TOPトーク専門家毎朝の思考「カッコ悪いことはカッコいい」とジョーカーは示した07:37 2021年12月14日 5,385再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次「カッコ悪い」が「カッコいい」価値観憎悪を浴びることで強くなる心理SNS空間で「弱者」が強者となる現象憎悪が育む社会の不健全な構造包摂社会へ導く価値観の再構築AI文字起こし(β版) # チャプター 1 おはようございます。 佐々木敏直です。 先日ね、東京の慶応戦でジョーカーに奮闘した男がですね、乗客に切りつける事件があって、 その後ね、類似の事件がいくつか相次ぎ、なんとなく不穏な感じになってますよね。 ジョーカーってみなさん見ました? すごい素晴らしい傑作だと思ったんだけど、あれって何ていうのかな、 昔の価値観を完全に逆転させてるっていうか、 今だからこそジョーカーかっこいいと思うようになったっていう不思議な価値観の反転があると思うんですよね。 だってジョーカーになる男、ホワキンヘニックス演じてるあの男はかっこ悪くてダサくて病気も持ってて、 弱者、マイノリティなわけですよ。 でもその弱者であるがゆえに、その抑圧されている自分というものを反転させて暴力に走るっていうところがかっこいいと。 つまり弱者のヒーローみたいなところがあるわけなんですよね。 昔、早川よしおっていうフォークシンガーがいて、ジャックスっていう伝説的なバンドのメンバーだったんだけど、 1969年の最初のアルバムのタイトルがね、かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう、 かっこいい、今でいうとイケメンであるとかね、かっこつけてるとかね、高級な車に乗ってるとか逆にそれってかっこ悪いじゃんっていう、 60年代末の反消費社会みたいな文化の中で出てきた非常な名番なんですけど、 今まさにそれと違う空気感があるなっていう。 かっこ悪いことはなんてかっこいいんだろうっていう風に言えるようになってきてるんじゃないかなと思うんですよね。 先日、アベマプライムで、京都で 在日の人たちが住んでいる場所で火事が起きてですね、 その火事で火をつけた20代の若者が逮捕されたと。 これはヘイトクライムじゃないかって話になって。 ヘイトクライムはどうすればなくすんだろうっていう議論をしたんですけれど、 その時僕が語ったのは、これまとめ記事があるのでそれURLこの配信に貼っておきますけれど、 ヘイトクライムをするとみんななんでそんなことをするのって大体驚くじゃないですか。 それに対してヘイトは消しかない、許さないっていうダメ絶対みたいなスローガンを作るんだけど、 もちろん全てのヘイトクライムはそういう理由じゃないんだけど、 ある意味このジョーカー事件とヘイトクライムって一部で共通している部分があるかなというふうに感じていて、 それは何かというと、消しからん犯罪をするっていう、みんなが憎む。 ジョーカーの不意にした犯人だってそうなわけでしょ。 身も知らぬ無垢の他者を傷つける行為をする。 そうするとみんなニュースを見て驚き呆れて、その人は頭おかしいんじゃないのって憎むわけじゃないですか、その犯人をね。 でもその憎むっていう行為を浴びること、憎を浴びること自体が実は快楽になってんじゃないのかなっていう感じはするんですよ。 お前はひどい、なんだそれはひどいなって言われれば言われるほど、 そのジョーカーが欲擦られた弱者から反転してヒーローになったように、ある種ダークヒーローに変身できるっていうことがあるんじゃないのか。 だからダークヒーローにとっては憎まれること、消しからんと言われることは、ある意味なんか食料になっちゃってる部分ってあるような気がするんですよね。 だからメディアがヘイトをやめようとか言ったりとか、あるいは反ヘイトの団体とかが激しく抗議活動する。 抗議活動すればするほど、そこに対するざわみを嫌がらせてきてやってやったぜ、気持ちいいぜっていう感情につながっていく部分は多分あるんじゃないのかな。 憎まれるってのは誰もが望まないことだったはずなのに、 それが転じてるっていうのはある意味、今の時代は弱者である方が強いみたいなところがあるじゃないですか。 例えば権力を持っている中高年男性っていうのはすごい嫌われてる。 言ってみれば日大の前理事長とか、オリンピック組織委員会のリーダーだった元首相とか、 ボクシング協会の人とか、いかにも抑圧的な中高年男性って確かにまだ日本には結構いて、 その人たちってある意味最も嫌われる存在である。 そういう中で、いかにして自分たちが被害者ポジションを取っていくか、弱者であるかっていうところが逆に強いっていうか、 メディア的な空間の中ではより強くいられる。もちろん実際に権力があるかどうかは別ですよ。 権力を持っているのは相変わらず日大の理事長だったり、ボクシング協会の人だったりするのかもしれないんだけど、 少なくともこのメディアとかSNSの空間の中では、弱者ポジションを取った方が強くなれるっていうのは明らかにある。 それをみんなで取り合っている部分があって、 そういうものと憎悪を浴びるダークヒーローになる、弱者が転じてそういうものになるっていうのは、 僕はどこかで根っこでつながっている感じがするんですよね。 でもそれって、社会にとってはやっぱり健全じゃないよね。 映画のジョーカーは素晴らしい傑作だったし面白かったけれど、 それが普遍的な価値観になってしまったらやっぱりいけないですよね。 だからゾウを食料にして育っていくダークヒーローっていう流れはやっぱりどこかで我々は止めなきゃいけない。 そのためにはゾウを食料として与えるんじゃなくて、 逆に言うと、カッコ悪いことがカッコよくなってダークヒーローになるんじゃなくて、 それがさらにもう一回ひっくり返ってやっぱりカッコ悪いんだっていう形にしていくしかないんじゃないのかなと。 さらにはきちんと包摂していく。 ゾウを食料にするような人がどんどん生まれていくことではなくて、 ゾウを食料にしなくても食っていける人がたくさん出てくる。 そうした人たちが当たり前のように生きていける社会を作るしかないんじゃないかなっていうことを思います。 ジョーカーの映画が公開されてからもうだいぶ経つけど、 あの映画はやっぱり提示したですね、正義の反転っていうのがやっぱりだんだん社会に広がって この影響力はすごく大きかったなぁと、今になって僕はしみじみ感じています。 ではまた明日。 もっと見る毎朝の思考佐々木俊尚07:371.チャプター 1https://times.abema.tv/articles/-/10008015コメント感想・質問・応援メッセージを書こう 井之頭三郎2021年12月19日80年代の英国バンドのザ・スミスの洗礼を受けた自分にとってはカッコ悪いことはカッコイイという価値観には違和感ないです。最近の音楽にはこういう救いの要素がないのが気になります。1返信 リアルキアスゥ2021年12月18日わかるんですが……「カッコ悪いことはカッコいい」も「カッコ良いってなんてカッコ悪いんだろう」もトートロジーに陥るだけでしょう。どうしたらそこから抜け出せるか……よろしく!返信 T W2021年12月14日おはようございます。いつも通勤中に拝聴させていただいています。今回のテーマについては、「正しいことはカッコいい」が行き過ぎていることも影響しているのではと思っています。「正しい」側から批判することが容易になった時代なので、ダークヒーローがさらに食糧を得やすい構図になってしまっていることも拍車をかけていると思いました。1返信 佐々木俊尚2021年12月15日おっしゃる通りですね。正義の側も叩くことを養分にしている。
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今回のテーマについては、「正しいことはカッコいい」が行き過ぎていることも影響しているのではと思っています。「正しい」側から批判することが容易になった時代なので、ダークヒーローがさらに食糧を得やすい構図になってしまっていることも拍車をかけていると思いました。