TOPエンタメ映画・本鳥井弘文の旅と読書とコミュニティ中年危機は、人生から届いたプッシュ通知。09:36 8月13日 275再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次中年危機への「強くてニューゲーム」論勝ち方がわかった人生の虚しさ人生の意味を疑う精神性の成熟河合隼雄が説く「自分」の定義中年危機は人生からのプッシュ通知AI文字起こし(β版) # チャプター 1 こんにちは、鳥井博文です。 働くをテーマにした対話型オンラインコミュニティ 和製サロンを運営しています。 さて、本日のお題は中年危機は人生から届いた プッシュ通知というテーマでお話ししてみたいと思います。 今日も昨日ブログに書いた内容です。 それでは早速本題に入っていきますね。 Xで中年危機が話題になるたびに 必ず現れてくるタイプの人たちがいます。 それは新しいテクノロジーに夢中になっていれば そんなものに陥ってる暇なんてないというふうに語るビジネス系おじさんたちです。 先に断っておくと僕は新しいテクノロジーが大好きです。 AIも毎日使い倒していますし、 だからこれはテクノロジー批判では全くありません。 でもこの手の発言を見かけるたびにどうしても 妙な幼さみたいなものを感じてしまうんですよね。 中年危機に悩む奴は夢中になれるものがない暇人なんだというふうに気にしているその態度に それはなんだかものすごく幼いよなというふうに思ってしまうんです。 それがなぜなんだろうというふうにずっと考えていました。 最近になってその違和感の正体みたいなものが少しずつわかってきました。 新しいテクノロジーさえ追いかけていれば人生はいつまでも楽しいというそういう発想は ゲームでいうところの強くてニューゲームみたいなものにとてもよく似てるんだろうなって。 40代にもなれば20代の頃にはなかった経験がたくさんあります。 そこへAIという強力な武器まで加わる。 そりゃ強いに決まってます。 でもそれは大学までの知識と記憶を全部持ったまま小学校1年生からやり直すみたいなことでもあるわけですよね。 でもそれの一体何がそんなに面白いんでしょうか。 誤解のないように語っておくと強くてニューゲームが好きな人はもちろんいていいというふうに思うんです。 レベル99の状態で最初の街にまた戻ってスライムを一撃で倒すようなその快楽みたいなものが好きな人がいることもよくわかります。 ただ世の中にはそうじゃない人間もたくさんいるわけですよね。 一度攻略法がわかってしまったゲームを武器だけ新しくしながら何周もすることにある時急に虚しさみたいなものを覚えてしまう人間も確実に存在します。 そしてここからが今日一番語りたかったことなんですが、もしかすると中年危機っていうのはゲームに勝てなくなった苦しみではないのかもしれません。 むしろその逆であって勝ち方がわかってしまったそのゲームをこの先も続けることへの苦しみなんじゃないのかなって。 だとすればもっと強い武器を手に入れれば楽しくなりますよというその処方箋というのは問いと答えが根本的にずれていることにもなります。 本人が疑い始めているのは勝てるかどうかではなくてそもそもこのゲームを勝ち続けることに意味があるのかなわけですから。 ちょうどそんなことを考えていたタイミングで夜と霧でも有名なビクトールフランクルについて解説された ビクトールフランクル絶望の果てに光があるという本をオーディオブックで引きました。 この本の中で僕が一番ハッとさせられたのはフランクルが人生に意味があるんだろうかというふうに疑い始めることを心の不調としては扱わないところなんです。 むしろ自分の人生の意味を疑うことは決して心の病なんかではなくて心が一定のレベルにまで向上し成熟してきた証なのだというふうに捉えるところです。 これが本当に目から鱗だなって考えてみれば毎日をそれなりに楽しく過ごしている間は人生に意味があるのかなんて普通は考えません。 犬や猫が自分のこの世に存在する意味を問うたりしないようにです。ところがある段階までくるとふと問いが生まれてくるわけですよね。 これをずっと繰り返していていいんだろうか自分は一体何のために生きてるんだろうかと。 フランクルに言わせればこの問いを抱えられること自体が人間だけに備わった精神性の証なんだと。 これは中年危機というものを180度ひっくり返してくれる視点だなというふうに思いました。 そしてこの本を聞きながら思い出していたのがちょうど2年前に読んだ河合俳夫さんのその名も中年危機という本です。 当時このボイシーの中でもその感想を語ったというふうに思います。 あの本の中で河合さんは自分とは何者かという問いへの2つの全く異なる答え方を対比していました。 一つは社会的地位や収入といった外側にある尺度によって自分を定義するようなやり方です。 そしてもう一つが河合さんがトポスというふうに呼んだものです。 たった一人で山小屋の前に座っていて高い山々の峰を眺めている。 それだけで全く十分でこれが私だというふうに感じられるその瞬間があるみたいなお話です。 今読み返すとこの対比というのはそのまま今日の話と重なるなというふうに思うんです。 強くてニューゲームで無双できる状態というのは前者のゲームの話だからです。 年収も役職もフォロワー数も外側に尺度があるからこそ比較ができて順位がついてその武器を新調すれば勝ち続けられるみたいなそういう議論ですからね。 でもトポスの感覚にはそもそも勝ち負けの尺度自体が存在しないわけです。 山の峰を眺めているそんな私には攻略も無双もないわけですよね。 