TOPライフスタイルくらし利他ラジオ第202回:湯気が人と人の境界をやわらかくする話07:26 2025年11月12日 23再生 問題を報告する 再生する シェアする 関西の粉モン文化やおでんのルーツにある「だし」のこころは、目に見えないやさしさがしみこむ文化でもあります。混ぜ、分け、席を少しつめる。その日常にある利他的なまなざしについて、お話しします。AI目次湯気が生み出す人々の温かい交流出汁文化が育む見えない利他の精神粉もんが示す人と人の緩やかな境界たこ焼き誕生秘話とラジオの意外な関係日常に潜む「名もない優しさ」の真髄AI文字起こし(β版) # オープニング リタラジオ 松島誠郎です。 奈良県にある庵与寺というお寺で住職をしたり、子どもたちにおやつを届けるお寺おやつクラブという活動をしたり、 3人の子どもの子育てをしたり、たくさんの人に助けられながら生きています。 このラジオは、誰かのために、そして自分のために、そっとできることを考える時間です。 今は、何かと自分を出すことが求められる時代です。 SNSで発信し、成果を見せ、自己表現に励む日々の中で、 リタという言葉に新しい価値や安らぎ、可能性を感じている人も多いのではないでしょうか。 リタは、自分をすり減らすことではなく、自分を大切にすること、他者への眼差しが響き合うこと、 名乗らない優しさ、背景に回る力、手放すことで広がる行為、そんな静かな問いを日々の暮らしからたぐっていきます。 声だけでつながるこの場所で、きょうもゆっくり語っていきましょう。 # 湯気が人と人の境界をやわらかくする話 リタラジオ松島精朗です。 おでんの季節やってきましたね。 寒い季節になるとおでん屋さんの白い湯気が街の角にそっと立ち込めます。 湯気の向こうに人の気配。 あの湯気はただの水蒸気ではなくて温かさがここにありますよ。 と伝える合図のようです。 ノレンをくぐると 詰めてどうぞと水知らずの人が席を譲ってくれることもあります。 名前は知らないのに確かに助けられている。 関西の食卓にはそんな優しい眼差しが当たり前のように流れています。 おでんのルーツはでんがくと呼ばれる食べ物だと言われているんですね。 でんがく、味噌でんがくですね。 もともとはお豆腐やこんにゃくを串に刺して味噌を塗って炙ったシンプルな料理 でんがく。それが煮る方向へと変化したのは関西に根付いたお出汁の文化があったからです。 お味噌の濃さを、味噌の濃さ、味の濃さで覆うのではなくて、出汁でゆっくり 茹でながら、時間をかけて味を染み込ませる。 この関西の出汁は表に出過ぎずでも料理全体を支える存在であります。 出汁は目に見えない。 けれどなくなると途端に味が決まらない。 これは人との関係も同じかもしれません。 派手に語られない優しさや名前がつかない気遣い。 誰かの表だった行動ではなく背後で時間をかけて染み込んでいくもの。 関西のおでんはそんな見えない利他の象徴のように思います。 もう一つ関西といえば粉もん文化ですね。 お好み焼き、たこ焼き、ネギ焼き いろいろありますけれども、 鉄板の前では人と人との距離が近く なります。 お好み焼きは材料を全部混ぜて使う。 誰が作ったかではなくみんなで作った感じがする。 たこ焼きは丸くして並べる中で焼けたものをひょっと 隣の人のお皿に入れることもある。 一口どうぞ。 ほんの一言が挨拶みたいに自然に出てくる。 そこには自分のものとか相手のものとはっきり分けない柔らかな境界があるように思います。 鉄板にしばらく場所を空けておくこと。 鳥皿を一つ余分に置いておくこと。 言葉にしなくとも、あなたもここにいていいんですよと伝わる合図がある。 関西のこなもんは料理というよりは関係をつくる 道具、環境、そんなものに近いのかもしれません。 このたこ焼きの源流にですね、実はラジオが関係するんですね。 その名もラジオ焼きというものがあったそうです。 明治から大正にかけて流行した屋台料理で牛すちと こんにゃくを具にして小さな丸い鉄板で焼かれていました。 当時ラジオ放送は未来そのものの象徴でもありました。 見たことのない声が遠くから家の中まで届くという不思議さとワクワク感。 その時代の空気にあやかってラジオ焼きという名前が付けられたと言われています。 つまり名前そのものに新しい時代を共に味わうという願いが込められていたんですね。 そして 1935年、昭和10年、大阪の合頭屋の初代店主がこのラジオ焼きの具をタコに変えてみたところ、これが驚くほど美味しかったそうです。 そこからたこ焼きとして売り出され、今のコナモン文化の代表格となっていきました。 味の確信もさることながら、ラジオという当時の共有体験がそのまま屋台を囲む共同体の雰囲気を作っていたのだと思います。 屋台の鉄板の周りには名前を知らない者同士が自然と並び、焼けていく丸い生地を一緒に見つめて湯気を吸い込みながら美味しそうだと声をこぼす。 ラジオはこの声がどこに届くのかわからないまま発信するメディアでありますけれども、それでも確かに誰かを支えている、誰かに伝わっている。 ラジオ焼きもまた誰と食べるか決まっていなくとも、気づけばその場にいる人と分け合っている。そんな優しい時間を作っていたのではないでしょうか。 たこ焼きもまた誰と食べるかが決まっていなくとも、気づけばその場にいる人と分け合っている。ここでも境界は緩く、一人はいつの間にかみんなに溶けていく。そんな景色が浮かんできます。 李太とは何か大きな恋をすることではありません。席を少し詰めること、一口分けること、出汁が染み込むように時間をかけて優しさを染み込ませること。湯気は境界を曖昧にし、人を丸くします。 粉もんの鉄板の前でも、おでんの鍋の周りでも、私たちはいつも少しずつ誰かを思いやっている。その優しさに名前はありません。でも確かにここにあります。 ではまた李太ラジオでお会いしましょう。 もっと見る #たこ焼き #おでん #関西 #新しい時代 #利他 #ラジオ焼き #田楽 #鉄板 #だし文化 #粉モン文化 利他ラジオ松島靖朗@おやつのおぼうさん01:101.オープニング06:162.湯気が人と人の境界をやわらかくする話コメント感想・質問・応援メッセージを書こう
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