とかにあったんだけど なんだろう、こう 犯罪者とかね、そういう人がそこに駆け込むと 権力及ばない場所で逃げ込めるっていうね。 縁起寺寺みたいなのもありますよね。 例えば、意に沿わない結婚を強いられた女性とかが そこに逃げ込むと もう結婚とは離れた場所で暮らせるっていうね。 だから我々は世間とか法律とか制度とか いろんなものに縛られて暮らしてるんだけど そこから逃げ出せる場所がある。 最後の逃げ場所みたいなのがアジールなんです。 無縁坂とか縁起寺とか、昔昭和の頃歌に出てきましたけど ああいうのはみんなアジールなんです。 しばらく前に万引家族っていう広和さんの映画がありましたよね。 あれも万引きして暮らしている家族なんかを描いて ひどい家を日本の象徴みたいに描くなって怒っている人がいたんだけど 貧しくて万引きをしているのを肯定しているわけじゃないんですよ。 万引きしながら暮らすっていうすごく法律から外れたところに生きている人たち 法律に反して生きている人たち それは一般社会から見るととんでもないダメな人たちなんだけど でも一方でそういうところだからこそ安心できるっていうか 逃げ込めるっていうね そういうクソみたいな家だからこそ救われる世界があるんだっていうね こういうのを描いているんです。 だから万引き家族の家庭はまさにアジールなんですよね。 それって僕は今の時代の正しさに対する一つの抵抗なんじゃないかなと思う。 我々は今の21世紀の日本に来て すごい正しさみたいなものに囚われているじゃないですか。 正しくなきゃいけないとかね。 清潔じゃなきゃいけないとか、こさっぱりしなきゃいけないとかね。 もちろんそれは間違いじゃないしそうだと思う。 昭和の頃のように悪さをしている人が大手を振って社会を牛耳してたりとかっていう社会はすごく良くなかった。 そうじゃなくてもっともっと道徳的に良くなって倫理が高まって エシカルなんて言葉もありますけど 世の中全体が綺麗になってそれがすごくいいことなんだけど 一方で本人がそうしたくてもそういうふうに綺麗に正しくできない人たちってやっぱりどこかにいるわけですよ。 それは別に権力者とかじゃなくて本当に普通の人たちでも。 ネットのスラングで、きもくて金のないおっさんっていうね。 なんかもう身もふたわらない言葉がありますよね。 きもくて金のないおっさん、KKOなんて略したりするんですけど これってね、今や日本社会では最強の弱者というか最弱の弱者って言われてますよね。 だって例えば考えてください。 日本の今の社会で弱者っていうと、例えばシングルマザーよく言われますよね。 もう半分以上が貧困だって言われていて すごくみんな大変な生活を強いられている。 でもシングルマザーは大変だっていうと そのシングルマザーに手を差し伸べてくれる人っているじゃないですか。 たくさんね。 日本社会はそんなに冷たくない。 でも、きもくて金のないおっさんってみんな手を差し伸べますか。 もちろん差し伸べなきゃいけないんだけど なんかやっぱり怖いですよね。 特に女性から見ると、そういう男性って逆に襲ってくるんじゃないかって思っちゃう。 多分ね。 僕は地方によく行くんです。福井とか。 田舎に行って車を走らせていると、もう駅も何にもないようなところで 一体どこにこの人は向かうんだろう、どこから来たんだろうみたいな 国道の道端をとぼとぼ歩いているおじさんとかがいるんですよ。 太ってたりとかして、作業服を着ている。 きっとどこかの自宅のアパートからどこかの工場に通っているのかもしれない。 でもね、やっぱりそういう人にお前が手を差し伸べられるかというと ちょっとそれは難しいかなって正直思っちゃうところがある。 怒られるかもしれないけど、そう思っちゃうんですよね。 だから誰も助けてくれないのがキモくて帰れないおじさんなんですよ。 そういう人たちは別に支援を求めてないのかもしれない。下手すると。 例えばホームレスだって、もちろん支援を求めている人もいるんだけど 支援されたくないという人もいるわけですよね。 俺には俺のプライドがあるんだ、俺には俺の人生があるんだ 俺には俺の生活があるんだと思う人も当然いるわけですよね。 そういう人たちは別に無理やり支援されて どこかの施設とかに押し込まれたりと思っているわけではない。 でも彼らにとっては何が必要なのかというと そういう無理にされる支援じゃなくて 実はアジールなんじゃないかと時々思うんです。 別に今のままの感じでいいから 今のホームレスである自分とか キモくて金のないオッサンである自分とかを そのままで認めてくれるどこかの隠れ場所とか避難場所みたいなもの そういうのを求めている人って結構多いんじゃないかなと思う時があるんです。 それは本人に聞いてみたことがないので 単なる僕の推測かもしれないんだけど ただ今の日本社会ってそういうアジールがなさすぎるよねっていうのはすごく思います。 だから21世紀の新しいアジールって ひょっとしたら今こそ求められているんじゃないかなと思います。 全ての人間が綺麗に気持ちよく包摂されるというのは理想だけど それは逆に言うとある意味ある種のディストピアかもしれない。 綺麗に包摂されるんじゃなくて それぞれの居場所がある社会っていう方が 実はいい社会なんじゃないかなっていう風に思うんですよね。 だから皆さん、自分にとってアジールって何なのかって みんなそれぞれ考えてみてください。 ではまた明日。 もっと見る毎朝の思考佐々木俊尚07:371.チャプター 1コメント感想・質問・応援メッセージを書こう hide N2021年10月19日今回のお話は、こころに染みてきました。正しさが、どこまでも求められる社会は息苦しい。コロナ禍で、他人に対して正義を振りかざす雰囲気に、何も言い出せない。自分にとっての心をやすめる場所は、と考えました。同じように、休める場所を求めている人もいることを忘れないようにしたいです。返信 佐々木俊尚2021年10月19日ありがとうございます!
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自分にとっての心をやすめる場所は、と考えました。同じように、休める場所を求めている人もいることを忘れないようにしたいです。