TOPトーク専門家毎朝の思考グライダー人間と飛行機人間08:13 9月7日 5,647再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次AI時代の知:グライダーか飛行機か明治以来の「翻訳文化」の課題思考を深める「忘却」の技法とは情報から生まれる高度な思考術既存を結びつける「触媒」思考の力AI文字起こし(β版) # グライダー人間と飛行機人間 おはようございます。 佐々木としなおです。 富山茂彦さんの思考の生理学という非常に有名な本がありますよね。 wikipediaでちょっと調べてみたら トータルで300万部。すごいですね。1980年代に出た本。 東大・京大で一番読まれた本みたいなキャッチブレスが付けられていて まさに名著の誉り高いですよね。 kindle で持っていて、昔は多分文庫か単行本で持っていたはずですが どこかに行っちゃって しばらく前にkindle で買い直して 多分2回ぐらい読み直している。 久しぶりに開いてみたら、やっぱりすごいわこの本は。 改めてやっぱり面白いというか勉強になるなって感じがしました。 いきなり最初の章のタイトルがグライダーです。 空を飛ぶグライダーですよね。 知識にはグライダー型と飛行機型がある。 つまり学校というのはグライダー型である。 どういうことかというと、先生がいて 先生が引っ張ってくれて初めてグライダーが飛べるという。 要するにグライダーは内燃機関を持っていない。 自力で飛ぶことはできないので、引っ張ってもらって初めて飛び上がれる。 知識をつけるというのは所詮グライダーだと。 じゃあ飛行機のように自力で飛ぶためには何をしたらいいのかというと 知識を習得するだけではダメで 自力で物を考えるという、思考するということが必要なんだ。 こう書いている。現実にはグライダー能力が圧倒的で飛行機能力はまるでなしという 優秀な人間がたくさんいることも確かで しかもそうしても飛べるという評価を受けているのである。 学校はグライダー人間を作るには適しているが 飛行機人間を育てる努力はほんの少ししかしていない。 学校教育が整備されてきたということは、ますますグライダー人間を増やす結果になった。 お互いに似たようなグライダー人間になると、グライダーの欠点を忘れてしまう。 知的知的と言っていれば飛んでいるように錯覚する。 全くその通りですよね。 まさにこれって今のAI時代における人間の知の在り方を示唆している文章じゃないですか。 AIに聞いて何でもわかるって思っている人は所詮グライダー人間ではしかない。 AIの存在はとても重要なんだけど、AIときちんと議論し向き合って その議論の中で自分なりの新しい考えみたいなのを 紡ぎ上げていく力。 それが多分AI時代における飛行機人間の重要さじゃないかなという感じがしますよね。 これは明治以降の日本の知識人もそうだったみたいなことを書かれていて ちょっと引用すると、明治以来日本の知識人は欧米で咲いた花をせっさと取り入れてきた。 中には根回しをして根ごと移そうとした試みもないではなかったが 多くは花の咲いている枝を切って持ってきたに過ぎない。 これではこちらで同じ花を咲かせることは難しい。 翻訳文化が不毛であると言われなくてはならなかったわけである。 確かに最近はさすがにそうでもないんだけど 昔の日本のこういう人文系の本って西洋哲学をただ紹介しているだけだったりとか ひたすら欧米文化の紹介みたいなことをしてきたのが 日本の戦後の人文じゃないかと思うんだけど これに対して後山茂夫先生はこういう強烈な批判をしているわけですよね。 じゃあ実際に飛行機人間になるにはどうしたらいいのかという その考え方が様々に書かれているのがこの思考の生理学の本のスピリットなわけで ここは非常に勉強になるんですよね。 例えば知識をどんどん増えるとどうでもいい知識ばかり頭の中でいっぱいになってしまう。 それだと思考はできない。 だから思考の整理というのはいかにうまく忘れることが重要だと。 確かに忘れるのが重要です。 以前僕は時間とテクノロジーという本でもその話を書いたことがあるんだけど 余計なものは全部忘れてそれこそ日常の雑務とかタスクリストの仕事をしあってしまって いかに白紙の気持ちのいいペーパーがあって 心の奥底にしまったある概念だけを取り出して結びつけるかみたいなところが重要なんだよね。 ということを書いたことがある。 その話は思考の整理学に既に書かれていたという。 僕は時間とテクノロジーでそうだとか偉そうに書いたんだけど もう既に30年以上前に富山先生が書いていたという。 一時的な知識と二次的な知識、三次的な知識みたいなものを書いていて つまり単にニュースとか現場で見聞きしたことみたいなのが一時情報である。 この一時情報だけでは思考にはならない。 一時情報を集めてきてそれを整理して相互に関連づけると第二次的な思考になってくる。 さらにこの第二次的な思考も互いに結びつけて もっと高度にまとめていくと第三次的な思考になる。 思考の整理というのは定時の思考、つまり一時二次の思考を 抽象の梯子を使ってメタ化していくことに他ならない。 第一次的思考をその次元に留めておいたのでは いつまでたっても単なる思いつきでしかないことになる。 