さらにあの本から学んだことで今回どうしても思い出さずにいられなかったことが 中年危機に解決策を求めること自体がカテゴリーエラーなのかもしれないというそういう問いでした。 中年危機の葛藤ってのは青年期の問題のように簡単に解決できるものではないわけですよね。 ハック思考が通用しない世界の話でもあるっていうふうに自分自身で当時書きました。 そう考えると中年危機AIに夢中になればそんなの治るよという処方箋っていうのは中年危機へのハック思考のいわば最新版なんだというふうに思うんです。 一般的には最近なんだか虚しい仕事に以前ほど意味を感じられないというふうになったらそれは解消すべき問題として扱われるわけですし だからどっかに旅行に行ったり新しい趣味を始めたりするわけですよね。そして今ならAIや新しいテクノロジーに夢中になるわけです。 つまり退屈という症状に対してより強い刺激を投与するわけですよね。 でもフランクル的に考えるんだったらその虚しさそのものこそが実は次の段階への入り口なのかもしれないと。 今までと同じ生き方ではもう自分は満足できないということを精神の方が先に自分自身知らせてくれているわけですから だとしたらそれを慌てて消し去ってしまうのは本当に正しいのかと少し乱暴に例えるなら 虚しくなったらだったらAIをやれ忙しくしろというそういう処方箋というのは警報器が鳴っている部屋の中でその音が聞こえなくなるくらい 爆音の大音量で音楽を流すことに似ています。確かにそれで警報器の音は聞こえなくなります。 でもなぜ警報器が鳴っているのかという問題は何一つ解決していません。 もちろん本当にAIそのものに人生の意味を感じている人であれば何の問題もないというふうに思います。 僕自身AIとの対話やその共作に心の底から面白さを感じているような人間の一人でもあります。 ただ意味について考えずに済むほど忙しくしておくために新しい刺激を摂取し続けてるんだったら それっていうのは中年危機を乗り越えたじゃなくて危機が差し出してくれた問いを先送りしているだけとも言えそうです。 死ぬ間際に恐ろしいほどの中年危機的な虚無感みたいなものが襲ってくるかもしれないわけですよね。 その時にはもっと早くからこの影とちゃんと向き合っていればよかったというふうに必ず思うはずですから ここまで来てようやく冒頭の幼さの正体が説明できるような気がします。 新しいテクノロジーを楽しむことが幼いわけじゃなくて 人生まだまだ楽しいぜというふうに言えることも全く幼くはないというふうに思います。 それ自体は本当に素晴らしいことです。 そうじゃなくて自分にはまだ発生してない問いを抱えている他人に対して そんなもの夢中になれるものがないから考えてしまうんだよっていうふうにそういうふうに処理して言い放ってしまうことですよね。 自分には理解できない種類の悩みを相手の能力不足や行動力不足へと還元してしまうことそれ自体がとても幼いなって。 養老たけしさんの言葉を借りるならそれこそがまさに馬鹿の壁だというふうに思います。 自分に理解できない悩みを存在しないことにしてしまうような壁です。 ちなみにかわいはよさんの中年危機の本の解説を書いているのも実は養老さんです。 養老さんはそこで先ほどのトポスの話を聞きながら そう思わない人は多分まだ中年ではないのであるというふうにも書いていました。 この一言に従うなら冒頭のおじさんたちもきっと彼らは幼稚なのではなくてまだ中年ではないだけなんだっていうふうに思います。 だとしたらそれはそれで幸福なことです。 刺さらないうちは青年期の快活さみたいなものを思う存分に享受をすればいい。 ただ一つだけ思うのは自分にはまだ刺さらない問いを存在しないことにするのはやめておいた方がいいということです。 むしろ成熟っていうのは自分には今のところ必要ない問いだ。 でもあの人にとっては切実な問題なのかもしれないっていうふうに留保できることだからです。 そして皮肉なことに常に新しいものを追いかけている自分イコールいつまでも若いというそういう自己像にしがみつくことそれ自体が 追いや有限性をまだ受け入れられていないという中年特有の危機の一番の現れのように僕には思います。 きっと中年危機は修正すべきバグではなくて人生から届いたプッシュ通知なんだというふうに思うんですよね。 そろそろ次の問いを考える時間ですよと。 もちろん中年危機を雷散したいわけではないし本当に深刻な状態であればきちんとした助けが必要だというふうに思います。 ただ人生の折り返し地点でふとスマホゲームを中断するように飛び込んでくる。 このままでいいんだろうかというそんなプッシュ通知をすべて不具合としてスワイプして消してしまうのは本当にもったいない。 集中モードに変更していつまで強くてニューゲームを続けてしまうのか。 その虚しさみたいなものが何を問いかけているのかにちゃんと耳を澄ませるところから人生の後半戦みたいなものはちゃんと始まるような気がしますし むしろそっちこそが人生の本番なんだというふうに思っています。 さて今日のお話は以上となります。 いつもこのボイシーを聞いてくださっている皆さんにとっても今日のお話が何かしらの考えるきっかけとなっていたら幸いです。 それでは今日はこの辺でまた明日。 もっと見る鳥井弘文の旅と読書とコミュニティプレミアム放送配信中!09:361.チャプター 1コメントプレミアムリスナーになるとコメント欄に参加することができます プレミアムリスナーに参加する
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