#256【レポート】発達スナック8杯目/発達障害×認知症 古川信之さん
52:46
141再生
6月28日(日)、発達スナック8杯目を開催しました。今回のテーマは「認知症×発達障害」。ゲストとして、認知症の専門家で作業療法士、福岡県のオレンジチューターでもある古川信之さんをお迎えしました。
ㅤㅤ
■発達スナックお作法
主催は、通信大学に通いながら高校の国語の先生を目指している大学3年生の中井健人さん。ADHD・ASD・LD(学習障害)という発達障害と、脳性麻痺という身体障害の当事者です。
ㅤㅤ
発達スナックは、困りごとを一方的に聞いてもらう講演会ではなく、当事者もそうでない人も関係なく、ざっくばらんに話しながら分断の壁を崩していく場を目指しています。大事にしてほしいことはこの3つ。
- 正しさを押し付けないこと
- 疲れたら途中で帰ってもいいこと
- 沈黙もOKであること
ㅤㅤ
ㅤㅤ
■なぜ認知症の専門家?
けんとさんは先日、古川さんの講演会に参加した際、認知症の方の困りごとを聞いて、大変共感したといいます。
ㅤㅤ
具体例として挙げられたのが靴のエピソードです。中井さんは身体障害の影響で内反(うちわ)気味の足のため、なかなか合う靴が見つからずクロックスで冬を我慢していたところ、「介護靴」を調べたらすぐに見つかり、身体障害を持つ自分にもとても助かったという経験がありました。分野は違っても、実は共通して助けになることがあるのではないか、という気づきが今回の企画につながったそうです。
ㅤㅤ
■意外と知らない認知症の定義
古川さんはもともとは脳出血や骨折などで身体に後遺症が出た方のリハビリを担当し、高齢の患者さんが多かったことから認知症の勉強を始めました。現在は福岡県のオレンジチューターとして、自治体などで認知症に関する取り組みを伝える役割も担っています。
ㅤㅤ
認知症の定義について、専門職でも意外と知らない人がいるといいます。「一旦正常に発達した認知機能が、脳の病気などの影響を受けて持続的に低下し、かつ生活に影響が出ている状態」というのが正式な定義で、認知機能が下がっても生活に影響が出ていない状態はMCI(認知症予備軍)と呼ばれます。日本全体でおよそ440万人、高齢者の認知症だけで見ると約400万人と言われています。
ㅤㅤ
また、「認知症」はひとつの病名ではなく、原因となる病気は70〜100種類ほどあり、その中でよく知られるアルツハイマー型は代表的なもののひとつに過ぎません。
ㅤㅤ
ㅤㅤ
■発達障害と認知症、共通する困りごと
古川さんは、高齢者分野が専門で発達障害の方と直接関わることは多くないとしつつも、中井さんと話す中で共通点を感じたといいます。
ㅤㅤ
- パッと見ではわからないこと(地図を持って迷っている高齢者が、単に道がわからないだけなのか認知症なのかは外見だけでは判断できない)
- できることがしっかりあること(10分前の会話を忘れる人でも、道具を渡せばトイレ掃除が上手にできたりする)
- 好きなもの・こだわりなど、その人らしさがあること
- 生活の中のちょっとした工夫で便利になること(手帳やスマホのアラームを活用してスケジュールや服薬を管理できるようになった例)
ㅤㅤ
けんとさんいわく「できないこと」を解決しようとする視点が、実は多くの人の助けになることがある。例えばAIの読み上げ機能を、文字が読みづらいときの代読として使っていたところ、多言語対応の翻訳機としても便利だと周囲から反応をもらった経験です。
けんとさんもかつて、30人の教室では集中できなかったのが、保健室で一人で勉強するようになると驚くほどスラスラ問題が解けるようになった。「社会があっての障害」であり、環境が変わることで障害でなくなることがある。
古川さんからも、スマホのエージェント機能などのテクノロジーが、初期の認知症の方の記憶を補う助けになる可能性があるという話がありました。
ㅤㅤ
ㅤㅤ
■境界の難しさ
参加者との対話では、発達障害の線引きの難しさについて語られました。骨折のように誰が見ても明らかな状態と違い、発達障害は「その特性を自分たちも多かれ少なかれ持っているのではないか」と感じる部分があり、時代とともに定義も変わってきている。
ㅤㅤ
