アメリカでは、Podcastをブランドビルディングの手法の一つとして利用する企業が増えてきています。
米Forbesは、企業Podcastに関して以下のように説明しています。
Podcastは、ニッチなマーケティングだと考えられていました。しかし企業Podcastは、説得力のあるストーリーテリングが、新規顧客獲得や既存顧客と関係性を深めるという点において、広告よりも効果的かもしれないということを証明しつつあります。
今回は、そんな企業Podcastの事例として、マクドナルドが2018年に行った施策をご紹介します。
ソースが足りない!?消費者の信頼を失ったマクドナルド
2017年10月7日、米マクドナルドで1日限定で復刻再販されたソースがあります。その名は、「シェシュアンソース(Szechuan sauce)」。
このソース、元は1998年に公開されたディズニー映画「ムーラン」のプロモーション用に作られたチキンナゲットソース。「リック・アンド・モーティー (Rick and Morty)」という、人気アニメにこのソースが登場したことから、アニメファンの間で話題となりました。
その後、再販を熱望するファンの声に答え、ソースを1日限定で販売。しかし、需要に対して供給量が足りず、怒ったファンが店舗前で暴動を起こす事件となってしまいました。
エンゲージメントを高めた、人気Podcastのオマージュ
2018年2月26日、消費者を失望させてしまったマクドナルドは、シェシュアンソースを再リリースすることになります。このリリースに合わせて作られたのが、「The Sauce (ザ・ソース)」というPodcastです。
この番組は、アメリカ放送界における最高の栄誉とも言われるPeabody Awardを受賞した「Serial(シリアル)」という大ヒットPodcastのオマージュ。Serialは、実際にあった殺人事件などの関係者に調査を行い、その真相を探る調査報道番組です。
The Sauceは、3エピソード構成となっており、ギズモードが制作を行いました。Serialを彷彿とさせる不気味な音楽を背景に、なぜマクドナルドは、人気ソースの需要を軽んじてしまったのかというミステリーを、時系列で紐解いていく調査番組となっています。
マクドナルドのPodcastコミュニケーションはなぜよかったのか、 Vantage Pointは以下のように分析してます。
1:様々な個人(マクドナルドのコーポレートチームから、ソースを入手しようと長距離ドライブしたカップルなど)から、直接コメントを貰う事で、パーソナル感を演出できた。
2:舞台裏で何が起きていたのかを、包み隠さずに見せようとしていた。この姿勢がマクドナルドのブランドをオーセンティックにみせていた。
3:Serialのような、ストーリーテリングの構成を利用することで、物語にエンタメ性を与え、エンゲージメントを高めていた。
4:3つのエピソードが2/22に公開され、ソースの再リリース(2/26)の前に、大きなバズを作るようにPodacstの公開タイミングが設計されていた。
The Sauceは、iTunesのTOP100のPodcastランキングに入り、コロンビアビジネススクールのブランドエキスパートであるMatthew Quintに「企業Podcastの中でとても良いプレイヤーである」と言わしめました。
信頼回復という消費者の心に訴えかける必要のあるお題において、声という受け手との親密性を高めやすいコミュニケーション手法をとったことは、戦略の一つだったのかもしれません。
今後、長期的なブランドビルディングの為のPodcastだけでなく、キャンペーンと組み合わせたコンテンツとして活用する事例も増えてくるかもしれないですね。
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