音声プラットフォーム「Voicy」で月〜土曜日の朝7時に更新中の英語ニュースチャンネル「Voicy News Brief with articles from New York Times」。このチャンネルでは、The New York Timesの記事をバイリンガルのパーソナリティが英語で読み上げ、記事と英単語を日本語で解説しています。英語のニュースを毎朝聴いて、リスニング力の向上と英語学習にお役立てください。
今回は特別企画として『和樂web』編集長のセバスチャン高木さんをお迎え。日本に興味を持っている海外の方に、簡単に気軽に楽しく日本文化を知ってもらおうということで、日本のトピックを2つ厳選して、2回に分けてお届けします。第2回目は「侘び寂び」です。知っているようで知らない侘び寂びの世界を日本語と英語両方でお楽しみください!聞き手は火曜パーソナリティの山本かおりさんです。
侘び寂びとは慈しみの心
高木:そもそも「侘び寂び」って一言で言いますけど、実は「侘び」と「寂び」って違うワードなんですよね。
山本:ワンワードじゃないんですか?
高木:そうなんです。では、「侘び」が何かというと、ちょっと足りないなみたいな感じです。何か侘しい。例えば、満月が出ていても、それが雲で隠れてしまうと、せっかくの満月なのにという気持ちになりますよね。でも、それを美しいと感じようとする気持ちが「侘びる」なんですよ。だから、英語ではよく不完全という言い方をするのが侘びなんですね。足りないものを慈しむ心です。
ヨーロッパとかの芸術って永遠を求めますよね。永遠の美という絶対的なもの。だから、時間が経っても全く変わらない。パーフェクトな物を美の頂点だとすると、それに対抗する概念が「寂び」です。つまり、時とともに移ろっていくこと。侘び寂びって聴くと苔むした庭で古い木のお寺が建っていて…みたいなイメージを浮かべると思うんですけど、時の流れによって古びた状態が寂びです。古びた時そのもの、古びた物を楽しむ気持ちが寂びです。
だから侘びは不完全の美、寂びは時が経ったものを慈しむ心なんです。
山本:慈しむ心が大切なんですね。
高木:そうです。以前、大阪にある美術館の館長さんがジーンズを用いて侘び寂びについて説明していたのですが、それが非常に分かりやすかったので紹介しますね。
仮に山本さんが20年ぐらい履いてるジーンズがあるとします。そうすると膝に穴が空いたり、ポケットが破れたりするじゃないですか。でもそれって少し欠けたところがある自分だけのジーンズになりますよね。それが侘び。そして、20年前のジーンズなので時と共に色落ちしちゃいますね。でも色落ちにもムラがあるじゃないですか。それがまた独特のものになって、時とともにジーンズ変化しますよね。それが寂びなんです。
山本:なるほど。ジーンズで説明すると海外の方にもイメージがついて分かりやすいですね。
高木:そうなんです。いずれにしても侘びと寂びは違うワードで、侘びが不完全の美を、寂びが時間を楽しむ感覚です。唯一共通しているのは、詫びにしても寂びにしても自分だけの楽しみ、自分だけのものみたいに個の世界で内面的なものであるということ。絶対的な基準がないところがすごく面白いところなんじゃないかなって思います。
「侘び寂び」を英語で表現すると?
“Wabi-Sabi” is also a difficult word for us Japanese because we have only learned the word “Wabi-Sabi” in our history classes and a lot of us think it’s just one word, but actually they are two different things.
But the bottom line is that we appreciate the imperfect things and old things.
And in European countries, a lot of people think being perfect, being beautiful 100% is the right thing.
But in Japan in the Wabi-Sabi world, we accept… for example, a cup is chipped – that’s OK.
A cup is a bit bent – that’s also OK. So we are open to any shapes based on our values of beauty.
Mr. Takagi visited a museum in Osaka and the chief of the museum explained “Wabi-Sabi” as jeans and this is very interesting because a lot of Western people like jeans.
And when you think about that, “Wabi” is to appreciate imperfection.So even if your jeans are torn or it’s ripped, we still love it.
And as for the “Sabi” concept, even if the jeans are old, for example, if it’s 20 years old, it’s still something you really like because it’s your own jeans and no jeans are exactly the same after 20 years.
So we all seem to have this affection for “Wabi-Sabi.” So I’m sure a lot of people can understand this “Wabi-Sabi” concept, and in that way, we can also appreciate being ourselves as human beings because the older and the more imperfect you are, you are better.
和樂Webのチャンネルでは、カジュアルな日本文化を発信
高木:Voicyで『和樂webの一日一ニッポン』と言う番組をやっています。非常にカジュアルな日本文化、こんな風な日本文化もあるんだと感じてもらえると思うので、気軽に聞いていただけると嬉しいです。