#241「性のケアは、心のケア」新しい性の公共をつくる一般社団法人ホワイトハンズ
07:55
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自力での射精が困難な重度身体障害者に対する「射精介助サービス」を提供している一般社団法人ホワイトハンズは、「新しい性の公共をつくる」を掲げる団体です。
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脳性まひやALS、筋ジストロフィーなど重度身体障害のある男性への射精介助マッチングを中心に、知的障害・発達障害の子どもたちへの性教育、そして障害者の性に関する研修や情報発信など、性という切り口から幅広く「自尊心」と「QOL」に向き合い続けています。
2008年に新潟ではじまり、現在は京都市伏見区を拠点に活動しておられるホワイトハンズの事務所を訪問してきました。
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訪問が実現したのは、ラオスで障害者や女性の自立支援を行うNPO「Support for Women's Happiness」を主催する石原ゆりなさんのおかげです。同メンバーである池下カナさんに加えて、サッカー日本代表チームのスポーツドクターである山藤賢さん、そして企業で社会貢献活動をされている林淳一さんにもご一緒いただきました。
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■性のケアは心のケア
重度障害者施設で働いた私も「障害者の性」という言葉を目にすると、どこかで視線をそらしたくなる思いがありましたが、代表の菅原保秀さんはこう語ってくれました。
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「性のケアは性欲のケアでなく、自尊心をはじめとする心のケアです」
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菅原さんご自身も脳性まひで身体障害がある当事者。利用者として坂爪真吾前代表と出会い、2024年4月から代表に就任されています。
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射精介助というサービスは誤解されやすい。
アダルトビデオ的なイメージで語られることも少なくないし、「性的搾取だ」と憤る声もある。でも実態はまるで違います。
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対象は、筋萎縮や麻痺により自力でのマスターベーションができない重度身体障害者のみ。ALS、筋ジストロフィー、パーキンソン病など、対象となる疾患は細かく定められています。脊髄損傷や頸椎損傷は対象外で、知的障害・発達障害・精神障害も対象外です。障害があればだれでも利用できるわけではありません。
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スタッフに触れることも、脱衣を求めることも禁止。完全会員制・予約制で、運営は寄付で成り立っています。
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これだけ厳格に設計されているのは、「性に関する尊厳と自立を保障する」という目的がぶれていないからです。
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■障害者の性を考えることは、自分の性を顧みること
障害者の性の問題は、ずっと「個人の問題」として扱われてきました。
恋愛に憧れること、性行為を望むことは、ごく自然なこと。でも障害者がそれを口にすると、緊張感が生まれます。
菅原さんはそれを「障害者の性に合わせて社会を変えるのではなく、社会に合わせて障害者の性を変えようとしてきた歴史」と表現していました。優生保護法がなくなっても、その空気は変わっていない、と。
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知的障害者の性のトラブルの多くは、性教育の不十分さや日常生活の不安が原因だと菅原さんは言います。問題が起きてから対処するのではなく、背景に目を向けることが大切だ、と。
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設立当初から団体が一貫して問い続けてきたのは、「前提を疑う」ということでした。
「障害者が風俗に行く是非」という論争がかつてあったそうです。「性的欲求を満たす権利がある」vs「買春は女性差別だ」。
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本来問うべきは「なぜ恋愛と風俗の2択しかないのか」ではないか。
間違った前提のまま議論しても、答えは出ない。だからこそ、介助という第三の選択肢をゼロから作ることにしたのが、ホワイトハンズです。
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「障害者の性を考えることは、自分の性を顧みることにつながる」と菅原さん。
他者の問題として遠ざけてきたものが、実は自分自身の問題でもある。
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高齢になっても、病気になっても、性に関する悩みの本質はかわらない、とも。これは障害者だけの話ではありません。年齢を重ねても、身体が変わっても、人は性とともに生きている。
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そう考えると、ホワイトハンズが掲げる「性の公共」という言葉の意味が分かる気がします。性を「個人の恥ずかしいこと」として密室に押し込めるのではなく、社会みんなで考え、支え合うべき問題として開いていく。
これは私の探求テーマである「自分のマイノリティ性を理解したほどにしか、他者を理解することはできない」に深く通じるものがあります。
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■困難さに踏み込んでいく勇気
ただ、この活動を続けることがいかに難しいか、という課題もあります。
「障害者」と「性」という二つの要素が重なるこの領域は、NPOの事業としては極めて困難な環境に置かれています。かつて、NPO法人の設立申請そのものを不認証にされた、という経緯も。助成金はほとんど取れない。行政の委託事業にもなりづらい。個人・法人からの寄付も集まりにくい。さらに事業の性質上、風営法の問題も絡んでくるといいます。
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だからこそ、誤解や偏見にさらされ誰もが近づきづらいと感じてきたエリアに、それでも踏み込んでいく活動の勇気に、敬意を覚えます。
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菅原さんのスリリングなユーモアのセンスに、私たちも笑いがたえない時間でした。
長時間のインタビューにご対応いただきありがとうございました。
