TOPエンタメ映画・本鳥井弘文の旅と読書とコミュニティ逆恨みされて、サンドバッグになる勇気。09:42 7月13日 261再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次夏木静子を癒やした医師の秘訣「優しい拒絶」に潜む真意とは痛みの物語と「嘘から出た真言」古い自分を殺す「逆恨みの瞬間」AIにはできない「傷つく関係性」AI文字起こし(β版) # チャプター 1 こんにちは、鳥井博文です。 働くをテーマにした台場型オンラインコミュニティ、和製サロンを運営しています。 さて、本日のお題は 「逆恨みされてサンドバックになる勇気」というテーマでお話ししてみたいと思います。 今日も昨日ブログに書いた内容です。 それでは早速本題に入っていきますね。 先日、和製サロン内で小説家夏木静子さんの 「腰痛放浪期、椅子が怖い」という本の読書会を開催しました。 この本は、原因不明の激しい腰痛に襲われた作家夏木静子さんが ありとあらゆる治療を試しても治らず、約3年もの間苦しみ抜いた末、 最後の最後で心身症としての診断を受けて治療にたどり着くというようなドキュメンタリーのような一冊です。 その治療の過程で、医師から告げられるのが 夏木静子というペンネームのお葬式を出しましょうという一言です。 つまりこれってのは、腰痛の本でありながら、メンタルに起因する病気の話でもあり、 さらに弔いの本でもあるわけです。 この本を一度目に読んだ時、僕は謎の痛みに苦しむ一人の作家の物語として読みました。 ただ、読書会に向けて二度目に読み返してみると、全く別の物語が見えてきたんですよね。 それっていうのは、その本人に最後まで付き合った周囲の人々の物語なんです。 周囲の人たちはみんな薄々気づいていたんじゃないかと。 これっていうのはメンタルに起因する問題なんだっていう風にです。 夏木静子さんご本人だけが気づいてなかったんじゃないのかなって。 夫も家族も、そしてそれまでに診断してきた様々な医師たちも、 これは多分腰だけの問題ではないっていうのは、どこかの時点で分かっていたっていう風に思うんですよね。 でも本人が絶対にそれを認めたくない以上、誰もそれ以上は踏み込めない。 もちろんこれっていうのは僕の勝手な読みです。 事実がどうだったかは分かりません。 ただし、もし自分がその周囲の側にいたらどうしただろうかって考えた時に、 僕は自信を持ってきっと途中で静かにこの人から距離を取っていただろうなって思ったんです。 つまり、排除の中の肯定の論理を実践したはずなんですよね。 この点、誰かがこちらから見れば明らかに思い込みとしか思えないような痛みとか傷とかに囚われている時、 僕らにできることってのは本当に少ないはずなんです。 説得をすれば怒られるし、否定をすれば相手を傷つけることになる。 かといって、相手の物語に同意をすれば、その思い込みをさらに強化してしまうことなんかにも繋がってしまう。 だから僕らはそんな時、いかにも優しそうな言葉を用いるようになるわけですよね。 それは大変ですねとか、無理をしないでくださいねとか、あなたがそう感じるなら、それが正解だというふうに思います。 最後はご自身で決めることですから、みたいなふうにです。 一見どれも相手のことを尊重したとても丁寧な言葉遣いです。 でもその内実っていうのは、もう好きにしろ勝手にしやがれってことですよね。 現代社会で尊重と呼ばれているものの決して少なくない部分は、 相手に関わる責任をこれ以上自分は背負いたくないという、とても丁寧な拒絶なんだというふうに思います。 あなたの気持ちを尊重しますという言葉っていうのは、時にもう僕をこれ以上あなたの変な妄想に巻き込まないでくださいという意味にもなるわけです。 夏木静子さんの周囲にもきっとそういう優しい丁寧な拒絶みたいなものがたくさんあったはずなんですよね。 誰か恨みされることを恐れてみんなが少しずつ優しく退いていく。 でも最後に出会った平木さんという医師だけは退かなかった。 だから彼女は自殺さえ考えた謎の腰痛から本当の意味で回復することができたわけです。 で、この平木先生がやったことは単なる慶長でも無条件の肯定でもありませんでした。 まさに法説の中の否定的な態度なわけです。 夏木静子さんが感じている痛みそのものを存在しないとは決して言わない。 しかし本人が必死にしがみついているこの痛みや身体のどこかに異常があるからだという物語には最後まで絶対に同意をしないんです。 あなたの苦しみは嘘ではない。でもあなたが信じている原因は全く違う。 そして違うと言ったからといって僕はあなたのことを決して見捨てない。 この3つの態度を見事に同時に成立させていたってことです。 現代社会のコミュニケーションというのは法説と肯定がほとんど同じ意味で扱われてしまっているというふうに思うんです。 相手を受け入れるというのは相手の言い分を全て認めることだと。 でも本当に相手を法説するためには時に相手の自己認識を否定しなければいけない場面があるわけですよね。 まずここで大事なのはこれは正論を言う勇気ではないって話です。 正論を言って立ち去るのは実は簡単なんです。 言うだけ言って後は相手の問題だって付き話せばいいだけなわけですから。 本当に難しいのはそうやって否定をした後もその場に残り続けることの方なんだというふうに思います。 とはいえ夏木静子さんの痛みの全てが作り物だったわけではないというふうにも思うんですよね。 きっと最初は本当に書きすぎとか座りすぎによるごく普通の身体的な痛みというかその腰痛みたいなものがあったはずなんです。 