また、後天的に発達障害のような症状が出るケースについて。バリバリ働いていた人が、ある時期から急に物忘れが増え、精査すると若年性認知症だったというケースもあり、発達障害と認知症の境界が実務上はグラデーションになっているこ。うつ病だと思われていたら実は認知症だった、というケースがある一方、認知症だと診断されてショックのあまり布団から出られなくなった方の例も紹介されました。
ㅤㅤ
ㅤㅤ
■「その人らしさ」は変わらない
古川さんが強調していたのは、認知症になっても、その人自身が変わるわけではないということです。日付や約束事は忘れても、洗濯や歯磨きなど身体で覚えた動作はしっかりできる人が多く、編み物などの手仕事が得意な方も少なくないといいます。ゴルフが好きだった人はゴルフが好きなまま。昔好きだった映画を見ると喜ぶ。
ㅤㅤ
古川さんは認知症の方が刺し子などで作った雑貨を販売する取り組みをされています。新しい記憶を作るのは苦手でも、古い記憶や手の動きは残っていることが多く、出品したことや金額を忘れていても、働くことによる満足感は残る。
ㅤㅤ
かつては「認知症になったら本人は何もわからないから、家族がすべて決める」という考え方が主流でしたが、最近は当事者と一緒に何ができるかを考えていく、という新しい認知症観に変わってきているという言葉が印象的でした。
ㅤㅤ
ㅤㅤ
ㅤㅤ
■次回予告
次回は7月19日(日)、昼スナで「発達スナック9回目」を開催します。今回のテーマはズバリ【発達障害×AI活用】。
ㅤㅤ
けんとさんは普段から、自分の特性のデコボコを「無理に補う」というよりは、「いかに自分が楽をするか」のためにAIを使い倒しているそうです。そのコツをたくさん伝授していただきます。
ㅤㅤ
発達スナック9杯目
■日時:7月19日(日)14:00〜16:00
■場所:中洲 昼スナ「役にたたなくてもいい場所」(福岡市博多区中洲2丁目7-5 第3タワービル2階 bar Day-Break)
■参加費:ドリンクオーダー+1,000円
▼詳細・お申し込み
https://hattatu9.peatix.com/view
ㅤㅤ
■発達スナックお作法
主催は、通信大学に通いながら高校の国語の先生を目指している大学3年生の中井健人さん。ADHD・ASD・LD(学習障害)という発達障害と、脳性麻痺という身体障害の当事者です。
ㅤㅤ
発達スナックは、困りごとを一方的に聞いてもらう講演会ではなく、当事者もそうでない人も関係なく、ざっくばらんに話しながら分断の壁を崩していく場を目指しています。大事にしてほしいことはこの3つ。
- 正しさを押し付けないこと
- 疲れたら途中で帰ってもいいこと
- 沈黙もOKであること
ㅤㅤ
ㅤㅤ
■なぜ認知症の専門家?
けんとさんは先日、古川さんの講演会に参加した際、認知症の方の困りごとを聞いて、大変共感したといいます。
ㅤㅤ
具体例として挙げられたのが靴のエピソードです。中井さんは身体障害の影響で内反(うちわ)気味の足のため、なかなか合う靴が見つからずクロックスで冬を我慢していたところ、「介護靴」を調べたらすぐに見つかり、身体障害を持つ自分にもとても助かったという経験がありました。分野は違っても、実は共通して助けになることがあるのではないか、という気づきが今回の企画につながったそうです。
ㅤㅤ
■意外と知らない認知症の定義
古川さんはもともとは脳出血や骨折などで身体に後遺症が出た方のリハビリを担当し、高齢の患者さんが多かったことから認知症の勉強を始めました。現在は福岡県のオレンジチューターとして、自治体などで認知症に関する取り組みを伝える役割も担っています。
ㅤㅤ
認知症の定義について、専門職でも意外と知らない人がいるといいます。「一旦正常に発達した認知機能が、脳の病気などの影響を受けて持続的に低下し、かつ生活に影響が出ている状態」というのが正式な定義で、認知機能が下がっても生活に影響が出ていない状態はMCI(認知症予備軍)と呼ばれます。日本全体でおよそ440万人、高齢者の認知症だけで見ると約400万人と言われています。
ㅤㅤ
また、「認知症」はひとつの病名ではなく、原因となる病気は70〜100種類ほどあり、その中でよく知られるアルツハイマー型は代表的なもののひとつに過ぎません。
