TOPビジネス経営・マネジメントナカハラジオ:中原淳の「ひとづくり・組織づくり研究所」「体温計では38度だね」ではつかみ取れない「病の経験」に迫る!? : 新刊「人材開発・組織開発の臨床知」の研究方法論とは!?19:56 10月4日 881再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次定量的な数値を超えた「病の経験」の深掘り臨床知を解き明かす「現象学」の視点実践者の暗黙知と内的な経験の探求過去の経験が現在の実践に与える影響概念の下に潜り未発見の知を掴む方法論AI文字起こし(β版) # イントロダクション 中原次雄。中原隼の人作り・組織作り研究所 パーソナリティの立教大学教授中原隼です。 人作り・組織作りの研究者である中原隼が語る番組です。 この番組には2種類のコンテンツがあります。 いわば昔ながらのテープレコーダーで言えばA面とB面。 A面は人作り・組織作りのアカデミックな内容を語ります。 B面はアカデミック要素は無しです。 日常のエピソード、趣味のこと、日々のよしなし事などを語っていきたいと思います。 # 「体温計では38度だね」ではつかみ取れない「病の経験」に迫る!? : 新刊「人材開発・組織開発の臨床知」の研究方法論とは!? 今日の話題はA面ですね。 新刊人材開発組織開発の臨床地 こちら中原の新刊になりますけれども、これについてまたちょっとマニアックなことを語っていきたいなと思います。 この本ですね、10人の人材開発組織開発のプロフェッショナル実務課の皆さんにですね、私が3時間から8時間ぐらいの長回しのインタビューをさせていただいて そこからですね、にじみ出てくる、浮かび上がってくるような彼らの実践地、臨床地を明らかにするという本なんです。 この本、構想自体は3年ぐらい前から持ってたんですけれども、一番実は悩んだのはどうやってどういう方法を使ってですね それを行うかってことなんですよね。 研究方法論ってこのことを言いますけれども、研究方法っていうのをちゃんと持たないとですね 見えてくるものも見えてこないってことだよね。研究者は結構この研究方法論にこだわりを持ちます。 で、それ研究目的や研究対象にとってね、一番適切な研究方法論を選ぶってことをするんですけれども この本の場合ね、どういうふうにそれをやろうかというのはめちゃくちゃ悩みました。 ちょっと例えてみますね。定量的な研究、つまり数字を使った研究というのは、それを定量的な研究と言います。 それに対して定性的な研究というのがありますね。定性的な研究というのは言葉ですね。 まあ端的に言えば聞き取り調査とか多いんですけれども、こういう言葉を用いて行う研究なんです。 この定量的な研究か定性的な研究かというところでまず悩みますよね。 定量的な研究というのは例えてみればですね、風邪をひいた人に対してね、体温計を測ってもらって、体温計で測ってもらって 38度一部ですね、あるいは血圧ちょっと130ですねとかね、 あとは酸素飽和度92ぐらいですね、みたいなのは定量的な研究なんですよ。 すごくシンプルに言うとね、 ちょっと体温が38度ちょっとあるね、みたいな風邪かなぁ、みたいな感じですね、酸素飽和度がちょっと下がっているので ちょっとゼーゼー感あるかな、みたいなね。そんな感じなのが定量的な研究なんですよ。 で、まあ医者はねそういうふうにして、そういう数字から物事を判断するんですけれども、定性的な研究というのはね、 それでは見えないものを見ていくわけですよ。どういうことかというと、 風邪という病はどのように経験されるのかっていうのを見ていくのが定性的な研究。 これが多分わかりやすいんじゃないかなと思うんですよね。 単なる発熱、38.1度、その単なる発熱であってもだるいのか、 それともですね、なんかお腹の方がチクチクするのかとか、 喉がガラガラするとかね、そういう感覚、 病の経験というものは決してその体温計では測れないんですよね。測れない。 そのためにはね、医師が患者を診察するようにどんな感じがしますかっていうことで聞いてかなきゃならないわけですね。 これが定性的な研究の特徴なのかなと思うんです。 私はまず定性的な研究を取ることにいたしました。今回はね。 これまでの私の作品というのは定量的な研究が結構多いんですけれども、 別に僕は定量だろうが定性だろうがこだわりは一切ないので、 じゃあ定性的な研究を取ろうと思ったね。 定性的な研究を本格的にやるのは多分25年ぶりぐらいなのかなと思います。 私のキャリアの一番最初は定性的な研究なんですよね。 なのでなんか昔に戻った感じをしながらね、 もう一回自分のゼロからやり直そうと思って定性的な研究を取ることにいたしました。 