#233【レポート】安斎勇樹さん『静かな時間の使い方』読書会
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オンラインの昼スナで、安斎勇樹さんをお招きし、最新刊『静かな時間の使い方』の読書会を開きました。安斎さんは組織開発を行う株式会社MIMIGURI代表で、『問いのデザイン』『問いかけの作法』『冒険する組織のつくり方』などの著者です。
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「世界はうるさい」。スマホやPCから通知が鳴りやまず、SNSの声に翻弄され、気づけば一日が"反応すること"で終わっている——この本はそんな現代人に向けて、「独りきりで深く考える時間」を取り戻すための技法を体系化した本です。「感情」「技術」「興味」の3つのレンズで自分を内省(リフレクション)することで、思考の解像度を上げ、主体的な人生を取り戻すことを提案しています。
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■前半:安斎さんの講義
まずは本の出版のきっかけについて。
朝日新聞出版の若い編集者さんから依頼をもらった時、最初は「なぜ自分が時間の使い方を書く?」と断りかけた。が、依頼文をよく読むと「安斎さんのnoteのリフレクション論が面白い。これを時間の棚に乗せて書いてほしい」という提案だった。
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「静けさ」を語るために必要だったのは、対置概念。そこで生まれたのが「ソーシャルノイズ」という言葉でした。ソーシャルノイズには3種類あります。
①社会の規範(正しくあれ、普通であれ、ルールから噛み出すな)
②市場のスコア(売上、年収、フォロワー数、再生回数)
④共同体の空気(マネージャーならこう振る舞え。母親ならこれをやって当然)
私たちを誘惑して抑圧してくるこれらのノイズを6タイプに整理した図が掲載されていますが、これは安斎さんが健康のために水中ウォーキングをしに通っている区民プールのプールサイドでメモして、AIと壁打ちしながら生まれたといいます。
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「やらかしたときの反省はみんな得意なんです。反省文もすらすら書けるし、頭もすぐ下げられる。でもリフレクションは違います。ノイズから離れて、自分の大事にしているものを見つめ直すことなんです」
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安斎さんのキャリアを貫くテーマは一つ。
人は常に、自分を取り囲む環境や人間関係に、ポテンシャルを抑圧され続けている。そのポテンシャルとは、社会的に評価される才能のことではなく、その人の中に眠っている衝動や興味、個性としての才能のこと(漏れですね!)。それを環境の力で、他者の力で、あるいは自分自身の力で、どうやって解き放てるのか——20代のワークショップ論から始まり、問いのデザイン、組織論、そしてこの本へ、ずっと探求してきた。
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教育哲学者・ジョン・デューイの言葉も紹介してくれました。「Stop to think quiet——立ち止まって静かに考える」。経験は大事だけれど、経験し続けるだけではダメで、立ち止まってリフレクションすることが経験の質を高める。そしてデューイは、現代の学校教育が生徒の衝動に蓋をしたまま「主体的になれ」と言っていることの矛盾を、百年前にすでに指摘していたと。
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■後半:質疑応答
後半は参加者からの質問に応えていただきました。
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Q.「なぜ『使い方』というタイトルなのか
A.この本はリフレクションの方法を伝えている。ソーシャルノイズにリアクションしなくてもいい時間をまず確保した上で、その時間をリフレクションに使ってほしい——だから「使い方」なのだ。さらに、リフレクションを深めていくと、自分が何を大事にしているかが見えてきて、ソーシャルノイズに対する免疫が強くなる。結果として、静かな時間がより作れるようになっていく。だからこの本は、実は「静かな時間の作り方」でもある。
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Q.自己肯定感が高くない子どもへのリフレクション支援は?
A.リフレクションをさせようとすること自体、難しい。それよりも、先生だから見えるその子の価値の手がかりをたくさん渡してあげることが大事。
規範的な褒め方ではなく「スコアは低いけど、ここがいい」「こういう解釈もできる」という、本人にとって意外なフィードバックをすること。そういう言葉が後々の物語の材料になる——安斎さん自身も、大学院1年生の時に先輩から「安斎ってリフレクションがうまいよね」と言われたことが、15年越しにこの本を書く起点になった。
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Q.ソーシャルノイズと社会課題——解釈の力で変わるか?
A.個人の範囲内では、解釈を変えることで問題のダメージを緩和したり、前向きに捉え直すことができる。でも、地球温暖化や戦争のような構造的な問題は起きなかったことにはできない。ただ、集団の物語が書き換わった時に、人々が一致団結して行動できるようになることはある。不快な現実をしっかり見た上で、集団のリフレクションの力で大きな物語を更新していくことに可能性がある。
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Q. チームで静かな時間を作るときに気を付ける点は?その啓蒙自体がソーシャルノイズになりませんか?
