2025年4月
#013 沢庵和尚『不動智神妙録』:「石火之機」ということ
23:30
石火之機と申す事の候。是も前の心持にて候。
石をハタと打つや否や、光が出で、打つと其のまゝ出(いず)る火なれば、間(あいだ)も透(すき)間(あいだ)もなき事にて候。是も心の止るべき間(あいだ)のなき事を申し候。
早き事とばかり心得候へば、悪敷(あしく)候。心を物に止め間敷(まじく)と云ふが詮(せん)にて候。早きにも心の止らぬ所を詮に申し候。心が止れば、我(わが)心を人にとられ申し候。早くせんと思ひ設けて早くせば、思ひ設ける心に、又心を奪はれ候。
西行の歌集に「世をいとふ人とし聞けはかりの宿に、心止(と)むなと思ふはかりぞ」と申す歌は、江口の遊女のよみし歌なり。心とむなと思ふはかりぞと云ふ下(しも)句(のく)の引合(ひきあわ)せは、兵法の至極に当り可申候(もうすべくそろ)。心をとどめぬが肝(かん)要(よう)にて候。
禅宗にて、如何是仏(いかなるかこれほとけ)と問ひ候はゞ、拳(けん)をさしあぐべし。如何(いかなる)か仏法の極意と問はゞ、其声(そのこえ)未だ絶たざるに、一(いっ)枝(し)の梅花となりとも、庭前の柏樹子となりとも答ふべし。
其答話(そのとうわ)の善悪を撰ぶにてはなし。止(とどま)らぬ心を尊(たっと)ぶなり。
止まらぬ心は、色にも香にも移らぬ也。 此(この)移らぬ心の体を神とも祝ひ、仏とも尊び、禅心とも、極意とも、申候へども、思案して後に云ひ出(いだ)し候へば、金(きん)言(げん)妙(みょう)句(く)にても、住(じゅう)地(ち)煩(ぼん)悩(のう)にて候。
石をハタと打つや否や、光が出で、打つと其のまゝ出(いず)る火なれば、間(あいだ)も透(すき)間(あいだ)もなき事にて候。是も心の止るべき間(あいだ)のなき事を申し候。
早き事とばかり心得候へば、悪敷(あしく)候。心を物に止め間敷(まじく)と云ふが詮(せん)にて候。早きにも心の止らぬ所を詮に申し候。心が止れば、我(わが)心を人にとられ申し候。早くせんと思ひ設けて早くせば、思ひ設ける心に、又心を奪はれ候。
西行の歌集に「世をいとふ人とし聞けはかりの宿に、心止(と)むなと思ふはかりぞ」と申す歌は、江口の遊女のよみし歌なり。心とむなと思ふはかりぞと云ふ下(しも)句(のく)の引合(ひきあわ)せは、兵法の至極に当り可申候(もうすべくそろ)。心をとどめぬが肝(かん)要(よう)にて候。
禅宗にて、如何是仏(いかなるかこれほとけ)と問ひ候はゞ、拳(けん)をさしあぐべし。如何(いかなる)か仏法の極意と問はゞ、其声(そのこえ)未だ絶たざるに、一(いっ)枝(し)の梅花となりとも、庭前の柏樹子となりとも答ふべし。
其答話(そのとうわ)の善悪を撰ぶにてはなし。止(とどま)らぬ心を尊(たっと)ぶなり。
止まらぬ心は、色にも香にも移らぬ也。 此(この)移らぬ心の体を神とも祝ひ、仏とも尊び、禅心とも、極意とも、申候へども、思案して後に云ひ出(いだ)し候へば、金(きん)言(げん)妙(みょう)句(く)にても、住(じゅう)地(ち)煩(ぼん)悩(のう)にて候。
禅僧と考える...日々の暮らしから人生まで
恵林寺 古川周賢
- 00:111.
初めのあいさつ
- 02:412.
石火之機と申す事の候
- 08:463.
鍛錬の必要性
- 04:114.
何ものにも心を止めるな
- 07:325.
「石火の機」を考える
- 00:106.
終わりのあいさつ
コメント
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