この定性的な研究もいろんな方法論があるんですよね。 30個も40個もあるんじゃないですか。あります。本当にあります。 じゃあ今回の研究目的、研究対象に従って、その方法も選ばなきゃいけないってことになりますよね。 じゃあどういう風な方法を用いようかっていうことね。 数ヶ月本当に悩みましたよ。マジな話。 定性的な研究においてもね、どちらかというと、なんかモデルみたいなのを作るとか、 メカニズムを明らかにするとか、 プロセスを明らかにするとか、なんか1枚のポンチェみたいな図を作るような研究もあるんですよ。 こういう方法はちょっと僕の今回の研究に照らしていれば合わないなぁと思って。 一人一人の実践者、実務家がどのような経験をしているのかってことを聞かなきゃいけない。 実践をどのように見ているのか、あるいはクライアントとの働きかけをどのように感じているのかってことを 聞かなきゃいけないので、そのちょっと プロセスとかモデルとかを作るような研究では合わないなと思ったんですよね。 それで笑おもすがる思いで選んだのが、減少学っていうような学問の分野になります。 減少学ね。もともとドイツの哲学者、エトヌントフサールという人が作った知的な潮流なんですけれどもね。 減少学は一旦、科学みたいなものを脇に置いて、徹底的に人々が何を経験しているのか、直接経験として何を経験しているのかっていうことを明らかにする学問体系なのかなと思います。 その減少学的なニュアンスとか減少学的な考え方を結構、僕が今回用いた方法には取り入れていきました。 関連する研究にはですね、実はいろんな研究案です。仕事の実践中を捉える方法としては、例えば生田先生ですね、生田久美子先生がやられているような研究。 これは芸能の熟達者っていうのは、どういうふうにして自分の技みたいなものを伝えているのかと。 例えばですね、ある伝統芸能の熟達者は、自分の踊りを表現するときに、扇を差し出す動作を天から舞い降りてくる雪を受けるように、こうやってください、みたいに言うわけですよね。 これがいわゆる技言語というもので、熟達者同士はこういうふうな言葉っていうのを用いながらコミュニケーションをしていたりするんですよ。 こういうのを明らかにしたいなと思ったんですよね。 あとは、例えば専門看護師さんとかが、ちょうど植物状態ですかね、そういう状態に合う人とコミュニケーションするときに、視線が絡むっていうようなことを言う人がいるんですよね。 視線なんて絡むわけないんですよ。動くわけではないのでね。でも確実に視線が絡むという経験をしているんですよね。 こんな研究も看護の領域ではあります。 あとですね、小児科の病棟の看護師さんが病状を語るときに、 語法ではなく、コホッとした席なんだよな、みたいなことで語ることもあるんですよ。 これさっきの体温計の例で言うと、体温計は38℃一部しか語らないんですね。 でも、本人がどういうような経験をとっているのかな、みたいなことを伝えるときに、 言葉の持っている力が結構でかいんじゃなかろうかと思ってね。 そういうような研究みたいなものを、先行研究としていろいろレビューしながらですね、 私は今回で言うと人材開発と式開発の実践家の皆さんが、 どのような経験を内的にしているのかということを明らかにしようと思いました。 ちょっと別の言葉で言えば、彼らが発揮している暗黙値みたいなものを捉える方法はないかな、みたいなことを考えましたし、 彼らが内的に経験しているものっていうのをどう捉えようかな、みたいなことを考えたんですよね。 そこでレビューとかをしているのは、デュイとかフッサールの研究を下敷きにしながらやりました。 単に減少額でやろうと思ってたんですけれども、もう1個入れなきゃいけないものがある、みたいなふうに思っていたものがあるんですよね。 それが経験という視点なんですよね。 経験という視点でなぜ入れたかったかというと、 結構ね、これまで僕いろんな組織開発とかの実践家の話を聞きながらね、 彼らが幼少期とか、あるいは初めて就いた仕事とか、 例えばね、いろんなありますよね。IT企業を勤めていましたとか、ホテルのコンチューレーションしてましたとか、 営業推進してました、みたいな。そういうような仕事とか、過去の幼少期の経験みたいなものが、今現在の実践に結構生きてるってことがあり得るんですよね。 そっかと、今自体の実践というのを明らかにするためには、過去を見ていかなきゃいけないんだな、みたいなことを思って、 今回、経験の視点というのを入れていきました。経験の視点。 具体的に、非常に具体的に言うと、どんな問いを入れたかというと、 あなたはどのような幼少期を過ごしていましたかとかね。 