#156 私たちは、生まれついてのアントレプレナーである~不確実な時代を生き抜くための思考法「エフェクチュエーション」
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2025年12月9日、神戸大学にて開催された対話型ビジネス価値共創人材養成プログラム国際シンポジウム。
そこで語られたのは、不確実な時代を生き抜くための強力な思考法「エフェクチュエーション(Effectuation)」と、私たちの主体性を取り戻すための「エモーショナル・オーナーシップ」という希望に満ちた概念でした。
世界的な起業家研究の第一人者、サラス・サラスバシー教授の講演とパネルディスカッションの内容を、これからの時代を生きる私たちの指針としてレポートします。
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■アントレプレナーシップの民主化:誰もが「価値」を作れる世界へ
サラスバシー教授は、まず「アントレプレナーシップ(起業家精神)の民主化」という、壮大な視点から話を始めました。
かつて科学が「一部の特権階級のもの」から「誰もが学び、活用できるメソッド」へと民主化されたことで、現代の中間層の繁栄がもたらされました。それと同じように、ビジネスや価値創造のメソッドを民主化し、誰もが学べるものにする。これが教授の掲げるビジョンです。
特に、現在のスタートアップ支援が「ユニコーン(巨大企業)」に偏りすぎている現状に対し、経済の土台を支える「中間層ビジネス」を厚くすることの重要性が強調されました。
■不確実性を乗りこなす「CASEフレームワーク」
熟練した起業家は、未来をどう捉えているのでしょうか?教授は、「予測」と「コントロール」という2つの軸で整理したフレームワークを提示しました。
コーザル(計画型): 予測もコントロールも高い。従来型の「計画を立てて実行する」アプローチ。
アダプティブ(適応型): 予測は低いが、起きたことに柔軟に対応(ピボット)する。
ビジョナリー(先見型): 高い予測に基づき、周囲を巻き込んでビジョンを実現する。
エフェクチュアル(共創型): 未来は予測不能であるという前提に立ち、自分たちが「コントロールできる手持ちの資源」を使って、未来を共創する。
■未来を創り出す「5つの原則」
エフェクチュエーションには、具体的な5つの行動原則があります。これはビジネスだけでなく、私たちの人生設計にもそのまま応用できるものです。
①バード・イン・ハンド(手中の鳥): 「自分は何者か」「何を知っているか」「誰を知っているか」という、今ある手持ちの資源から始める。
②アフォーダブル・ロス(許容可能な損失): 「いくら儲かるか」ではなく、「失敗してもこれなら痛くない」という範囲で投資する。
③クレイジーキルト(パートナーシップ): 競争ではなく、協力してくれる人たちと布を縫い合わせるように関係を築く。
④レモネード(偶然の活用): 予期せぬトラブル(レモン)を、新たな機会(レモネード)に変えて歓迎する。
⑤パイロット・イン・ザ・プレーン(飛行機のパイロット): 未来を予測するのではなく、自分が操縦桿を握り、状況に応じて進路を決めていく。
■「エモーショナル・オーナーシップ」という主体性
パネルディスカッションで最も印象的だったのは、オーナーシップの再定義でした。
従来の「これは自分のものだから好きにする(権利)」という所有観から、「この問題は自分に関係があり、放っておけない(責任)」という感情を伴った責任感へのシフト。これを「エモーショナル・オーナーシップ」と呼びます。
「一緒に学びませんか」「この未来を共に創りませんか」
そう周囲に呼びかけるための土台は、この内発的な動機にあります。これが単なる「わがまま」を「共創の提案」へと変え、他者のコミットメントを引き出す信頼の源泉となるのです。
■AI時代、人間ならではの価値を守るために
急激に進化するAI。人手不足の日本においてAI活用は必然ですが、教授は一つの警鐘を鳴らしました。
それは、AIに頼りすぎることで人間が「自分のもの」という感覚(主体性)を失ってしまう危険性です。
例えば、ワインテイスティング。AIなら一瞬で銘柄を当てますが、人間が「これはどこのワインだろう?」と自分の感覚を動員して悩むプロセスそのものに、喜びとオーナーシップがあります。
AIを導入する際、私たちは以下の3つの評価軸を持つべきだ、と示されました。
・自律性(Autonomy)を向上させているか?
・経験(Experience)を豊かにしているか?
・自分の時間へのコントロールを奪っていないか?
