TOPハウツー・学習歴史十二単着付け師の【にちにち気づきだより】第638話 【燈火親しむ】灯りのもとで読める夜は贈り物09:26 9月19日 78再生 問題を報告する 再生する シェアする AI目次平安の夜を照らした3つの明かり読書の秋の源流「燈火親しむべし」十二単の美を引き出す光の妙明るすぎない夜の価値とは?自然光が映すアンティーク着物の美AI文字起こし(β版) # 今日はどんな日 日に日月だより、佐藤美奈子です。 今日もお聞きいただきありがとうございます。 このチャンネルでは、毎朝、平安の行事、季節の移ろい、 当時の人の暮らし、そして消息のこと、その日のご読みを一つお話ししています。 千年前の営みが、今の暮らしや仕事にどう繋がっているのか、 毎朝一つお届けしています。 昨日は、悲願という言葉の話をしました。 お経がちょっと出てきて、私も舌が噛みそうでしたけれども、 今日は、明かりのお話です。 秋の夜が長くなってきましたよね。 平安の夜は、何で照らされていたのでしょう。 # 十二単は自然光で見るのが良い はい、もちろん電気がない平安時代。どんな風に真っ暗な夜を過ごしていたんでしょうね。 よく言われているこの明かりですけれども、3つあげてみます。 一つ目は、大トナブラ。 大きなトノの油と書きます。 この油のお皿に、油が入ったお皿に芯を浮かべて 載せた明かりです。いわゆる明かりの台があります。明かり取りの台がありますが、それに載せた明かりです。 二つ目は、シソクと言います。紙にロウソクのソクと書いてシソク。 松の細い棒の先に紙を巻いて火をつけたものです。 まあこれは手に持てる明かりです。 そして三つ目。三つ目はカガリビです。 これは庭で炊くものですよね。 さて、この3つに共通していることがあります。 皆さん、なんとなくわかると思いますが、いずれも 暗いですよね、まだ。 これだけの明かりを灯したとて、 もう大変暗かったと思います。 だからこそ平安の物語では、いろんなことが起こるわけです。 例えば、夜に人違いが起こる。 貴重の隣にいる人が誰かわからないという状況だったり。 まあそして、文を読むのも、このお手紙を読むのも、明るいうちに読もうねというぐらい暗い時は何も読めません。 あんまりにもちょっと真っ暗で、そして貴重の陰に隠れて、さぞ美しい姫がいらっしゃるかと思えば、 そうでもなかったというような描写もあったようなないような、 読んでみるとそういうのがありました。 暗いということが物語の仕掛けそのものになっているわけです。 さて今日の言葉です。 等価親しむべし。 等価親しむべし。 これは関羽という唐の詩人の漢詩から来ています。 秋は涼しくて夜が長い。だから明かりの下で書物を読むのに良いよというような言葉です。 等価親しむべしです。 これはいわゆる今私たちがよく聞く、読書の秋という言い方のこれが語源だと言われています。 千年前の人にとって、明かりの下で読める夜というのは、贈り物のようなちょっと素敵な時間だったわけですね。 十二単絵の仕上がりを日暮れに見ることというのが実はあります。 消俗展を毎月してますけれども、消俗展の準備に時間を費やしてしまって、やっと準備が終わる頃も日が暮れていたということが多々あります。 昼間の光ではもちろん明るく蛍光灯もつけていたり、見えていた色、十二単絵の色というのは様々な色がありますので、美しくそのまま見えているわけですけれども、 日が落ちてきて部屋の明かりだけになると少し深く静かな色に見えてきます。 同じ消俗なのにとっても不思議です。 日暮れの光の中で改めて眺めてみると、昼間には気づかなかった重なりの重厚感ですとか、布の陰影というものがかえって目に入ってくることがあります。 明るい場所だったら細かなところまでよく見えます。けれども、私は時々思うんですが、何でも明るく照らせばそのものを一番よく見られるとは限らないのかもしれないと思っています。 暗いからこそ良いというものも、私がいる世界ではあるんですよね。 少し暗くなることで昼間とは違う表情が現れる。自由に人を見ていると光もまた色を作る要素になっています。 そういう風情のある仕事ができて私は幸せですけれども、今ちょうど私の師匠の本を撮影をし始めています。 国際文化学園、私の職場では出版局を実は持っていまして、そこでは着付けのテキストだったり、ハザミを使ったカットの技術のテキストだったり、私どもで作っているわけです。 もう師匠の本も本当に久々の本の撮影となりますけれども、まさに今私が言ったこの明かりにちょっと関係するんですね。 これはまた詳しく説明ができる頃にはもっともっと楽しみにしていただきたいような内容なんですが、時代物の撮影をしています。 