A. MIMIGURIでの実践例。全社総会で突然「今から2時間、静かな時間を取ります。スラックは見ないで」と言って、みんなが各自の場所で過ごす時間をつくった。2時間寝てしまった人もいたけど、それでOK。集団での一時停止ができたことが良かった。
社内で部門ごとのカレンダーのリズムを揃えることで、自然と静かな時間が生まれやすくなる、という方法もある。
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今回、参加のお声がけをさせていただいたのは教育者の方たちでした。学校という狭いコミュニティの中でノイズにさらされ続けることで、心も体も傷ついてしまう子供たちがいます。安心していられる場所がないと感じている子ども多さ、自殺率の高さに心が痛みます。
静かな時間を作る、自分の心の声を聞くことができる技術や習慣を知ることができたら、きっと助けになるだろうと思います。生徒さんたちと日々接している先生方にとっても大切な知識であるし、結果的に社会に一番レバレッジが効くんじゃないかという思いがあります。
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ほかに大学生や教育にかかわる経営者、そして私の子どもも参加してくれて、異なる角度からの質問にもたっぷり答えていただき、豊かな学びの時間、すぐそばに安斎さんがいるような距離感の幸せな読書会でした。
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(私のファンミにお付き合いいただき、参加者の皆様には感謝ばかりです…)
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私がこの本からいただいた最も大きなインパクトは、昼スナという場が、私にとって何だったのかを改めて言葉にできたことでした。
「役に立たなくてもいい」というお店の名前は、ソーシャルノイズのボリュームを下げるという意味だった。
昼スナは、私にとって静かな時間をつくる場所であり、来てくださるお客さんが一時的にノイズキャンセリングするための装置だった。
そして、私の探究テーマである「漏れ活」の実践フィールドが、お客さんたちのおかげで日々進化している——そんなことが言語化されました。
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ゴールデンウィークにこの本を使ってリフレクションをした時のことを
Voicy#212「他人の声で生きることをやめ、自分で人生の手綱を取り戻すための本」
https://voicy.jp/channel/821343/7757298
(https://note.com/afsocialgood/n/n414775d43ec5)
で放送しておりますので、よかったらこちらもお聞きいただければ幸いです。
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「世界はうるさい」。スマホやPCから通知が鳴りやまず、SNSの声に翻弄され、気づけば一日が"反応すること"で終わっている——この本はそんな現代人に向けて、「独りきりで深く考える時間」を取り戻すための技法を体系化した本です。「感情」「技術」「興味」の3つのレンズで自分を内省(リフレクション)することで、思考の解像度を上げ、主体的な人生を取り戻すことを提案しています。
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■前半:安斎さんの講義
まずは本の出版のきっかけについて。
朝日新聞出版の若い編集者さんから依頼をもらった時、最初は「なぜ自分が時間の使い方を書く?」と断りかけた。が、依頼文をよく読むと「安斎さんのnoteのリフレクション論が面白い。これを時間の棚に乗せて書いてほしい」という提案だった。
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「静けさ」を語るために必要だったのは、対置概念。そこで生まれたのが「ソーシャルノイズ」という言葉でした。ソーシャルノイズには3種類あります。
①社会の規範(正しくあれ、普通であれ、ルールから噛み出すな)
②市場のスコア(売上、年収、フォロワー数、再生回数)
④共同体の空気(マネージャーならこう振る舞え。母親ならこれをやって当然)
私たちを誘惑して抑圧してくるこれらのノイズを6タイプに整理した図が掲載されていますが、これは安斎さんが健康のために水中ウォーキングをしに通っている区民プールのプールサイドでメモして、AIと壁打ちしながら生まれたといいます。
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「やらかしたときの反省はみんな得意なんです。反省文もすらすら書けるし、頭もすぐ下げられる。でもリフレクションは違います。ノイズから離れて、自分の大事にしているものを見つめ直すことなんです」
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安斎さんのキャリアを貫くテーマは一つ。
人は常に、自分を取り囲む環境や人間関係に、ポテンシャルを抑圧され続けている。そのポテンシャルとは、社会的に評価される才能のことではなく、その人の中に眠っている衝動や興味、個性としての才能のこと(漏れですね!)。それを環境の力で、他者の力で、あるいは自分自身の力で、どうやって解き放てるのか——20代のワークショップ論から始まり、問いのデザイン、組織論、そしてこの本へ、ずっと探求してきた。
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教育哲学者・ジョン・デューイの言葉も紹介してくれました。「Stop to think quiet——立ち止まって静かに考える」。経験は大事だけれど、経験し続けるだけではダメで、立ち止まってリフレクションすることが経験の質を高める。そしてデューイは、現代の学校教育が生徒の衝動に蓋をしたまま「主体的になれ」と言っていることの矛盾を、百年前にすでに指摘していたと。
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■後半:質疑応答
後半は参加者からの質問に応えていただきました。
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Q.「なぜ『使い方』というタイトルなのか
A.この本はリフレクションの方法を伝えている。ソーシャルノイズにリアクションしなくてもいい時間をまず確保した上で、その時間をリフレクションに使ってほしい——だから「使い方」なのだ。さらに、リフレクションを深めていくと、自分が何を大事にしているかが見えてきて、ソーシャルノイズに対する免疫が強くなる。結果として、静かな時間がより作れるようになっていく。だからこの本は、実は「静かな時間の作り方」でもある。
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Q.自己肯定感が高くない子どもへのリフレクション支援は?