ただその小さな痛みがいつしか作家としての自分を維持するためのかくれみのになっていった。 少なくとも僕にはそういう痛みのグラデーションの物語として本書を読むことができました。 つまり痛みの原因についての本人の説明は真っ赤な嘘だったのかもしれない。 でも本人が感じていた痛みまでは嘘だったわけではないということなんです。 これもいつも語っている嘘から出た真言の話なんですよね。 つまりこれっていうのは腰痛だけにまつわる話ではないというふうに思っています。 例えば陰謀論なんかもわかりやすいですよね。 信じている内容そのものは虚偽であったとしてもそれを信じた人が感じている恐怖や怒りや孤独は紛れもなく本物なわけです。 だから本人が語る内容の誤りみたいところをいくら指摘してもその人の中から真言は消えないわけです。 信じている人間の苦しみ自体は嘘ではないということですよね。 だからこそ難しいんです。苦しみを本物として扱うこととその人の物語を肯定することは全く別のことなのに 今の社会においてはこの二つがほとんど区別されていないからです。 ここからが今日のタイトルの話にもつながるんですが 椅子が怖いという本の中で僕が一番心を動かされたのは絶食療法の場面でした。 本書のクライマックスである治療の極限の中で 夏木静子さんは平木先生に対して激しい怒りや暴言をぶつけるんです。 それまでは立派な作家として非常に礼儀正しく自分を理してきた人が突然取り乱すような場面なんです。 そして僕には実はこの場面こそが回復の本当の転換点のように読めてしまいました。 正しい診断を告げられた時ではなくて 言いたいことを散々言ってそれでも相手が逃げなかった時や 反論もされずに説教もされずにただただ受け止めてもらった時 そこで彼女が長年抱え込んできた何かがようやく成仏したんじゃないかという風に僕にはそう読めたんです。 そしてこの発見をさらに進めると一つの仮説みたいなものが立ち上がってくるなと それっていうのは人が自分を変えようとする時 古い自分は誰かを悪者にしなければ死ねないのかもしれないということなんです。 苦しいのはこんな治療を受けさせる相手のせいだとか 自分がこれまで信じたものを奪うお前が悪いんだ そうやって古い自己は最後の悪あがきのような抵抗を他者に対してし続けるわけですよね。 だから人の変化に対して本気で付き合った人は純粋に感謝されるとは限らないわけです。 むしろ逆恨みされることの方が圧倒的に多いわけですよね。 逆に言えばだからこそみんなそこまでして関わろうとはしないわけです。 サンドバックになる勇気ってのは殴られ続けることではなくて 相手の古い自己が最後に暴れ出すそのわずかな時間だけをその場から逃げずにとどまり続ける覚悟を持つという話です。 相手の怒りを全部真に受ける必要はない。でも怒っている相手そのものを見捨てない。 受け取ることと引き流すことを同時にやり続けることでもあるわけですよね。 あとここまで語ってきてどうしてもAIの話をしないわけにはいかないなというふうに思います。 AIは僕たち人間よりもはるかに辛抱強く話を聞いてくれる。 同じ話を何度しても絶対に起こらないしどれだけひどい言葉をぶつけてもAIは傷つかないわけです。 一見すると最高のサンドバックです。 でもここにこそ人間とAIの決定的な違いがあるなというふうに僕は思うんです。 AIは傷つかない。だから本当の意味では関係の中に残っているわけではないってことですよね。 殴られても痛くない時相手の前に居続けることは賭けでも勇気でもないわけです。 AIは言葉を受け取ったふうに見せることができてもこちらの怒りによって傷つき それでもなお関係を続けるかどうかを選び直すという選択肢が原理的にはありえないわけです。 しかも今のAIは基本的に利用者の事故の物語に沿うように答えようとしてきます。 それはとても快適なことなんですが でも夏木静子さんの治療に本当に必要だった あなたの苦しみはわかる。でもあなたの説明には同意をしないという応答には全く別のものなわけです。 本書の中でも平木先生が使っていましたが 禅の言葉に率託同時という言葉があります。 AIとは異なり有限な身体を持つ者同士が互いの残り時間なんかを差し出し合いながら たった一度だけのタイミングを合わせること そこで相手の怒りにちゃんと傷つき 自分自身もまた変わってしまうことを受け入れること 成果物としては何一つ生み出さないような そのような時間を引き受け合うことがこれからの人間に残される 本当の仕事なのかもしれないなというふうに今僕は本気でそう思っています 逆恨みされてサンドバックになる勇気を果たして僕は持てているんだろうかと そんなことをとても深く考えてしまいましたし このAIと多様性の時代において 僕らはどうすればそんな関係性をお互いに築くことができるのか 旅立つ人や新しい門出を迎えようとしている人に対して 無事と幸運を祈り合うような そんなボンボヤージュみたいなことを言い合える関係性を育める場が必要であって 僕はこれからも全力でそういう場を作っていきたいなというふうに思っています さて今日のお話は以上となります いつもこのボイシーを聞いてくださっている皆さんにとっても 今日のこのお話が何かしらの考えるきっかけとなっていたら幸いです それでは今日はこの辺でまた明日 もっと見る鳥井弘文の旅と読書とコミュニティプレミアム放送配信中!09:421.チャプター 1コメントプレミアムリスナーになるとコメント欄に参加することができます プレミアムリスナーに参加する
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