ㅤㅤ
ㅤㅤ
■発達障害と認知症、共通する困りごと
古川さんは、高齢者分野が専門で発達障害の方と直接関わることは多くないとしつつも、中井さんと話す中で共通点を感じたといいます。
ㅤㅤ
- パッと見ではわからないこと(地図を持って迷っている高齢者が、単に道がわからないだけなのか認知症なのかは外見だけでは判断できない)
- できることがしっかりあること(10分前の会話を忘れる人でも、道具を渡せばトイレ掃除が上手にできたりする)
- 好きなもの・こだわりなど、その人らしさがあること
- 生活の中のちょっとした工夫で便利になること(手帳やスマホのアラームを活用してスケジュールや服薬を管理できるようになった例)
ㅤㅤ
けんとさんいわく「できないこと」を解決しようとする視点が、実は多くの人の助けになることがある。例えばAIの読み上げ機能を、文字が読みづらいときの代読として使っていたところ、多言語対応の翻訳機としても便利だと周囲から反応をもらった経験です。
けんとさんもかつて、30人の教室では集中できなかったのが、保健室で一人で勉強するようになると驚くほどスラスラ問題が解けるようになった。「社会があっての障害」であり、環境が変わることで障害でなくなることがある。
古川さんからも、スマホのエージェント機能などのテクノロジーが、初期の認知症の方の記憶を補う助けになる可能性があるという話がありました。
ㅤㅤ
ㅤㅤ
■境界の難しさ
参加者との対話では、発達障害の線引きの難しさについて語られました。骨折のように誰が見ても明らかな状態と違い、発達障害は「その特性を自分たちも多かれ少なかれ持っているのではないか」と感じる部分があり、時代とともに定義も変わってきている。
ㅤㅤ
また、後天的に発達障害のような症状が出るケースについて。バリバリ働いていた人が、ある時期から急に物忘れが増え、精査すると若年性認知症だったというケースもあり、発達障害と認知症の境界が実務上はグラデーションになっているこ。うつ病だと思われていたら実は認知症だった、というケースがある一方、認知症だと診断されてショックのあまり布団から出られなくなった方の例も紹介されました。
ㅤㅤ
ㅤㅤ
■「その人らしさ」は変わらない
古川さんが強調していたのは、認知症になっても、その人自身が変わるわけではないということです。日付や約束事は忘れても、洗濯や歯磨きなど身体で覚えた動作はしっかりできる人が多く、編み物などの手仕事が得意な方も少なくないといいます。ゴルフが好きだった人はゴルフが好きなまま。昔好きだった映画を見ると喜ぶ。
ㅤㅤ
古川さんは認知症の方が刺し子などで作った雑貨を販売する取り組みをされています。新しい記憶を作るのは苦手でも、古い記憶や手の動きは残っていることが多く、出品したことや金額を忘れていても、働くことによる満足感は残る。
ㅤㅤ
かつては「認知症になったら本人は何もわからないから、家族がすべて決める」という考え方が主流でしたが、最近は当事者と一緒に何ができるかを考えていく、という新しい認知症観に変わってきているという言葉が印象的でした。
ㅤㅤ
ㅤㅤ
ㅤㅤ
■次回予告
次回は7月19日(日)、昼スナで「発達スナック9回目」を開催します。今回のテーマはズバリ【発達障害×AI活用】。
ㅤㅤ
けんとさんは普段から、自分の特性のデコボコを「無理に補う」というよりは、「いかに自分が楽をするか」のためにAIを使い倒しているそうです。そのコツをたくさん伝授していただきます。
ㅤㅤ
発達スナック9杯目
■日時:7月19日(日)14:00〜16:00
■場所:中洲 昼スナ「役にたたなくてもいい場所」(福岡市博多区中洲2丁目7-5 第3タワービル2階 bar Day-Break)
■参加費:ドリンクオーダー+1,000円
▼詳細・お申し込み
https://hattatu9.peatix.com/view
昼スナママ・フィッシュ明子の役にたたなくてもいいラジオ
フィッシュ 明子
- 00:161.
タイトルコール
- 06:372.
認知症と発達障害の共通点
- 44:513.
けんとさんと古川さんのお話
- 01:044.
次回は7月19日(日)14:00-16:00
コメント

感想・質問・応援メッセージを書こう