A.リフレクションをさせようとすること自体、難しい。それよりも、先生だから見えるその子の価値の手がかりをたくさん渡してあげることが大事。
規範的な褒め方ではなく「スコアは低いけど、ここがいい」「こういう解釈もできる」という、本人にとって意外なフィードバックをすること。そういう言葉が後々の物語の材料になる——安斎さん自身も、大学院1年生の時に先輩から「安斎ってリフレクションがうまいよね」と言われたことが、15年越しにこの本を書く起点になった。
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Q.ソーシャルノイズと社会課題——解釈の力で変わるか?
A.個人の範囲内では、解釈を変えることで問題のダメージを緩和したり、前向きに捉え直すことができる。でも、地球温暖化や戦争のような構造的な問題は起きなかったことにはできない。ただ、集団の物語が書き換わった時に、人々が一致団結して行動できるようになることはある。不快な現実をしっかり見た上で、集団のリフレクションの力で大きな物語を更新していくことに可能性がある。
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Q. チームで静かな時間を作るときに気を付ける点は?その啓蒙自体がソーシャルノイズになりませんか?
A. MIMIGURIでの実践例。全社総会で突然「今から2時間、静かな時間を取ります。スラックは見ないで」と言って、みんなが各自の場所で過ごす時間をつくった。2時間寝てしまった人もいたけど、それでOK。集団での一時停止ができたことが良かった。
社内で部門ごとのカレンダーのリズムを揃えることで、自然と静かな時間が生まれやすくなる、という方法もある。
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今回、参加のお声がけをさせていただいたのは教育者の方たちでした。学校という狭いコミュニティの中でノイズにさらされ続けることで、心も体も傷ついてしまう子供たちがいます。安心していられる場所がないと感じている子ども多さ、自殺率の高さに心が痛みます。
静かな時間を作る、自分の心の声を聞くことができる技術や習慣を知ることができたら、きっと助けになるだろうと思います。生徒さんたちと日々接している先生方にとっても大切な知識であるし、結果的に社会に一番レバレッジが効くんじゃないかという思いがあります。
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ほかに大学生や教育にかかわる経営者、そして私の子どもも参加してくれて、異なる角度からの質問にもたっぷり答えていただき、豊かな学びの時間、すぐそばに安斎さんがいるような距離感の幸せな読書会でした。
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(私のファンミにお付き合いいただき、参加者の皆様には感謝ばかりです…)
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私がこの本からいただいた最も大きなインパクトは、昼スナという場が、私にとって何だったのかを改めて言葉にできたことでした。
「役に立たなくてもいい」というお店の名前は、ソーシャルノイズのボリュームを下げるという意味だった。
昼スナは、私にとって静かな時間をつくる場所であり、来てくださるお客さんが一時的にノイズキャンセリングするための装置だった。
そして、私の探究テーマである「漏れ活」の実践フィールドが、お客さんたちのおかげで日々進化している——そんなことが言語化されました。
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ゴールデンウィークにこの本を使ってリフレクションをした時のことを
Voicy#212「他人の声で生きることをやめ、自分で人生の手綱を取り戻すための本」
https://voicy.jp/channel/821343/7757298
(https://note.com/afsocialgood/n/n414775d43ec5)
で放送しておりますので、よかったらこちらもお聞きいただければ幸いです。
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フィッシュ 明子
- 00:161.
タイトルコール
- 01:253.
「静かな時間の使い方」を使ってのリフレクションレポートはリンクから
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