あるいは、仕事を始めた時、どんな経験しましたかとか、そういうような過去を問うような質問。 あなたの学生時代について聞かせてくださいとか、社会で働くようになった以降のこれまでの仕事について聞かせてください、みたいなことを同時に聞いていくんですよ。 こういう過去の経験を聞いていく。 その上で、先ほど申し上げました現象の視点。 あなたは今回の実践を行う時、何を見ていますかとか、何を意識していますか、みたいなことね。 あなたの仕事についてお聞かせくださいというような、端的に言えばそういう彼らの仕事ぶりというのを記述していって、その中で彼らがどんな経験をしているのかということを明らかにしていくってことをやったんですよね。 研究方法論って例えてみたら武器みたいなもの。 眼鏡つくのもいいかもしれない。 何かを見たいとするじゃないですか。その何かを見たいの研究目的や研究内容に一番最適な眼鏡を選べばいいんですよね。 選べばいい。つまり研究方法論というのは必ず研究目的に付随する、それをフォローしていくものだと思うんですよ。 ですので今回の研究では、経験と現象という2つの概念を元にしていきながら、彼らの仕事に迫っていったのかなというふうに思います。 これ本当にね、マジで決めるまですげえ時間がかかってですね。 決めて現象学っぽいことをやろうかなというふうに決めてからもね、もうすごい僕の中では悩みがありました。 なんせこの年になって初めてというか、新たにね、眼鏡を付け替えるわけですから、自分のものの見方とか、あるいは自分というものの人間存在というのかな、自分という自分が対象に対して実践者に対して関わっていく あり方みたいなものも変えていかなきゃならないなというのが直面した課題です。 もう1個はね、あれほら誰も僕には指導教員いないじゃないですか。 自分も誰かの指導教員ではあるけれども、誰かに指導される経験はさすが持ってないんですよ。もう50だからね。 不安で不安でしょうがないんですよね。 だからね、博士の気持ちわかったよ。正直な話。 研究に向かう時ってこんな不安になるんやなぁみたいなのも初めて経験して、しばらくぶりに経験してですね。 今回は大阪大学の人間科学部の村上康彦先生にですね、ちょっと知り合いを頼って、つてを頼って、勝手に試食っていうんですかね。 ゼミとかに出させてくださいとかね。先生の行う集中講義にも出させてもらったりしてですね。 あとはまあそんな形で、ご指導ってわけではないんですけれども、先生からいろんなヒントをいただいておりました。本当に村上康彦先生には心より感謝いたします。 もう本当にね、足向けて寝られない。本当にありがたいなというふうに思いますね。 そんな形で、じゃあ研究方法論が決まるってことになりますよね。 今度研究方法論が決まったら、じゃあどういうふうにしてインタビューを組み立てて、それは何時間ぐらい続くのかみたいなのも、やっぱりこれもやってみて初めてわかるんですよね。 というわけで一番最初にアクセスさせていただいたのは、2023年の冬だった。めっちゃ寒い日だったと思いますけれども、 一番僕にとっては近いと申しましょうか、私が元指導教官だった頃。指導教官、つまり自分の指導学生ですよね。 私の指導学生の斉藤光弘さんにですね、無理を申し上げて、彼らの研修みたいなものを見させていただき、その後にヒアリングを行うということをさせていただきました。 もうびっくりするぐらいですね、豊かな世界が描かれたんですけれども、一番焦ったのは時間がない。 数時間撮ったはずなのに、3時間くらい撮ったはずなんですけれども、あっという間にヒアリングが進行しちゃってて、これ結構大変やなぁと思ってね。 2回目もお願いしてたんですよ。2回目も本当に数時間撮らせていただいて、斉藤光弘さんの仕事の在り方みたいなものを、彼が何経験してるのかみたいなことを明らかにしていったってことをやりました。 ここから先はですね、大体こういうふうに進行していくんだなぁみたいなことが分かってきたので、インタビューガイドって言いますけれども、どういうふうにインタビューさせていただくかってガイドみたいなものも更新していってね。 だんだん効率的にってわけではないんですけれども、自分の中でこういうふうなものごと、インタビューの進行していくんだなぁみたいなものを、自分も学習していったってことにすごく近いのかなぁなんて思うんですね。 そこで結局は住民の方々にお願いをして、内部支援者と外部支援者、つまり人事の中で、組織の内部で人材開発、組織開発をしている人と、 外部支援者、つまり外からですね、コンサルタントとして組織に関わっている人5人5人を選定させていただきまして、徹底的に彼らにお時間をいただき、お話を聞いたということになっていきます。 