TOPエンタメ映画・本ショートストーリーの朗読5分だけ、客席04:34 10月29日 1再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次冬のテラスで待つ配達人との再会多忙な彼に差し出す一杯の行方初めて座る特別な客席のひと時去り際に残る小さな温もりの痕跡AI文字起こし(β版) # 5分だけ、客席 5分だけ接着 冬のテラスへ赤い手袋の配達人が戻ってきます。 いつも温めてもらうクニョは、一杯の礼を渡したいのです。 忙しい人の5分間は、どこに置けばよいのでしょう。 5分物語 赤い手袋がまだ冷たいテラスの手すりを握った。 冬の暖房を点検に来たはじめだ。 クニョは本を閉じた。 今年もこの人に会えた。 毎朝、この席で本を読めるのは、はじめが来てくれる季節だけだった。 おはようございます。今年もよろしく。 寒くなりましたね。 2年前はヒゲのある顔が怖くて、クニョから声をかけられなかった。 今では赤い手袋が見えると、本の続きを忘れる。 今年は温かいものだ、を一杯ご馳走させたかった。 コーヒーお持ちしましょうか。 はじめは工具を持ったまま首を振った。 今は置くところがなくて、次の配達もありますし。 クニョは財布をしまった。 断られた、と思ったが、はじめは小さく頭を下げ、また点検に戻った。 テーブルの上なら空いている。 でも仕事を中断させてまで座ってもらうのも違う気がした。 クニョは本を開いた。 同じ一行を三度読んだ後、赤い手袋を目で追う。 右手は工具、左手は記録用紙。 コーヒーを差し出せる隙間はどこにもなかった。 やがてはじめが片付けを始めた。 店員へ点検の説明を終え、車の時計を見る。 いつもならここで挨拶をして帰る。 いつなら飲めますか? 次の約束まで五分だけなら、暑いのは急げませんけど。 僕も猫舌です。 はじめが初めて手袋を外して笑った。 クニョは店内へ行き、店員に尋ねた。 蓋を外して少し冷まし、小さな二杯をトレーに乗せる。 席へ戻るとはじめは車の横に立ったままだった。 ここをどうぞ。 クニョは自分のカバンを隣の椅子から下した。 はじめは作業着の袖を確かめてから、座り手袋を重ねて膝へ置いた。 ここに座るのはじめてです。 クニョもカップを持った。 はじめの来る日は何度も見ている。 それなのに同じ高さで顔を見るのは初めてだった。 はじめが一口飲む。 クニョも飲む。 話さなければと思った言葉が湯気と一緒にほどけた。 向かいの木から葉が落ち、はじめが目で折った。 クニョはいつも座る席からなら見える枝を指した。 あの一枚、昨日から頑張ってるんです。 えーと、私より勤務が長いな。 車の時計を見てはじめが立った。 飲み終えたカップを返却し、赤い手袋をはめる。 クニョはカバンを床に置いたまま車へ小さく手を振った。 ごちそうさま、また次に。 はじめが去った後、クニョは本を開いた。 隣の椅子の座面へまだ細い湯気が流れていた。 もっと見る #日常小説 #冬の小さな返礼 ショートストーリーの朗読ソフトウェアテストTACT 「そふてた」と呼んでください04:341.5分だけ、客席コメント感想・質問・応援メッセージを書こう