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脳性まひやALS、筋ジストロフィーなど重度身体障害のある男性への射精介助マッチングを中心に、知的障害・発達障害の子どもたちへの性教育、そして障害者の性に関する研修や情報発信など、性という切り口から幅広く「自尊心」と「QOL」に向き合い続けています。
2008年に新潟ではじまり、現在は京都市伏見区を拠点に活動しておられるホワイトハンズの事務所を訪問してきました。
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訪問が実現したのは、ラオスで障害者や女性の自立支援を行うNPO「Support for Women's Happiness」を主催する石原ゆりなさんのおかげです。同メンバーである池下カナさんに加えて、サッカー日本代表チームのスポーツドクターである山藤賢さん、そして企業で社会貢献活動をされている林淳一さんにもご一緒いただきました。
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■性のケアは心のケア
重度障害者施設で働いた私も「障害者の性」という言葉を目にすると、どこかで視線をそらしたくなる思いがありましたが、代表の菅原保秀さんはこう語ってくれました。
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「性のケアは性欲のケアでなく、自尊心をはじめとする心のケアです」
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菅原さんご自身も脳性まひで身体障害がある当事者。利用者として坂爪真吾前代表と出会い、2024年4月から代表に就任されています。
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射精介助というサービスは誤解されやすい。
アダルトビデオ的なイメージで語られることも少なくないし、「性的搾取だ」と憤る声もある。でも実態はまるで違います。
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対象は、筋萎縮や麻痺により自力でのマスターベーションができない重度身体障害者のみ。ALS、筋ジストロフィー、パーキンソン病など、対象となる疾患は細かく定められています。脊髄損傷や頸椎損傷は対象外で、知的障害・発達障害・精神障害も対象外です。障害があればだれでも利用できるわけではありません。
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スタッフに触れることも、脱衣を求めることも禁止。完全会員制・予約制で、運営は寄付で成り立っています。
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これだけ厳格に設計されているのは、「性に関する尊厳と自立を保障する」という目的がぶれていないからです。
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■障害者の性を考えることは、自分の性を顧みること
障害者の性の問題は、ずっと「個人の問題」として扱われてきました。
恋愛に憧れること、性行為を望むことは、ごく自然なこと。でも障害者がそれを口にすると、緊張感が生まれます。
菅原さんはそれを「障害者の性に合わせて社会を変えるのではなく、社会に合わせて障害者の性を変えようとしてきた歴史」と表現していました。優生保護法がなくなっても、その空気は変わっていない、と。
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知的障害者の性のトラブルの多くは、性教育の不十分さや日常生活の不安が原因だと菅原さんは言います。問題が起きてから対処するのではなく、背景に目を向けることが大切だ、と。
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設立当初から団体が一貫して問い続けてきたのは、「前提を疑う」ということでした。
「障害者が風俗に行く是非」という論争がかつてあったそうです。「性的欲求を満たす権利がある」vs「買春は女性差別だ」。
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本来問うべきは「なぜ恋愛と風俗の2択しかないのか」ではないか。
間違った前提のまま議論しても、答えは出ない。だからこそ、介助という第三の選択肢をゼロから作ることにしたのが、ホワイトハンズです。
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「障害者の性を考えることは、自分の性を顧みることにつながる」と菅原さん。
他者の問題として遠ざけてきたものが、実は自分自身の問題でもある。
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高齢になっても、病気になっても、性に関する悩みの本質はかわらない、とも。これは障害者だけの話ではありません。年齢を重ねても、身体が変わっても、人は性とともに生きている。
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そう考えると、ホワイトハンズが掲げる「性の公共」という言葉の意味が分かる気がします。性を「個人の恥ずかしいこと」として密室に押し込めるのではなく、社会みんなで考え、支え合うべき問題として開いていく。
これは私の探求テーマである「自分のマイノリティ性を理解したほどにしか、他者を理解することはできない」に深く通じるものがあります。
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■困難さに踏み込んでいく勇気
ただ、この活動を続けることがいかに難しいか、という課題もあります。
「障害者」と「性」という二つの要素が重なるこの領域は、NPOの事業としては極めて困難な環境に置かれています。かつて、NPO法人の設立申請そのものを不認証にされた、という経緯も。助成金はほとんど取れない。行政の委託事業にもなりづらい。個人・法人からの寄付も集まりにくい。さらに事業の性質上、風営法の問題も絡んでくるといいます。
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だからこそ、誤解や偏見にさらされ誰もが近づきづらいと感じてきたエリアに、それでも踏み込んでいく活動の勇気に、敬意を覚えます。
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菅原さんのスリリングなユーモアのセンスに、私たちも笑いがたえない時間でした。
長時間のインタビューにご対応いただきありがとうございました。
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フィッシュ 明子
- 00:161.
タイトルコール
- 07:392.
障害者の性を考えることは、自分の性を顧みること
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私が勤めていた重度障害者施設では、利用者さんの恋愛や結婚に関する話題は徹底的に避けるというポリシーでした。ご家族のご希望もあります。
性の話題を尊厳の話題と捉えられるような、対話の場があったらいいなと感じました。