整理抽象化を高めることによって高度の思考となる。 普遍性も大きくなる。 全くそうだよなというふうに思いますよね。 ではその二つの思考とか二つの情報を 結びつけて相互に関連つけるというのはどういうことなのかというと それは触媒というものなのだ。 化け学でいう触媒ですよね。 新しいことを考えるのに全て自分の頭から絞り出せると思ってはならない。 無から有を生ずるような思考など滅多に起こるものでもない。 すでに存在するものを結びつけることによって新しいものが生まれる。 優れた触媒ならば特に結びつけようとしなくても自然に既存のもの同士が 繋がるんだ。 確かにね。 ご自身の本を書く時の考え方もそうで いろんな材料を集めてきてそれが雑然と並んでいる。 その時にふとこの2つのものが結びつくと面白いというアイデアが出てくる。 その時に自分がまさにこの触媒になっているんだということなんですよね。 触媒というのは別にゼロからものを生み出すだけではない。 既存のものを結びつけることで新しいものを生み出すという その土台を用意するのが触媒みたいな仕事である。 だからこうやって言論を仕事にしていても全くゼロから何かを生んでいるわけではないわけなんですよね。 過去に様々なところで書かれたもの、あるいは様々な情報 様々な事実、あるいは様々な身体感覚みたいなものを総合に結びつけて 自分が触媒なんだということを意識するということは多分大事なことなんじゃないのかなと。 やはり思考の生理学は本当にいろんな下に飛んでいて面白いです。 もちろん80年代初頭なのでまだパソコンが出てきたか出てこないかの端境ぐらいの時期だから まだパソコンで様々なことをする時代じゃなかった。 だから紙のノートの作り方とか、やはり古い話も出てくるんだけど それはそれで置いておくとしても今読んでも大変勉強なる良い本なんで URLを貼っておきますから皆さん興味があったら読んでみてください。 リッキンドロでも出ています。 ではまた明日。 もっと見る毎朝の思考佐々木俊尚08:131.グライダー人間と飛行機人間https://amzn.to/3V9uZ1Kコメント感想・質問・応援メッセージを書こう Atom s9月8日まさに教養の書ですね。AI時代と言われようが突き刺さる。返信 俊尚 佐々木9月8日これぞ教養、だと思います。 回鍋肉9月7日ただ、教育以外でもありがちですし、アベプラでも見られますが、「だからグライダーは不要だ」とか「だから日本の教育はダメ」みたいな二項対立の不毛な議論が蔓延しているのが気になります佐々木さんはよく仰られるマクロとミクロの両方の視点の重要性と似ているというか、両方持った上での行き来するフットワークの技術が必要かなと思いました返信 渡邉淳|英語講師・著者・編集者9月7日今まで読んだ本の中で人生で一番読み返しているのが『思考の整理学』です。昔に書かれたとは思えない、示唆に富んでいる一冊だなあと思います。こんなキレのある文章を書けるようになりたいです。返信 俊尚 佐々木9月8日読み返すたびに発見があるのがすごいですよね。 ルーチ9月7日自分は本を読む方ではなかったので、この本を知ったのはいい年したオッサンになってからですが、衝撃を受けました。このような考え方を若い時から知っているかどうかは、その人の将来に大きく左右するだろうと感じます。中高生でも第1章だけでいい(全部読めというのは無理がある)ので、各学期の最初に1時間だけ授業で扱っておくといいと思います。何度も繰り返すことで、少しずつ気にする人が増えます。コミュニティのメリットの1つに、自分の周りがやっているから始めてみるがあります。AI時代にこそ第1章が活きるでしょう。返信 俊尚 佐々木9月8日この本、最初の方だけでもじゅうぶんだとわたしも感じます。 カリモフ9月7日AI時代における飛行機人間の重要性。飛行機人間になるためには、まっさらな状態から、思考を整理して高度化していけるかどうか。既存のものを結び付けて、新しいものを創り出す触媒に自分がなっていけるかどうか。これは今の時代にとても必要なスキルだと思いました。返信 俊尚 佐々木9月8日触媒ってほんとうに今だからこそ生きるすごい言葉だと思います。1 もっと見る
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佐々木さんはよく仰られるマクロとミクロの両方の視点の重要性と似ているというか、両方持った上での行き来するフットワークの技術が必要かなと思いました
このような考え方を若い時から知っているかどうかは、その人の将来に大きく左右するだろうと感じます。
中高生でも第1章だけでいい(全部読めというのは無理がある)ので、各学期の最初に1時間だけ授業で扱っておくといいと思います。何度も繰り返すことで、少しずつ気にする人が増えます。コミュニティのメリットの1つに、自分の周りがやっているから始めてみるがあります。AI時代にこそ第1章が活きるでしょう。
飛行機人間になるためには、まっさらな状態から、思考を整理して高度化していけるかどうか。既存のものを結び付けて、新しいものを創り出す触媒に自分がなっていけるかどうか。これは今の時代にとても必要なスキルだと思いました。