#854 認知症の予防 ― いまから始める脳活 大分・熊本 レースの取材旅
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認知症は「早く気づくこと」が大切
軽度認知障害の段階でできる予防と家族の支え方
今回は、認知症の治療と予防についてのお話です。
「認知症」という言葉を知らない方はほとんどいないと思いますが、実際にはどのような状態を指すのでしょうか。
認知症とは、いったん正常に発達した記憶力や判断力などの認知機能が、後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活に支障が出るようになった状態をいいます。
認知症は、症状が進んでから治療を始めるだけでなく、早い段階から予防に取り組むことが大切です。
本人の尊厳を守りながら受診につなげる
認知症の診療では、本人の気持ちやプライドに配慮することがとても重要です。
これまで自立して生活してきた方が、記憶力の低下を自覚したり、行動の変化や排泄の失敗を経験したりすると、自信を失い、深く傷つくことがあります。
また、本人に受診を勧めても、
「自分はおかしくない」「病院には行きたくない」
と拒まれることも少なくありません。
そのため、家族が受診を勧める際には、
「認知症の検査に行こう」「物忘れがひどいから診てもらおう」
と直接伝えるよりも、
「頭の健康診断を受けてみよう」「家族のためにも一度検査しておこう」
といった言い方をすると、本人の抵抗感を減らせる場合があります。
医療機関でも、「認知症」や「物忘れ」という言葉を必要以上に使わず、本人の尊厳を傷つけないよう、細心の注意を払いながら診療を行います。
本人への診察とは別に、家族からも、
日常生活で何に困っているのか
どのような行動の変化があるのか
介護保険などの支援が必要か
家族がどの程度負担を感じているか
などを確認します。
本人の前で話しにくい場合には、問診票などを使って家族の希望や困りごとを聞き取ることもあります。
認知症の診断はどのように行う?
認知症が疑われる場合には、質問形式の検査を行います。
代表的なものとして、
長谷川式簡易知能評価スケール
MMSE(ミニメンタルステート検査)
などがあります。
記憶力、計算力、日時や場所の認識、言葉の理解などを確認し、認知機能の状態を評価します。
65歳以上では、認知症の方が約15%いるとされています。
一方で、正常な状態と認知症の中間にあたる、
軽度認知障害(MCI)
と診断される方も約20%いるといわれています。
軽度認知障害(MCI)とは
軽度認知障害とは、記憶力や判断力に低下がみられるものの、日常生活はおおむね自立して送れている状態です。
軽度認知障害の方のうち、年間約10〜15%が認知症へ進行するといわれています。
しかし一方で、約16〜41%の方が正常な状態に戻るという報告もあります。
つまり、軽度認知障害の段階で早く気づき、生活習慣を見直したり、必要な支援を始めたりすることが非常に重要です。
MCIの段階では薬以外の取り組みが大切
軽度認知障害に対して、認知症の発症を確実に防ぐと証明された抗認知症薬は、これまでありませんでした。
その一方で、薬を使わない方法として、次のような生活習慣に一定の効果が期待されています。
適度な身体活動
有酸素運動
地中海式の食事
禁煙
生活習慣病の管理
特に、軽度認知障害から認知症へ進行する要因として、
高血圧
糖尿病
脂質異常症
脳血管障害
などが関係していると考えられています。
そのため、認知症の予防という点でも、血圧や血糖値、コレステロールを適切に管理することが大切です。
血管を守ることが、脳を守ることにつながる
認知症の中で最も多いとされるのが、アルツハイマー型認知症です。
アルツハイマー型認知症は、アミロイドβというたんぱく質が脳内に蓄積し、神経細胞が障害されることで発症すると考えられています。
このアミロイドβを脳内にためにくくするためには、脳の血流を保ち、血管を健康な状態に保つことが重要です。
適度な運動は一時的に脳の血流を増やし、アミロイドβを脳内から排出する働きを助ける可能性があるといわれています。