現代の着物ではなくて、そうなると実際蛍光灯なんてない時代の帯結びなど見せているので、自然光のところ、あとは照字越しの光ですとか、 全く人工的なスポットライトを当てずに撮影を試みています。 本当に着物の色そのものが、例えばロケをしたとしても、バックにあるグリーンに映えて、緑に映えて、とても美しいです。 照明を当てて、着物そのものが美しく見えるという考えも現代はあるでしょうけれども、 いやいや、やっぱり美しく、あと丁寧に作られていた時代の着物というのは、本当にうちのアンティークの着物ですけれども、 自然光の中で見る方がやっぱり美しいですね。 これ本当に年内、早くて年内ですけれども、来年1月の私の師匠の誕生日までには発売になる予定なので、本当に楽しみにしていただきたいなと思います。 明かりの下で読める夜というのは贈り物です。 今、私たちの夜は明るすぎるのかもしれませんよね。 暗いということには、実はいいところもあります。 生俗の色は光で変わります。 明るいところで見ればはっきりわかるけれども、平安の人が実際に見ていたのは、油のお皿に入った油でつけた、あの暗い光の中なわけです。 はっきり見えないところで、それでもあれだけ細かく色を分けていたんですね。 ああ、でも逆かもしれません。はっきり見えないから、細かく分けたのではないでしょうか。 ぼんやりとしか見えないものを、それでも見分けようとする、そのために言葉と名前が増えていった。 明るくすれば多分見えるものも、見ようとする力は暗いところで育ったんじゃないかなと思うわけです。 今日は9月19日、明日からお彼岸に入ります。 7日間の初日を迎える明日です。 それではまたごきげんよう。 もっと見る #読書の秋 #秋の夜長の楽しみ方 #漢詩 #燈火親しむべし #韓愈 十二単着付け師の【にちにち気づきだより】さとうみなこ00:521.今日はどんな日08:342.十二単は自然光で見るのが良いコメント感想・質問・応援メッセージを書こう
第672話 霜降〜露と霜の違いは? 11分・一昨日・ 37再生AI目次梅雨と霜、その形成メカニズムの差二十四節気に刻まれた秋の深まり暦が示す日付と各地の季節のずれ十二単が教える変化の美しさとは日々の小さな変化に気づく心の豊かさ
第671話 平安京はなぜ、東へ広がったのか? 15分・10月22日・ 45再生AI目次平安京建都の日に振り返る歴史設計図通りの都にならなかった理由理想と現実の間で都はどう変化したか守るべきものと変えるべきもの見極め世代を越え育まれた古都の姿とは
第670話 清少納言は、なぜ御簾を上げたのか。 13分・10月21日・ 66再生AI目次平安貴族を魅了した白詩文集の世界紫式部を悩ませた漢詩の学びと女性清少納言が御簾を上げた、その真意言葉なき対話を生む共通認識の力知を分かち合う教養が繋ぐ人と人
第669話 神様の留守を守る「恵比寿さま」 13分・10月20日・ 79再生AI目次カンナ月に出雲に残る神様とは?商売繁盛を司る恵比寿さまの役割目立たぬ場所を守る「留守神」への感謝「べったら市」が今に伝える恵比寿講日常を支える「見えない貢献」の価値
第668話 「百日の祝」生後百日、もう一度祝った理由 12分・10月19日・ 78再生AI目次平安時代の「百日の祝」その真意とは医療が未発達な時代の「日々の重み」「百日の祝」から「お食い初め」へ「できた」だけではない継続の価値誰かと分かち合う「日々の歩み」
第667話 虫の声と、言葉にしない「寂しさ」 12分・10月18日・ 79再生AI目次暦と虫の声 古代のキリギリスとは和歌が紡ぐ独り眠る夜の情景「衣片しき」に秘められた寂しさ言葉なき感情を察する仕事の視点現代社会と日本語の余白の美
第666話 新米を、まず神さまへ 13分・10月17日・ 78再生AI目次「新米をまず神様へ」平安の智慧稲作と「衣」に宿る感謝の祈り「良いものをまず誰かのため」仕事術自分の喜びより先に「誰かを想う」「いただきます」千年の感謝と恵み
第665話 琵琶の音から、弾く人が見えてくる 13分・10月16日・ 81再生AI目次平安貴族の琵琶:女性も奏でた優雅な音色源氏物語に学ぶ、技は「かきあわせ」に宿る姿見えぬ琵琶の音に込められた心のあり方着付けの心:最初の所作に表れるプロの技小さな変化を見抜く、聴き手の感性とは
第664話 菊の節句は九月、菊が咲くのは十月? 15分・10月15日・ 90再生AI目次菊の節句と開花時期の不思議なずれ新暦と旧暦が変えた行事の風景重陽の節句が現代で薄れた理由暦と現実の季節感を繋ぐ工夫とは伝統継承と日々の暮らしの調和