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仕事ができない人の特徴を考える。「顧客視点」を持って働いていますか?−澤円

仕事ができない人の特徴を考える。「顧客視点」を持って働いていますか?−澤円

株式会社圓窓 代表取締役の澤円さんが「仕事ができない人」の特徴を考察します。顧客と対峙する場面を大切にすることの重要性を、ブランディングから考えます。組織づくりのヒントが盛り沢山です。

この記事は、Voicyパーソナリティ澤円さんの放送をもとに書き起こした記事です。
音声でも聴きたい方は、記事最後の再生プレーヤーからお楽しみください!

仕事ができない人とは

昨日かみさんと2人で行ったお店で、いわゆる仕事ができない人というのに遭遇したので、その話をしていきたいと思います。

昨日はちょこちょこ行く居酒屋さんでとあるホールスタッフの動きを見て「なるほど、仕事前ができないというのはこういうことなんだな」と思ったんです。その人が問題というか、たまたまその人は居酒屋のホールスタッフに向いてないだけかもしれない。別に人格否定するつもりはないんですけれども、見ていると「うん、残念」というシーンがあったんです。

まずホールスタッフなんですけれども、ホールのお客さんというのを全然見て無いんです。何を見ているかというと、いわゆる店舗端末代わりのスマートフォン、あるいは紙の伝票をひたすら見ている。お客さんを見てないので、店舗内で何が起きてるかっていうのは、そのホールスタッフは全く把握してない状態です。オーダーをとりにきてほしいなあ、という人たちが一生懸命見ても目が合わないので、大きい声で「すみません」と言わなきゃいけない。

それをいろんなテーブルの人たちが同様にやってる感じになって、店内が微妙な雰囲気だったんですね。声かければ良いっちゃ良いんですけれども、呼ばれる前に行動できないのが、ちょっと残念な感じだったんです。そして結局、そのお店のマスターが料理をしながら一生懸命お客さんの雰囲気を把握して「あそこのテーブルに来て」とか、「あの人が呼んでるよ」って指示を出す。指示を出したらその通りに行くんですけど、結局、初動が遅いという状態になるんです。

顧客を見ていないから、顧客視点を持てない

もう1つ残念なのが、雑なんです。例えばお皿を置くとか、何か渡すとかっていう1個1個が雑。お皿を大きな音を立ててガチャンって置くし、何か物を渡すときにお客さんがものすごくとりにくい角度で渡してくる。顧客視点が足りてないんですね。これだと取りやすいかなってちょっと考えると角度が変わるんですけれど、そこまで気が回らない。要は渡せばいいっていう最低限の動作しか思いつかないので、全然工夫がされないんです。

ちなみにこのスタッフさんは新人なのかというと、実は初めて見たのは何ヶ月か前なんです。その間ずっとこんな調子なんだろうなあと思って、なんともいたたまれない気持ちになりました。マスターもよく我慢して人を使ってるなって感じなんですが、このマスターは人格者で素晴らしい人なんで、色々こう先回りしてフォローしちゃう。フォローした結果として、その人はいつまでたっても覚えないという状態にもしかしたらなってるのかもしれないなあと思って見てました。

お店が潰れるほどのことをしているわけではないので、まあそれはそれでいいのかもしれないんですけれど。仕事ができない人の特徴の1つとして、とにかく視座が低い、視野が狭いということです。そして、先回りして考えるということができない。それから顧客視点が持てない。ここら辺は、仕事ができないありとあらゆる人に当てはまるのではないかと思います。

「感じの良さ」は組織のブランド

そして今日は、とある化粧品メーカーさんのお店に行って、かみさんがポイントが貯まっていたので、それの引き換えの申し込みに行って来たんです。その時に対応したスタッフが、これまた残念だったんです。