目安としては、
1回30〜40分程度の有酸素運動
が勧められます。
無理のない範囲でのウォーキングなどを習慣にすることが、認知症の予防にもつながります。
血流を良くするという考え方は、脳血管性認知症だけではなく、アルツハイマー型認知症の予防にも共通している点が注目されています。
自立した生活を長く続けるための準備
軽度認知障害の段階では、本人の理解力がまだ十分に保たれていることが多いため、生活を支えるための工夫を早めに取り入れることができます。
例えば、
カレンダーや手帳を使う
メモを取る習慣をつける
薬の飲み忘れを防ぐ機器を使う
家の中の動線や環境を整える
生活支援機器を導入する
といった方法です。
こうした練習を早いうちから始めることで、自立した生活をできるだけ長く続けられる可能性があります。
一方で、本人が自分の認知機能の低下に気づき、落ち込んだり、うつ状態になったりすることもあります。
そのため、認知機能だけではなく、気持ちの変化にも注意を払い、生活の質を下げないように支えることが必要です。
軽度認知障害の期間は、改善の可能性があるだけでなく、将来に備えるための大切な時間でもあります。
認知症と診断された後の治療
軽度認知障害から進行し、認知症と診断された場合には、抗認知症薬による治療を行います。
ただし、薬を漫然と続けるだけではなく、認知症に伴うさまざまな症状にも対応することが大切です。
認知症では、記憶力の低下だけでなく、
興奮
徘徊
暴力や暴言
うつ状態
睡眠障害
幻覚
などがみられることがあります。
これらは「認知症の行動・心理症状」と呼ばれ、本人だけでなく、家族の負担を大きくする原因にもなります。
症状に応じて、抗うつ薬や抗精神病薬などを適切に使い分け、本人と家族の生活の質を保つことが重要です。
認知症治療では、家族への支援も欠かせない
認知症の治療では、本人の認知機能を支えるだけでなく、家族の負担を軽くすることも大切です。
介護による負担には、
身体的な疲労
睡眠不足
仕事との両立
将来への不安
周囲に相談できない孤独感
などがあります。
家族だけで抱え込まず、相談できる人や場所をつくることが必要です。
また、介護保険をはじめとする社会的な支援を利用し、訪問介護やデイサービスなどを取り入れることで、本人の生活を支えながら家族の負担を減らすことができます。
軽度認知障害の段階でできる予防と家族の支え方
今回は、認知症の治療と予防についてのお話です。
「認知症」という言葉を知らない方はほとんどいないと思いますが、実際にはどのような状態を指すのでしょうか。
認知症とは、いったん正常に発達した記憶力や判断力などの認知機能が、後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活に支障が出るようになった状態をいいます。
認知症は、症状が進んでから治療を始めるだけでなく、早い段階から予防に取り組むことが大切です。
本人の尊厳を守りながら受診につなげる
認知症の診療では、本人の気持ちやプライドに配慮することがとても重要です。
これまで自立して生活してきた方が、記憶力の低下を自覚したり、行動の変化や排泄の失敗を経験したりすると、自信を失い、深く傷つくことがあります。
また、本人に受診を勧めても、
「自分はおかしくない」「病院には行きたくない」
と拒まれることも少なくありません。
そのため、家族が受診を勧める際には、
「認知症の検査に行こう」「物忘れがひどいから診てもらおう」
と直接伝えるよりも、
「頭の健康診断を受けてみよう」「家族のためにも一度検査しておこう」
といった言い方をすると、本人の抵抗感を減らせる場合があります。
医療機関でも、「認知症」や「物忘れ」という言葉を必要以上に使わず、本人の尊厳を傷つけないよう、細心の注意を払いながら診療を行います。
本人への診察とは別に、家族からも、
日常生活で何に困っているのか
どのような行動の変化があるのか
介護保険などの支援が必要か
家族がどの程度負担を感じているか
などを確認します。
本人の前で話しにくい場合には、問診票などを使って家族の希望や困りごとを聞き取ることもあります。
認知症の診断はどのように行う?
