TOPハウツー・学習歴史十二単着付け師の【にちにち気づきだより】第614話 【釣殿】水の音で涼をつくる06:23 8月26日 77再生 問題を報告する 再生する シェアする 文字で読みたい方はこちらのサイトから「衣と暦」https://ikumina.comもっと読むAI目次冷房なしで涼む 平安時代の知恵涼は温度でなく感覚でつくる夏の和服 快適に着る着付け術見え方を操る プロの編集術感じ方こそが真実 涼の哲学AI文字起こし(β版) # 今日はどんな日 日にち気づきだより佐藤美奈子です。 今日もお聞きいただきありがとうございます。 このチャンネルでは、毎朝、平安の行事、季節の移ろい、 当時の人の暮らし、そして、消息のこと、 その日の暦を一つお話ししています。 千年前の営みが、今の暮らしや仕事にどうつながっているのか、 毎朝一つお届けしています。 はい、おはようございます。 今日は8月26日です。 今日は、平安の人がどうやってすずんでいたか、 という話をします。 冷やす道具はありません。 それでもすずんでいました。 # 涼しいと感じるものを置く・使う 平安時代の貴族たちが住んでいる家屋の作り方で、神殿作りという建て方というのがあります。 池に張り出した建物がありました。釣り殿と言います。 三方が開いていて、床の下はすぐ水なんです。 ここで寮を取って、宴を開いて、月を見て、船を出すこともありました。 夏のための場所でした。 よくその水が流れているところで、穀水の園、 杯が流れてきて、流れてくるまでの間に歌を一つ読む、そんな宴もあったわけです。 そして庭には槍水が通してあります。 庭を細く流れる水路のことです。 なぜわざわざ水路を作るのか。 水が流れる音を部屋まで届かせるためです。 つまり平安の秘書というのは、水の近くに座って水の音を聞くことでした。 温度を下げる道具がないので、涼しさを音と目に見えるもので作る。 考えてみると、打ち水も風鈴も、あとはすだれというものも、みんな同じ考え方の上にありますね。 打ち水は地面を濡らすことで涼しく見せるし、風鈴は音で風を知らせる。 そしてすだれというのは、火を遮りながら風だけを通す。 温度を下げるのではなくて、涼しいと感じさせるものを周りに置く、そういうやり方です。 例えば、今の現代の和服というのはよくできていて、衿の抜き方ですとか小物の使い方で随分と涼しく着付けられます。 それぞれの着物を愛する方々が工夫をしていますよね。 普通の一般的に売られている帯枕というものも、枕が当たるだけで暑いと思うほど日本は暑いので、 枕そのものを使わないという方もいらっしゃったり、手ぬぐいを枕代わりにする人もいたり、 あとはこの夏になるとヘチマの帯枕を使うという方もいらっしゃいますよね。 襟合わせも大きく開けば涼しいかというと、私はその逆に感じてしまうんですね。 襟は普段通りに普通に合わせて、あまり襟先を引かずに合わせているという感じでしょうか。 そうすると着物の中で体が動くわけです。見た目はきちっと見えて実は楽。 密着しすぎないことと大きく開けることとは違うわけで、そんな着方をしています。 他人から見ても、開きすぎてだらしない印象の着姿というのは逆に厚苦しく見えるでしょう。 ですけれども、浴衣の襟であってもしっかり合わせた方が爽やかに見えませんか。 今は縦締めも帯板も、下着も、たびも、夏向きのものが多く出ているので、ぜひ使ってみてください。 温度を下げるのではなくて、涼しいと感じるものを置く、そして使う。 これは私の仕事にも本当に通じるところがあります。 着せるという仕事というのは、その方の体そのものを変えることはできないので、背丈も肩の線も変えられません。 けれども、どう見えるかは変えられるわけです。技術で。 布の落ち方、襟の抜き方、あとは線の作り方ですね。 実際には何も変わっていないのに、見え方だけが変わる。平安の人が寮を作った考え方と、私は同じことをしているのかもしれません。 そして、これは決してごまかしではないと思うのです。 感じ方もその人にとっては本当のことだからです。 涼しいと感じたなら、その人は涼しかった。美しいと感じたなら、その人は美しかった。本当にそれだけなんですよね。 今日は8月26日。9月5日には、その室内を秋のものへ変えるお話が入ってきます。お楽しみになさってください。 夏の室内を下げて、秋のものを出す。そういう日がもうすぐ来ます。 明日もその日の小読みからお話ししていきます。 今日もお聞きいただきありがとうございました。それではまた。ごきげんよう。 もっと見る #寝殿造 #釣殿 #遣水 #道具を工夫する 十二単着付け師の【にちにち気づきだより】さとうみなこ00:481.今日はどんな日05:362.涼しいと感じるものを置く・使うhttps://ikumina.comコメント感想・質問・応援メッセージを書こう
第658話 【木守柿】ひとつ残すということ 11分・一昨日・ 33再生AI目次柿が持つ学名と秘められた意味平安時代から続く「木守柿」の習わし全てを教えない講師業の「余白」の価値「残す」行為から学ぶ日本人固有の知恵一つ残された柿が語る「豊かさ」とは
第657話 【寒露】見る秋から、触れる秋へ 12分・10月8日・ 38再生AI目次寒露が示す、視覚から触覚の季節へ二十四節気に見る、緩やかな季節の変化肖族から学ぶ、手で感じる確かな世界「触れる」行為に宿る、より深い関わり人との関わりへも通じる「触れる」意味
第656話 少し寂しくなったら…それは秋のせい 9分・10月7日・ 47再生AI目次「秋の日はつるべ落とし」の真実「秋の暮れ」二つの意味の深さ寂蓮法師の歌に学ぶ「寂しさ」夕暮れの稽古場に訪れる静寂理由なき寂しさを「秋のせい」に
第655話 同じものを見ている時間 15分・10月6日・ 65再生AI目次10年前の私を形作った「同じものを見る時間」光源氏が垣間見た、碁に集中する女性たち人に見せない素顔が明かす、夢中になる時間お稽古場や着付けに見る「無防備」の価値同じものを見つめ、関係性を深める秋の夜
第654話 【残菊の宴】盛りの菊と残った菊 13分・10月5日・ 69再生AI目次残菊の宴:平安時代に学ぶ美意識「十日の菊」との比較で際立つ価値とは役目を終えたモノが語る教訓盛りが過ぎた」時の心構えとは古きものに宿る忘れられない物語
第653話 平安の一生【五十日の祝】 16分・10月4日・ 71再生AI目次平安「五十日の祝い」の真実餅が示す赤ん坊の未来とは?紫式部日記にも登場する祝宴現代の「育成」に通じる先見性儀式が固める大人の「覚悟」
第652話 【水始涸】元へ戻し静かに閉じていく 13分・10月3日・ 54再生AI目次「水初めて枯るる」七十二候の異質さ光を映す田んぼ、土色への回帰華やかさの後に続く「下ろす」仕事「終える」ことの真の意味、次への接続華やかではない「終わりの施策」の価値
第651話 神無月〜離れることは見放すことではない 10分・10月2日・ 76再生AI目次「神無月」の名の由来とその背景「神様のお留守」が教える支えとは教える立場で気づいた師の言葉の重み人の成長を促す「待つ心」の重要性「離れる」がもたらす自立と内なる力
第650話 衣を整え、季節を迎える 11分・10月1日・ 69再生AI目次平安貴族の衣替え:住まいも変える五感で楽しむ平安の季節の移ろい「更衣」に込められた二つの意味とは?衣が導く心と体の季節への準備衣替えで心と暮らしを整える秘訣