ありがとうございます。本当にね、この住民の方々にはもう本当に足抜けていられない人ばっかりですよ。感謝しかないです本当にね。 そんな形で書いていったってことになります。 この本の副題には、科学ではつかみ取れないプロフェッショナルの流儀って書いてあるんですけれども、 科学っていうのはですね、多くの場合、所有の概念とかがあって、その上に結構積み上がっていくものなんですよね。 例えば本の中ではジョブクラフティングのこともちょっと書きましたけれども、ジョブクラフティングって概念があって、その概念の先行要因、 起点因と言いますけれども、先行要因とアウトカウンみたいなのを見ていくのが典型的な科学なんですね。 でも今回は、ジョブクラフティングって言葉自体がまだないんですよ。ないのね。 だから、概念が所有にあって、それに積み上がるみたいな形で物事を進めていくことができない。 そうすると、概念の下、概念の遥かそこに潜っていかなきゃいけないんですよね。潜っていかなきゃいけない。 そういうことで、これは確か、社会学者の大沢雅一さんの論考を手がかりにしながら、 2つ目、古文センスの上に建物を建てていく学問と、古文センスの下に潜る学問というのがあるんだよ、みたいなことを仰ってたので、 じゃあ今回は古文センスの下、つまり古文センスですから常識ですね。今まで語られてきたような概念。 概念の下に潜っていって、まだ発見されていないようなものを、科学のやり方とはちょっと違う方法、 訂正的な研究手法を用いながら明らかにしていったということになるのかなと思います。 ちょっとマニアックな話だったかもしれないね。マニアックだったかもしれない。でも、言葉の背後にあって未だ言語化されていないものとか、 普段あまりに慣れ親しんでいて、意識しないものみたいなものを明らかにする手法みたいなものとして、 今回の方法みたいなのがうまくいったかどうかはわかりませんが、それは読者の方々に本当にお任せしますけれども、 ちょっとそれにチャレンジしていったってことになるのかなと思います。 新刊人材開発組織開発の臨床地、こちらですね。もう発売されておりまして、 おかげさまで好評というのか、ポジティブな反応をいただくことが多いのかなと思いますね。 ぜひちょっとマニアックな本ならね、図書館とかから始められたらいいのかなと思うんですけれども、 ぜひちょっと書店とかで手に取っていただければなというふうに思います。 あとですね、こちらもう締め切っちゃってるんですけれども、550人の方々に参加の申し込みいただいて、 11月29日ですね、臨床地のこの人材開発組織開発の臨床地ワークショップというのを立教大学で開催することになっています。 これ多分ね、1回しかないと思います。なぜかというと、これ10人の実践家の方々にお集まりいただいて、 その臨床地についてお話をいただくという回なんですよね。 そして、参加者同士みんなで対話していきましょうという回なんですけれども、 この10人が一同に開催するということはないじゃないですか、実際問題ね。もう作れないと思いますね。 11月29日の人材開発組織開発の臨床地のワークショップにお申し込みの方々、550名の方々はですね、 ぜひお楽しみいただければなというふうに思います。 あとはですね、ひとごとラボという、ひとごとラボ、カタカナで書いてください。 ひとごとラボというところで、こちらオンラインの勉強会みたいなのを企画くださっていて、 こちら11月20日になると思うんですよね。 こちらの方ももし空いているようであれば、ぜひアクセスをいただければ、 私もここではちょっとお話ししようかなというふうにも思っています。 新刊人材開発組織開発の臨床地、ぜひですね、手に取ってみてください。 以上です。どうもありがとうございました。 # エンディング というわけで、これで中原寺をおしまいです。 何かご質問、リクエストがあればコメントを書いてください。 フォローなどもどうぞよろしくお願いします。 Xなどで感想をお寄せいただくときは、 シャープ中原寺をカタカナでお願いします。 じゃあ、今日のオンエアはここまで。 皆さん、学びに満ちた一日をお過ごしください。 そして人生は続く。中原ジョーでした。 もっと見るナカハラジオ:中原淳の「ひとづくり・組織づくり研究所」プレミアム放送配信中!00:341.イントロダクション18:582.「体温計では38度だね」ではつかみ取れない「病の経験」に迫る!? : 新刊「人材開発・組織開発の臨床知」の研究方法論とは!?00:253.エンディングコメント感想・質問・応援メッセージを書こう
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