認知症が疑われる場合には、質問形式の検査を行います。
代表的なものとして、
長谷川式簡易知能評価スケール
MMSE(ミニメンタルステート検査)
などがあります。
記憶力、計算力、日時や場所の認識、言葉の理解などを確認し、認知機能の状態を評価します。
65歳以上では、認知症の方が約15%いるとされています。
一方で、正常な状態と認知症の中間にあたる、
軽度認知障害(MCI)
と診断される方も約20%いるといわれています。
軽度認知障害(MCI)とは
軽度認知障害とは、記憶力や判断力に低下がみられるものの、日常生活はおおむね自立して送れている状態です。
軽度認知障害の方のうち、年間約10〜15%が認知症へ進行するといわれています。
しかし一方で、約16〜41%の方が正常な状態に戻るという報告もあります。
つまり、軽度認知障害の段階で早く気づき、生活習慣を見直したり、必要な支援を始めたりすることが非常に重要です。
MCIの段階では薬以外の取り組みが大切
軽度認知障害に対して、認知症の発症を確実に防ぐと証明された抗認知症薬は、これまでありませんでした。
その一方で、薬を使わない方法として、次のような生活習慣に一定の効果が期待されています。
適度な身体活動
有酸素運動
地中海式の食事
禁煙
生活習慣病の管理
特に、軽度認知障害から認知症へ進行する要因として、
高血圧
糖尿病
脂質異常症
脳血管障害
などが関係していると考えられています。
そのため、認知症の予防という点でも、血圧や血糖値、コレステロールを適切に管理することが大切です。
血管を守ることが、脳を守ることにつながる
認知症の中で最も多いとされるのが、アルツハイマー型認知症です。
アルツハイマー型認知症は、アミロイドβというたんぱく質が脳内に蓄積し、神経細胞が障害されることで発症すると考えられています。
このアミロイドβを脳内にためにくくするためには、脳の血流を保ち、血管を健康な状態に保つことが重要です。
適度な運動は一時的に脳の血流を増やし、アミロイドβを脳内から排出する働きを助ける可能性があるといわれています。
目安としては、
1回30〜40分程度の有酸素運動
が勧められます。
無理のない範囲でのウォーキングなどを習慣にすることが、認知症の予防にもつながります。
血流を良くするという考え方は、脳血管性認知症だけではなく、アルツハイマー型認知症の予防にも共通している点が注目されています。
自立した生活を長く続けるための準備
軽度認知障害の段階では、本人の理解力がまだ十分に保たれていることが多いため、生活を支えるための工夫を早めに取り入れることができます。
例えば、
カレンダーや手帳を使う
メモを取る習慣をつける
薬の飲み忘れを防ぐ機器を使う
家の中の動線や環境を整える
生活支援機器を導入する
といった方法です。
こうした練習を早いうちから始めることで、自立した生活をできるだけ長く続けられる可能性があります。
一方で、本人が自分の認知機能の低下に気づき、落ち込んだり、うつ状態になったりすることもあります。
そのため、認知機能だけではなく、気持ちの変化にも注意を払い、生活の質を下げないように支えることが必要です。
軽度認知障害の期間は、改善の可能性があるだけでなく、将来に備えるための大切な時間でもあります。
認知症と診断された後の治療
軽度認知障害から進行し、認知症と診断された場合には、抗認知症薬による治療を行います。
ただし、薬を漫然と続けるだけではなく、認知症に伴うさまざまな症状にも対応することが大切です。
認知症では、記憶力の低下だけでなく、
興奮
徘徊
暴力や暴言
うつ状態
睡眠障害
幻覚
などがみられることがあります。
これらは「認知症の行動・心理症状」と呼ばれ、本人だけでなく、家族の負担を大きくする原因にもなります。
症状に応じて、抗うつ薬や抗精神病薬などを適切に使い分け、本人と家族の生活の質を保つことが重要です。
認知症治療では、家族への支援も欠かせない
認知症の治療では、本人の認知機能を支えるだけでなく、家族の負担を軽くすることも大切です。
介護による負担には、
身体的な疲労
睡眠不足
仕事との両立
将来への不安
周囲に相談できない孤独感
などがあります。
家族だけで抱え込まず、相談できる人や場所をつくることが必要です。
また、介護保険をはじめとする社会的な支援を利用し、訪問介護やデイサービスなどを取り入れることで、本人の生活を支えながら家族の負担を減らすことができます。
アナウンサーかしまだちほのコミュラジオ(医療/旅/ビジネス)
アナウンサー鹿島田千帆/ Kashimada Chiho
- 02:461.
チャプター1
- 07:582.
チャプター2
- 01:243.
チャプター3
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