2025年6月
#023 沢庵和尚『不動智神妙録』:終わりに②「義と善」の道
37:58
貴殿の弟子を御取立(おとりた)て被成(なられる)にも箇様(かよう)の事有之由(ことこれあるよし)、苦々敷(にがにがしく)存じ候。
是れ皆一片の数寄好む所より、其病(そのやまい)にひかれ、悪に落入るを知らざるなり。人は知らぬと思へども、微(かすか)より明(あきら)かなるなしとて、我心に知れば、天地鬼神万民(てんちきしんばんみん)も知るなり。如是(かくのごとく)して国を保つ、誠に危(あやう)き事にあらずや。然らば大不忠(だいふちゅう)なりとこそ存じ候へ。
たとへば我一人、いかに矢猛(やたけ)に主人に忠を尽さんと思ふとも、一家の人和せず、柳生谷一郷(やぎゅうだにいちごう)の民背(たみそむ)きなば、何事も皆相違仕(そういつかまつ)るべし。
総(すべ)て人の善し悪しきを知らんと思はゞ、其(その)愛し用ゐらるゝ臣下(しんか)、又は親み交る友達を以て知ると云へり。主人善なれば其近臣(そのきんしん)皆善人なり。主人正しからざれば、臣下友達皆正しからず。
然らば諸人みななみし、隣国是を侮(あなど)るなり。善なるときは、諸人親むとは此等(これら)の事なり。国は善人を以て宝とすと云へり。よくよく御体(ごたいにん)なさるべし。
人の知る所に於て、私(わたくし)の不義を去り、小人(しょうじん)を遠(とおざ)け、賢を好む事を、急に成され候はば、いよいよ国の政(まつりごと)正しく、御忠臣(ごちゅうしん)第一たるべく候。
就中御賢息御行跡(なかんずくごけんそくごぎょうせき)の事、親の身正しからずして、子の悪しきを責むること逆なり。先づ貴殿の身を正しく成され、其上にて御異見も成され候はば、自(おのずか)ら正しくなり、御舎弟内膳殿(ごしゃていないぜんどの)も、兄の行跡(ぎょうせき)にならひ、正しかるべければ、父子ともに善人となり、目出度かるべし。取ると捨つるとは、義を以てすると云へり。唯今寵臣(ただいまちょうしん)たるにより、諸大名より賄(まいない)を厚くし、欲に義を忘れ候事、努々不可有候(ゆめゆめあるべからずそろ)。
貴殿乱舞を好み、自身の能に奢り、諸大名衆へ押(おし)て参られ、能(のう)を勧められ候事、偏(ひとえ)に病と存じ候なり。
上(かみ)の唱は猿楽(さるがく)の様に申し候(そうろう)由(よし)。また挨拶のよき大名をば、御前に於てもつよく御取成(おとりな)しなさるゝ由、重ねて能く能く御思案可然歟(ごしあんしかるべきか)。
歌に、心こそ心迷はす心なれ、心に心心ゆるすな。
是れ皆一片の数寄好む所より、其病(そのやまい)にひかれ、悪に落入るを知らざるなり。人は知らぬと思へども、微(かすか)より明(あきら)かなるなしとて、我心に知れば、天地鬼神万民(てんちきしんばんみん)も知るなり。如是(かくのごとく)して国を保つ、誠に危(あやう)き事にあらずや。然らば大不忠(だいふちゅう)なりとこそ存じ候へ。
たとへば我一人、いかに矢猛(やたけ)に主人に忠を尽さんと思ふとも、一家の人和せず、柳生谷一郷(やぎゅうだにいちごう)の民背(たみそむ)きなば、何事も皆相違仕(そういつかまつ)るべし。
総(すべ)て人の善し悪しきを知らんと思はゞ、其(その)愛し用ゐらるゝ臣下(しんか)、又は親み交る友達を以て知ると云へり。主人善なれば其近臣(そのきんしん)皆善人なり。主人正しからざれば、臣下友達皆正しからず。
然らば諸人みななみし、隣国是を侮(あなど)るなり。善なるときは、諸人親むとは此等(これら)の事なり。国は善人を以て宝とすと云へり。よくよく御体(ごたいにん)なさるべし。
人の知る所に於て、私(わたくし)の不義を去り、小人(しょうじん)を遠(とおざ)け、賢を好む事を、急に成され候はば、いよいよ国の政(まつりごと)正しく、御忠臣(ごちゅうしん)第一たるべく候。
就中御賢息御行跡(なかんずくごけんそくごぎょうせき)の事、親の身正しからずして、子の悪しきを責むること逆なり。先づ貴殿の身を正しく成され、其上にて御異見も成され候はば、自(おのずか)ら正しくなり、御舎弟内膳殿(ごしゃていないぜんどの)も、兄の行跡(ぎょうせき)にならひ、正しかるべければ、父子ともに善人となり、目出度かるべし。取ると捨つるとは、義を以てすると云へり。唯今寵臣(ただいまちょうしん)たるにより、諸大名より賄(まいない)を厚くし、欲に義を忘れ候事、努々不可有候(ゆめゆめあるべからずそろ)。
貴殿乱舞を好み、自身の能に奢り、諸大名衆へ押(おし)て参られ、能(のう)を勧められ候事、偏(ひとえ)に病と存じ候なり。
上(かみ)の唱は猿楽(さるがく)の様に申し候(そうろう)由(よし)。また挨拶のよき大名をば、御前に於てもつよく御取成(おとりな)しなさるゝ由、重ねて能く能く御思案可然歟(ごしあんしかるべきか)。
歌に、心こそ心迷はす心なれ、心に心心ゆるすな。
禅僧と考える...日々の暮らしから人生まで
恵林寺 古川周賢
- 00:101.
初めのあいさつ
- 01:422.
貴殿の弟子を御取り立て成られるにも箇様の事これ有る由...
- 08:263.
心の偏りが危うさを生む
- 09:424.
善を行い善き者と交わる
- 01:365.
人の知るところにおいて、私の不義を去り、小人を遠ざけ、賢を好む事を、急に成され候はば...
- 09:276.
まず、我が身を正す
- 06:507.
最後に...
- 00:098.
終わりのあいさつ
コメント
バックナンバーを購入するとコメント欄に参加することができます