■私たちは、自分の人生の「パイロット」になれる
未来は、一部の専門家やテクノロジーから決められるものではない。
アントレプレナーシップとは、起業家という「職業」のことではなく、「自分の人生、そして社会の未来に対してエモーショナル・オーナーシップを持ち、操縦桿を握る姿勢」のことです。まさにキャリアですね。
完璧な予測ができなくても大丈夫。今、手元にあるもの(バード・イン・ハンド)を眺め、許容できる範囲(アフォーダブル・ロス)で、最初の一歩を踏み出してみる。
私たち一人ひとりが、不確実な未来を誰かと共に創り出す「パイロット」になれる。そんな勇気を会場の皆さんと共有したシンポジウムでした。
そこで語られたのは、不確実な時代を生き抜くための強力な思考法「エフェクチュエーション(Effectuation)」と、私たちの主体性を取り戻すための「エモーショナル・オーナーシップ」という希望に満ちた概念でした。
世界的な起業家研究の第一人者、サラス・サラスバシー教授の講演とパネルディスカッションの内容を、これからの時代を生きる私たちの指針としてレポートします。
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■アントレプレナーシップの民主化:誰もが「価値」を作れる世界へ
サラスバシー教授は、まず「アントレプレナーシップ(起業家精神)の民主化」という、壮大な視点から話を始めました。
かつて科学が「一部の特権階級のもの」から「誰もが学び、活用できるメソッド」へと民主化されたことで、現代の中間層の繁栄がもたらされました。それと同じように、ビジネスや価値創造のメソッドを民主化し、誰もが学べるものにする。これが教授の掲げるビジョンです。
特に、現在のスタートアップ支援が「ユニコーン(巨大企業)」に偏りすぎている現状に対し、経済の土台を支える「中間層ビジネス」を厚くすることの重要性が強調されました。
■不確実性を乗りこなす「CASEフレームワーク」
熟練した起業家は、未来をどう捉えているのでしょうか?教授は、「予測」と「コントロール」という2つの軸で整理したフレームワークを提示しました。
コーザル(計画型): 予測もコントロールも高い。従来型の「計画を立てて実行する」アプローチ。
アダプティブ(適応型): 予測は低いが、起きたことに柔軟に対応(ピボット)する。
ビジョナリー(先見型): 高い予測に基づき、周囲を巻き込んでビジョンを実現する。
エフェクチュアル(共創型): 未来は予測不能であるという前提に立ち、自分たちが「コントロールできる手持ちの資源」を使って、未来を共創する。
■未来を創り出す「5つの原則」
エフェクチュエーションには、具体的な5つの行動原則があります。これはビジネスだけでなく、私たちの人生設計にもそのまま応用できるものです。
①バード・イン・ハンド(手中の鳥): 「自分は何者か」「何を知っているか」「誰を知っているか」という、今ある手持ちの資源から始める。
②アフォーダブル・ロス(許容可能な損失): 「いくら儲かるか」ではなく、「失敗してもこれなら痛くない」という範囲で投資する。
③クレイジーキルト(パートナーシップ): 競争ではなく、協力してくれる人たちと布を縫い合わせるように関係を築く。
④レモネード(偶然の活用): 予期せぬトラブル(レモン)を、新たな機会(レモネード)に変えて歓迎する。
⑤パイロット・イン・ザ・プレーン(飛行機のパイロット): 未来を予測するのではなく、自分が操縦桿を握り、状況に応じて進路を決めていく。
■「エモーショナル・オーナーシップ」という主体性
パネルディスカッションで最も印象的だったのは、オーナーシップの再定義でした。
従来の「これは自分のものだから好きにする(権利)」という所有観から、「この問題は自分に関係があり、放っておけない(責任)」という感情を伴った責任感へのシフト。これを「エモーショナル・オーナーシップ」と呼びます。
「一緒に学びませんか」「この未来を共に創りませんか」
そう周囲に呼びかけるための土台は、この内発的な動機にあります。これが単なる「わがまま」を「共創の提案」へと変え、他者のコミットメントを引き出す信頼の源泉となるのです。
■AI時代、人間ならではの価値を守るために
急激に進化するAI。人手不足の日本においてAI活用は必然ですが、教授は一つの警鐘を鳴らしました。
それは、AIに頼りすぎることで人間が「自分のもの」という感覚(主体性)を失ってしまう危険性です。
例えば、ワインテイスティング。AIなら一瞬で銘柄を当てますが、人間が「これはどこのワインだろう?」と自分の感覚を動員して悩むプロセスそのものに、喜びとオーナーシップがあります。
AIを導入する際、私たちは以下の3つの評価軸を持つべきだ、と示されました。
・自律性(Autonomy)を向上させているか?
・経験(Experience)を豊かにしているか?
・自分の時間へのコントロールを奪っていないか?
■私たちは、自分の人生の「パイロット」になれる
未来は、一部の専門家やテクノロジーから決められるものではない。
アントレプレナーシップとは、起業家という「職業」のことではなく、「自分の人生、そして社会の未来に対してエモーショナル・オーナーシップを持ち、操縦桿を握る姿勢」のことです。まさにキャリアですね。
完璧な予測ができなくても大丈夫。今、手元にあるもの(バード・イン・ハンド)を眺め、許容できる範囲(アフォーダブル・ロス)で、最初の一歩を踏み出してみる。
私たち一人ひとりが、不確実な未来を誰かと共に創り出す「パイロット」になれる。そんな勇気を会場の皆さんと共有したシンポジウムでした。
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