何が残念か一言で言うと「感じが良くない」。ものすごく態度が悪いわけじゃないんだけれども、感じが良くないんです。要するに「あっこの人と話してよかった」と絶対ならないタイプ。ものすごく愛想がないとか、ものすごく失礼とかじゃないんだけれども、「せっかく来たのにな」っていう気にさせるような、ちょっとした表情とか言葉遣いとか態度とかっていうのがあるんです。すごく面白くないことでもあったのかもしれないんですけど、それが顧客に伝わっている時点でちょっと失敗かなって感じです。

それからこのご時世、店舗まで足を運んだ顧客は結構チャンスだと思うんだけれども、まったく提案とかアプローチがないんです。もちろん押し売りされると迷惑なんで、そういう事をしないだけでも良いという考え方もあるんですけれど。せっかく来たのだから、ちょっとした案内とか、何かしらの質問とか、あなたに興味を持ってますよ、というような態度なり言葉なりが出てくると、こちらも「実はこういうのが足りなくて買おうと思ってたんです」っていうニーズを引き出すことができるかもしれないわけです。

それが完全に事務手続きだけ。それも事務手続きも明らかに自分が楽な方向、楽な方法に誘導しようというのが見え見えだったんです。こういう人が店舗スタッフをやっていると、会社の印象ってのはものすごく悪くなると思います。この辺は、本当にありとあらゆる会社とか組織に当てはまります。

経営側は顧客接点のある現場をよく知る必要がある

現場でどういう風に顧客と接しているのかを知るというのは、めちゃくちゃ重要です。そして、顧客接点を持っているところで何かしらのエラーが起きると、必ず会社全体の評判が下がることになるわけです。これはものすごい損なことだけれど、起きがちなことでもあります。

会社の看板を背負って顧客と接するっていうことは、もうそれはそのままマーケティング活動、会社のブランディングに直結する行動になります。そこでエラーをおこすことは、残念ながら企業全体のブランドを傷つけることになる。本当にビジネスをやるんだったら顧客接点を持っているところ、もっと言うと実際にはセールスだけじゃなく、ありとあらゆる人。どこそこに勤めているという肩書きが付いている以上、勤めている会社にまつわるような場においては、言動は相当大きな影響を与える可能性があります。

例えば車メーカーに勤めているけれども、乗っている車の手入れを全然してない、運転がめちゃくちゃに荒いと「自動車会社に勤めているのにああいう運転するんだ」とか「あの人は車大事にしないんだとか」って少なくともプラスに働くことはないですよね。

この辺は難しいところではあるんだけれども、やっておくに越したことはないことですよね。「いやプライベートなんだから関係ないじゃん」っていう考え方も、それはそれで尊重される考え方ではあるんだけれども、周囲がそうやって見ないです。

「組織の顔」だという誇りを持って働くには?

ビジネスをやる以上は、例えば経営者は社員がそういう行動を起こさないように、そして自発的にそういう行動をしないように、社員に対して意識を高めてもらう働きかけをしなきゃいけない。業務命令とまた違うんですよね。仕事ができる人を作っていくっていうのが、経営の中では凄い大命題になってくるんですけれども、そのために1番大事なことは、自分がやっている仕事に興味を持って、自分が会社なり組織なりの顔なんだという意識を持って、誇りを持って仕事ができるようにしていくというのが、経営をして行く上ですごく重要だと思います。

これはですね、豊田章男さん、トヨタ自動車のトップの方が新入社員の方々を迎える入社式でお話されていました。これはネットの記事になってたんですが、若い人たちはみんな、トヨタという看板を外しても働けるように、一流のビジネスマンになってほしいと。そしてマネジメントをやっている連中は、どこでもやっていける人材があえてトヨタで働きたいと思えるような職場環境というのを作るために努力します、っていう話なんです。これは本当に素晴らしい言葉だなと思うんですけれど、経営をしている方は、本当にそういう事を真剣に考えなきゃいけないし、働いている側もそういう視点を持つと、もっと仕事が面白くなるかなと思います。

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